一方で「何をもって“デート”なのか」という問題も沸き起こっているようだ。内閣府男女共同参画局によれば、「本人がデートだと思っているかどうか」によって決まるのだそう。
下心あり? なし?
20代・30代の男女に「デートって何?」と聞いてみた。「好きな人と待ち合わせてどこかに行ったり食事をしたりすること」(33歳・女性)
「つきあっている人と会うこと」(38歳・男性)
「これからつきあうことになるかもしれない人と会うこと」(28歳・女性)
このあたりは、ごくシンプルに「デート」をとらえている。年齢を超えて共感できる答えではないかと思う。
ただ、これ以降は、目から鱗の回答が続いた。
「恋人とか友だちとか、自分が大事に思っている人と会うこと」(26歳・女性)
「人と待ち合わせることかなあ。妹とデート、なんてこともよく言うし」(30歳・女性)
恋愛の有無はほとんど関係ないという。どうやら女性のほうが「デート」という言葉をカジュアルに使っているようだ。
男性はやはり、もう少し深刻感がある。
「恋人と会うのがデート」(28歳・男性)
恋人以前だとデートと言うのは気恥ずかしいし、相手が気を悪くするかもしれないとこの男性・ススムさんは言った。
「つまりは、つきあおうというコンセンサスができていない状態では使いづらい言葉なのかもしれません」
ススムさん自身、今まで恋人ができたことがない。友だちに紹介された女性とふたりきりで会ったことはあるが、つきあいは続かなかった。
「だからその場合、僕としてはデートとは言えない。会っただけ。つきあうことになって恋愛状態になって、もちろん一緒に泊まったりもして……と妄想だけは膨らんでいたんですが、うまくいきませんでした」
男性は「デート時には下心をもつもの」だと彼は言う。それがなかったら「恋」に発展しないじゃないですかと少し鼻白んだ。だが、その下心を見抜かれるのはもっとも傷つく。だから恋の始まりである「デート」という言葉はあまり使いたくないのかもしれない。
気軽にデートしてもいい
「デート」の意味するところが人によって違うとすれば、デートしたことがありますかという問いも、それほど大きな意味があるとは思えない。だがデートの定義がどうであれ、「特に女性と会うのはお金がかかる。だからデートなんてできない」という声も多々あった。今の時代、割り勘が当たり前だが、それでもときには「好きな人にごちそうしたい」と思うものだと、ヨシカズさん(34歳)は言った。
「非正規で働いていますが収入は低いし、正社員の道も一向に開けない。好きな女性ができてつきあおうと思っても、『私、もうじき誕生日なんだ』と言われた時点で萎えました。彼女に非はない。僕がプレゼントできるだけの余裕がない」
恋人同士というわけでもなかったので、2回ほど会ったところで関係を断ち切った。だが本当ならもっと会いたかったし、つきあいたかったそうだ。
経済状況が恋をすることも許さない、もちろん結婚などとうてい考えられない。そんな現状があるのではないだろうか。
「よほど好きになれそうな人が出てこない限り、女性だって同じですよ。お金かけておしゃれして出かけるなら女友だちのほうが気楽だし楽しめる。周りでも恋愛している人は次から次へとしているけど、してない人はまったくしてない。同じお金を遣うなら、これからどうなるかわからない関係の人より、仲良しの友だちと一緒にいるほうを選びますね」
36歳の女性はそう言った。ひとりでいても気軽に楽しめるものはたくさんあるし、友だちと一緒にいれば寂しくはない。
もともとカップル文化が根づかない日本だが、経済状態がよくない20代・30代にとっては、ますます恋愛が遠いものになっていくのかもしれない。
※参考:「令和4年版男女共同参画白書」(令和4年6月、内閣府男女共同参画局)
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