加えて通常なら1年で最も紫外線の強い夏至の前後は梅雨空のため、紫外線の中でもパワフルな「UVB(紫外線B波)」が緩和されるものの(「UVA(紫外線A波)」は曇天でも変わらない)、梅雨明けした7月は例年になく厳しい状況。もちろん暑さの根源となる赤外線の強さについては史上最大級。危険度の高い順に紹介していきたい。
危険レベル4. 液体入りのペットボトル
今すぐにでもチェックしていただきたいのはペットボトル。液体の入ったペットボトルに真夏の直射日光が当たると凸レンズと同じ状況になり、最悪出火する。お子さんがいる人は夏休みの研究テーマにしてもいいと思うほど。シートの上に転がした状態は最も危険。どうしてもペットボルトを入れておきたいのなら、センターコンソールではなくドアポケットのホルダーを使うこと。
クルマを駐車しておくときは、ひと手間掛かるが、フロントガラスにカー用品店などで売っている(最近はネットで検索するとたくさんの種類から選べるのでうれしい)遮光効果のあるサンシェードをセットすると絶大な効果を発揮する。高級車に標準装備されている熱反射ガラスであっても、長い時間駐車していると直射日光が当たっている場所の温度は上がってしまう。
危険レベル3. 炎天下で車内温度は何度になる?
炎天下に駐めて置いたクルマに乗り込んだ時の暑さはどうすればいいか。車内の熱気だけなら窓を開けることで簡単に外気温と同じになるものの、内装材がため込んだ熱から出る遠赤外線はなかなか収まらない。これは内装材の温度を上げないことが重要。白いTシャツをクルマの背もたれに着せておくとか、ハンドルにタオルを掛けるという昔ながらの対策は案外効果的だったりする。
イタズラや雨の心配がない駐車なら、窓を1cmくらい開けておくだけで車内の気温を大幅に下げられる。例えば外気温35度。2時間駐車時の車内気温60度だとすれば、窓を1cm開けておくだけで45度くらいに抑えられるから興味深い。内装材の温度も上がりにくくなるため、走り出し直後のエアコンの効き具合が全く違うものになる。簡単でありながら効果抜群な対応策だと思う。
あまりに暑いため、7月1日の昼にクルマの温度を測ってみたら、直射日光が当たるワイパー手前のボンネットで85度程度。
続いて車内。フロントガラス越しの日光が当たるフロントのダッシュボードは84度前後と衝撃的な温度だった。ゆで卵を作れる。
試しに生卵をフライパンに割り入れて【画像3/左】ダッシュボードに放置してみると1時間ほどで【画像3/右】の状態に変化した。
40年ほど自動車関連の記事を書いてきたが、ここまで高い温度を見た経験がない。やはり今年の夏は少しばかり異常なのかもしれない。
危険レベル2. 木陰駐車の意外な落とし穴
直射日光を嫌い、木陰にクルマを駐める人も見かける。確かに車内温度を上げないという効能はあるけれど、夏場の樹木は樹液をたくさん出す。樹液も水滴のような形状のため、凸レンズ効果を持つ。すぐ洗わないと塗装の表面を小さい凸レンズで熱してしまうことになり、普通の洗車では落ちない汚れになるので注意。樹木の下は避けること。駐めてしまったら、すぐ洗うこと。
危険レベル1. 軽視できない車内の紫外線
UV(紫外線)は車内においても危険レベルにある。最近のクルマならフロントガラスはUVBを99%カットできる。ただUVAについての性能は表記されていない場合、UVAカット率は99%に届かないと考えていいだろう。また、ドア側のガラスもUVカットと表示されているタイプで50%前後のUVBカット率。99%と表記されているスーパーUVカットガラスなら、UVBはフロントガラスと同等レベルだと考えていい。
いずれにしろ、肌を長期スパンで傷めるというUVAは通すため、心配ならそれなりの対応をしておくべきだと思う。
参考までに書いておくと、クルマによく乗る人は60歳代になると顔の右側に多くシミが出てくる(私も例外ではない)。左ハンドルばかり乗ってきた人は左側にシミが多いため間違いじゃないと思う。クルマに乗っているときは紫外線にも注意していただきたい。
【迷わず通報】駐車場の車内に幼児を目撃したら
このように夏場の車内は過酷な環境になる。もしショッピングセンターや遊技場、レストランなどに止まっているクルマの中に幼児がいたら、躊躇わず110番通報すること。5分の遅れも命に関わってくる。
エンジンが掛かっていてエアコンが効いていそうな場合でも、すぐ管理している人に連絡して対応をお願いして欲しいと思う。痛ましい事故のニュースは聞きたくない。
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