日本の硬貨の製造原価っていくら?
1円玉、5円玉、10円玉は製造原価が額面を上回っている可能性大
ロシアのウクライナ侵攻や円安により銅やアルミニウムなどの資源価格が高止まりしています。このような資源価格の高騰は、わが国の硬貨製造にも影響を及ぼしていると考えられます。具体的にいくらぐらいの製造コストがかかっているかは明らかにされてはいないものの、三菱UFJ信託銀行のコラム「お金の原価を徹底解説!日本の紙幣や硬貨の原価は?世界の貨幣の原価は?」によれば、2018年度における1円玉の1枚あたりの製造原価は約3.1円、5円玉は約10.1円、10円玉は約12.9円と額面金額を上回っていると試算されています。
2018年度に比べて製造原価は上がっている可能性が高いため、実際の製造原価は額面をはるかに上回っている可能性があるのです。
財布の中から令和の1円玉は出てこない? 硬貨の発行枚数は減少傾向
このような製造原価の問題の他、キャッシュレスの普及に伴い、硬貨の発行枚数は年々減少傾向にあるのをご存じでしょうか。例えば1円玉に関しては、平成元年(1989年)当時は23億6697万枚発行されていましたが、令和4年度の発行計画ではわずか100万枚のみとなっています。5円玉に関しては、平成元年(1989年)は9億6066万枚発行、それに対して令和4年度はわずか100万枚発行の予定です。10円玉も同様、平成元年(1989年)は6億6630万枚発行、それに対して令和4年度は1億200万枚発行の予定。
製造原価がかかる1円玉と5円玉が特に発行枚数が減少していることが分かります。実は年によっては、貨幣セット(その年に造幣局が製造した未使用のコインをセットで販売しているもの)でしか販売されないケースもあり、特に1円玉は2014年と2015年を除けば、2011年以降は貨幣セット(ミントセット、プルーフセットなど)での販売のみとなっています。そのため、財布の中から最近の年号の1円玉が見つかることはまずないといってよいでしょう。
令和の1円玉、仮に発見できたとすると超レアものになります。この他にも、5円玉は2010年から2013年発行のもの、50円玉も2010年から2013年発行のものは貨幣セットでしか販売されていないものとなりますので、発見したら大切に保管しておくべきです。
以上、硬貨の製造原価と発行枚数について解説してきました。コスト面だけではないものの、今後新しく発行される硬貨のうち、特に1円玉、5円玉、10円玉は減少する可能性があります。コレクションするには最適といえるかもしれませんね。
<参考>
お金の原価を徹底解説!日本の紙幣や硬貨の原価は?世界の貨幣の原価は?(三菱UFJ信託銀行)