人間関係

「ロングヘアをかきあげてみて」って何がおもしろい?仕事がらみのセクハラ体験にゾワッ

仕事がらみや「宴会」でのセクハラを経験している女性は少なくない。もしもあなたが「ロングヘアをかきあげて」と同僚男性に言われたら、どう応じるだろうか。適当に笑ってごまかす以外の対処法はあるのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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多くの女性が宴会でのセクハラを経験しているのではないだろうか。適当に笑ってごまかすのが一般的対処だろうが、下手にそういう対処をすると、何度でも標的にされそうだ。
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「ロングヘアをかきあげて」

「うちの会社、以前は宴会といえばセクハラが横行という感じだったんです。それが嫌でたまらなかった。女性の割合が少ないので、前に私がいた部署では部員13人のうち、女性は2人。もうひとりは先輩でした。私が酔った男性社員から、ロングヘアをかきあげてうなじを見せろと言われたことがあるんです。そんなことして何がおもしろいのかわからないけど、とにかく嫌だった。それでも男性たちがはやしたてて……。先輩女性が私を気遣って『じゃあ、私が』と言ったら、『きみじゃダメ』って。それで先輩もムッとしたようです」

ユウミさん(32歳)は以前の経験をそう語った。当時、彼女は27歳、先輩女性は35歳だった。その後、その先輩と話し合い、セクハラには断固、闘おうと決めた。

「他部署の女性たちとも共闘を組みました。私がいた部署の宴会時は、先輩女性とふたりで、何を言われても『セクハラまがいの要求には応じません。何かあったらすぐ宴会から離脱します』という文書を上司に提出したんです。他部署の女性たちも同様に行動を起こしました。不埒なことがあったら宴会の様子を録画します、とも言いました」

組合が乗り出してきて、あまり過激な行動に出ないようにと注意されたこともあったが、女性たちの怒りは収まらなかったという。

「静かに行動していたんですが、それでも他社にも噂が広がったみたい。さすがに会社も動き出して、セクハラ、モラハラに対しての講義などもおこなわれるようになりました」

今でもたまにすれすれのできごとはあるが、「それはイエローカードですよ」というと「ごめん」と年配社員も言うようになっている。

「長い時間かかりましたが、社内がだいぶ風通しよくなってきた。この問題って、結局、社風の問題でもあるんですよね。嫌なことは嫌と言い、それを社員の階級に関係なく、きちんと受け止める雰囲気があるかどうか」

先輩の女性社員は現在、若くして役職もつき、さらに社内の浄化に取り組んでいるという。
 

セクハラする側が理解していないこと

セクハラ発言を指摘しても、まったく理解できない人は少なからずいるもの。ダメだと言われても、何がいけないのかわからないのだろう。

「コミュニケーションをとっただけとか、こっちが気を遣っているのにとまで言う男性もいました。上司に言っても『冗談なんだからまともに受け取るほうがおかしい』と言われました。同じ部署の男性たちが女性新入社員を酔わせてエッチな言葉を言わせるような“遊び”もあって、それで傷ついてしまう女性もいたんです」

サクラさん(34歳)はそう言う。彼女自身はショートカットにパンツ姿、女性気配を消して仕事をしており、セクハラにはむしろ縁がなかった。女性として見られなかったことに対しては、いいか悪いかわからないというが、少なくとも宴会時のセクハラにはあわずにすんだ。

「数年前の新入社員で、すごくかわいい子がいたんですよ。彼女はかなり標的になっていました。卑猥な下ネタを振られたりして困っているのを見て、『いいかげんにしなさい!』と私が怒鳴ったこともあります。上司からは『場の雰囲気を壊すな』と怒られました。この人は何もわかってないと感じ、役員に談判しましたが、それでも埒があかない。女性たちで話し合って、いきなり弁護士をたてました。そうしたら会社の対応が一変。大きな会社ではないので、コンプライアンスが行き届かないだのなんだのと言い訳していましたが、弁護士さんがかなりうまく脅してくれまして、今後はきちんと対応すると話がまとまりました」

実際、会社側はセクハラに対する処分等も社内で発表、社員教育も始めたという。みんなで連帯すること、セクハラを見かけたら注意しあうことが重要だとサクラさんは言う。

「セクハラする側は、問題の本質をわかってない。セクハラは人権問題だと思います。他者の人権を尊重するような教育を本当は子どものころからしなくてはいけないけど、それができていないからこうなるわけですよね。社会人になってからでも遅くはないので、会社で基本的人権についてちゃんと教育するべきだと思います」

もうひとつは男性たちの集団心理。誰かが軽口をたたくとそれがエスカレートして、女性へのセクハラになる様子もサクラさんはよく見てきた。

「男性たちの間で抑止が効かなくなる状態になる前に、上司が冷静に制止すべきです。たとえ宴会であっても無礼が許されてはいけない」

サクラさんの会社ではコロナ禍以降、宴会がほぼなくなった。少人数で飲み会をする分にはほとんどセクハラ的なことは起こっていない。やはり集団心理でどんどんエスカレートしていくことがあるのだろう。

「セクハラされた側も、断固とした態度をとるべきだと思います。周りも協力することを恐れないでほしい。女性からのセクハラ、男性から男性へのモラハラ、セクハラもあります。そういうのを一掃して、いい環境で働かないと効率も下がる。そういうことを経営者側もきちんと学ぶべきですよね」

サクラさんの会社もかなり変わった。セクハラが横行する企業に未来はないはずだと彼女は力強く言った。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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