技術畑ながら表舞台に立つ機会も多かった高橋氏の経歴
今回のような大規模通信障害は過去にもあまり例がなく、その影響範囲が広かったこともあって、KDDIに少なからず批判の声があったのは確かです。一方で、通信障害の最中にある7月3日にKDDIが実施した記者説明会で、代表取締役社長の高橋誠氏が自ら障害の詳細を説明、記者からの質問にも側近らに頼ることなく自ら応対するなどしたことで、逆に高橋氏、ひいてはKDDIの評価が上がったとの声も少なからずありました。高橋氏はなぜ、それだけ高い評価を受ける答弁ができたのでしょうか。その経歴から紐解いていきたいと思います。 高橋氏は横浜国立大学工学部から京セラに入社したという技術畑の出身であり、その後京セラが、現在のKDDIの前身の1つとなる第二電電企画(後の第二電電、DDI)を設立したのに伴ってそちらに出向。5Gのはるか前となる1G、つまり携帯電話の黎明期からこの事業に携わっているのです。
その後2000年に現在のKDDIが誕生すると、高橋氏はモバイルインターネットサービス「EZweb」のビジネス開拓を推し進める立場となり「着うた」などさまざまなコンテンツの開発に従事。それに伴って発表会などの表舞台に立つ機会が増え、当時は「iモード」の生みの親の1人である夏野剛氏(現・KADOKAWA代表取締役社長)がNTTドコモに所属していたことから、夏野氏と高橋氏がプレゼンテーションで火花を散らしていたのを筆者もよく覚えています。 2016年に田中孝司氏(現・代表取締役会長)が社長に就任して以降は高橋氏が表舞台に立つ機会も減少しましたが、スタートアップ企業の支援やケーブルテレビ大手のジュピターテレコム(現・JCOM)の買収に携わるなど、社内でより幅広い事業を手掛けてきました。その実績が買われて2018年に田中氏から引き継ぐ形で社長へと就任、現在に至っています。 一連の経歴を振り返ると、高橋氏が携帯電話の黎明期からモバイル通信のネットワークに携わり技術的知見を持ちながらも、それにとどまらない幅広いビジネスの経験があり、なおかつ表舞台に立つ機会も多くメディア対応の経験も豊富であったことが分かります。そうした高橋氏が培ってきた経験が、先の会見での対応と評価につながったといえるのではないでしょうか。
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