「安くて質が悪い」は大間違い!実績あるジェネリック医薬品を選ぶメリット

【薬学博士・大学教授が解説】薬局の窓口で利用するか尋ねられる「ジェネリック医薬品」。安い分、質が悪い薬なのではと思っていませんか? それは大きな誤解です。薬の特許と、先発医薬品と後発医薬品の関係を知れば、ジェネリックが、安い上に「実績がある薬」であることが分かると思います。わかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

ジェネリック医薬品とは?「安かろう悪かろう」なのか?

ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品は後発品で安くて質が悪いと思っていませんか? ジェネリックの意味とメリットを正しく知りましょう


「ジェネリック医薬品」という言葉が使われるようになってだいぶ普及してきたので、多くの方がその存在をご存じでしょう。しかし、その本当の意味を知らず、薬局の窓口で「ジェネリックを利用されますか」と質問されてどう判断していいのか困ったことがあるという方は多いでしょう。

また、品質と値段は比例すると考えていると、ジェネリック医薬品に対して「安くて質が劣った薬」というイメージをもっている方も少なからずいると思います。そのためでしょうか。日本におけるジェネリック医薬品の使用率は年々伸びているものの、欧米に比べるとまだ低い状況にあります。しかし実際のところ「ジェネリックだから良くない」ということはありませんし、ジェネリック医薬品を利用することには大きなメリットがあります。そのことが理解されず、利用されないのは勿体ないです。

そこで、今回は、ジェネリック医薬品の意義について詳しく解説します。
 

薬の特許…先発医薬品と後発医薬品の関係

みなさんが、病院や薬局で手に入れて病気の治療に使える薬は、「あって当たり前」とは思わないでください。その一粒の薬が自由に使えるようになるまでには、多くの研究者や製薬メーカーなどのたゆまぬ努力、そして多くの時間とお金がかかっているのです。ある病気の治療薬の研究が開始され、それが最終的に発売されるまでには、10~20年かかることも珍しくありません。ですから、発売後にきちんとその薬が使われて、それまでにかかった研究費や開発費が回収できないと製薬メーカーは潰れてしまいます。また、その研究開発の過程で得られた知的財産は、最初に見出した個人や企業に帰属するものであり、保護されるべきですね。そのために「特許」というしくみがあります。

特許が有効な間は、その特許権者(通常はその薬を最初に見つけて研究開発した製造販売業者)が独占的に製造販売できる権利を有します。これが「先発医薬品」です。

しかし、特許期間が満了すると、その薬は国民の共有財産となるため、最初に薬を見つけたメーカー以外でも、その薬を製造販売できるようになります。そして、そうした薬を他のメーカーが作ろうと計画して申請し、承認された後に実際に販売されるようになったものが「後発医薬品」です。
 

ジェネリックは「後発品」というより、「実績がある薬」という意味

ジェネリック医薬品は、もともと特許権者であった以外のメーカーが製造販売するもので、実質的には「後発医薬品」に相当します。しかし、本来の「ジェネリック」という言葉には、「後発」という意味はありません。英語ではgeneric、つまり「一般的な」「総称的な」「商標なしの」という意味の言葉なのです。

数十年以上にわたり使用実績があり、安心して使える薬については、「広く普及した一般的な薬」という意味合いで、「ジェネリック医薬品」という呼び名が考案されたことを知っておいていただきたいと思います。
 

なぜジェネリック医薬品にマイナスのイメージがついてしまったのか

ジェネリック医薬品に対するイメージをたずねられると、冒頭のように「安くて質が悪い薬」と答える方も少なくありません。実際のところ「ジェネリックだから良くない」ということはないのですが、ジェネリックに対するマイナスのイメージがついてしまったのには、歴史的な背景が影響しています。

先発医薬品と後発医薬品は、同じ有効成分を同じ量使用して作られています。違いがあるとすれば、有効成分以外の添加剤の種類や、製剤の大きさや形状などです。後発医薬品を販売したいと計画した製薬メーカーは、有効成分となる主薬の効果を証明する臨床試験などを改めて実施する必要はなく、主に先発医薬品との「生物学的同等性」(同じように使えば同じように人体内で作用するという見込)を証明するデータさえ提出すれば、比較的容易に承認されます。とくに、1980年までは、動物実験で薬を与えた時の血中薬物濃度を測定・比較しただけで、承認されていたという実態があります。そのため、必ずしも品質が良いとは言えない後発医薬品があったのは事実です。当時は、先発医薬品の特許有効期間が切れた途端に、多くの製薬メーカーが申請して後発医薬品をゾロゾロと出していたので、そうした薬を揶揄するように「ゾロ薬」と呼んでいました。

しかし、後発医薬品は、きちんと製造販売されれば、場合によっては先発医薬品より優れていることもあります。たとえば、薬効は同等でも、使用感が後発品の方がよいというケースもあります。そこで、後発品の質を全体的に向上させるため、1980年に厚生労働省から「生物学的同等性に関する試験基準」が示され、ヒトでの生物学的同等性を保証することが求められるようになりました。また、1997年(平成9年)には、製剤の安定性を保証する試験データも求めた、より厳しいガイドラインが提示されました。これにより、後発といえども、有効性や安全性が先発品と同等であることを確認するためのたくさんの厳しい試験をクリアしなければ、発売することができなくなりました。つまり、今の後発品は、決して先発品に劣ることはないのです。

「ゾロ薬」「後発」という表現だと、どうしても過去のマイナスイメージが残ってしまうため、国の行政上や製薬メーカーは「ジェネリック医薬品」という呼び名を使って、正しい理解を促そうと努めているというわけです。 

ジェネリック医薬品を使うことのメリット

ジェネリック医薬品を利用する、もっとも大きなメリットは、医療費軽減です。ジェネリック医薬品は、先発品のような開発費がかかっていませんから、安価に設定されています。個人レベルで考えると、同じ効果が期待される薬が安く手に入るのであれば、経済的負担が軽くなるというのは大きなメリットですね。

加えて、国にとっては、ジェネリック医薬品を普及させることによって、年々増加する国民医療費を抑制することができます。現在の日本は、医療の進歩とともに高齢化が進んだことによって、医療費がどんどん膨らみ続けています。一方で少子化のため、増え続ける高齢者を支える労働者人口が減り続けています。このままでは国民皆保険制度が維持できなくなることも懸念されていますから、不必要な医療費を削減することは急務の課題です。

意外と知られていない2つ目のメリットは、医薬品の安定供給にも貢献できることです。先発医薬品しかなければ、万が一その製造が困難になったときに、その薬を必要とする患者さんが救えなくなります。たとえば、過去にも、製薬メーカーの工場で大規模火災が起きたために先発医薬品の供給が途絶えてしまったことがありましたが、他社が製造販売する同等なジェネリック医薬品があったために患者が救われたということはありました。もちろんその逆もあります。ジェネリック医薬品の供給が困難になったときは、先発品が頼りになります。つまり、両者は、お互いを助け合う存在であると言えます。

先発医薬品とジェネリック医薬品がバランスよく存続していくためには、ジェネリックが利用できる薬についてはできるだけ利用していくという意識が、皆さんの中にもっと広まることを期待します。
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