夫の浮気が発覚。ところが夫は逆ギレ。このパターン、けっこうあるのではないだろうか。自己防衛が働くのか、夫は自分を正当化し、妻が悪かったかのように言うケースまである。
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再構築しようとしたものの……

結婚して13年、夫の浮気が発覚したと言うチナミさん(42歳)。離婚も考えたが、11歳と8歳の子がいるため、パートの収入ではひとりで子どもを育てていくのはむずかしい。夫も「きみが家庭を守ってくれているから仕事ができる。申し訳ない」と謝罪してくれたため、夫婦関係をもう一度、きちんと構築することを決意した。

「それでも夫は他の女性に身も心もはまったんだと思うと、急に苦しくなることがあります。うちの場合、下の子が学校でケガをして救急搬送されたのに夫と連絡がとれず、やっと連絡がとれたのは深夜になってからで、それがきっかけで浮気がわかった。それまでも夫の帰宅が遅くなったこともありましたが、浮気だけはしないだろうと思っていたんです。それだけ信用していたとも言える。それなのに浮気していたと知って本当にショックでした。よくある話だけど、夫の相手は勤務先の15歳年下の部下。うちに遊びに来たこともある子です。関係を持ってから来たこともある。私をバカにしているのかと思いましたね。ただ、さすがに夫も子どものケガという緊急事態に対応できなかった自分を情けないと思ったみたい」

反省していると目を潤ませた夫だからこそ、もう一度信じてみようとチナミさんは決めたのだ。だがフラッシュバックのように訪れる浮気の衝撃に耐えかねて、彼女はときおり夫を責めた。

「3カ月くらいたったころでしょうか、その日も私はつい夫を責めてしまった。彼女の顔を覚えているだけにつらかったんです。すると夫は『いいかげんにしてほしいな』と急に声を荒げた。『オレ、いつまで謝ればいいわけ? どうしたら納得するの? きみが許すと言ったからもう一度がんばろうと思っているのに、そんなにいつまでもグダグダ言うとは思わなかった』って」

私をこんなふうにしたのはあなたでしょ、そもそもあなたが浮気したからこうなっているんでしょとチナミさんは言いたかった。だが夫の口調の激しさに言い返すことができなかった。
 

逆ギレがひどくなって

それ以来、チナミさんが浮かない顔をしていたり、夫に向ける笑顔が減ったりすると、夫の逆ギレはひどくなっていった。

「あるとき、ふっとため息をつくと夫が『そもそもきみが浮気するように追いつめたんだと思う』と言い出したんです。なにそれと言ったら、『妻としてオレを労ってくれなかった』『子どものことばかりで、オレを夫として敬わなかった』と。『そういう人間性が夫に愛されない理由なんじゃないか』とまで言ったんですよ。ちょっと待って、人間性が疑われるのは浮気しているあなたでしょと、これははっきり言いました。すると、『ほら、そうやって口答えするところ。オレを言い負かしてやろうとするエラそうなところが嫌なんだよ』って。完璧に逆ギレですよね」

なぜ浮気された側が人間性を責められるのか。したほうが悪いに決まっているとチナミさんは言う。

だが一方で、中立の立場で考えれば、「確かにいつまで謝罪すればいいのだろう」と思う気持ちもわからなくはない。

「僕も同じでした」

そう言うのは、かつて浮気をしたことのあるジュンイチさん(44歳)だ。彼もまた、妻に謝罪し、再構築を目指したが何年にもわたって嫌味や皮肉を言われ続けたという。

「やっぱり思いましたよ、いつまで謝ればいいのかと。妻にも尋ねました。『生涯、謝り続けなさい。悪いのはあなただから』と言われました。もうやっていけないと思ったのはそれから3年後でしたね。仕事に忙殺されながら、家事も育児も必死にやった。妻の好きなケーキを買って帰っても、ありがとうの言葉もなしに『これも罪滅ぼしなの?』と言われて。そういう状況に耐えられなかった。だから離婚を申し出ました。『あなたに離婚を切り出す資格はない』と言われましたが、12歳になる息子と自由に会えるなら、すべてあげるからと家を出たんです」

悪いのは自分だと腹の底から思っていた。それなのに、妻はいつまでも傷口に塩を塗り、さらに傷口を広げてくる。そういう女性と一生添い遂げられるかという思いが、あるときからわきおこってきたようだ。

「どこかで恨み辛みと決別してくれないと、いくら口では再構築と言っても安心できないんですよ。がんばっても認めてくれない、いつまでたってもおまえが悪いんだから何も言うなというのでは再構築なんてできません。事実に向き合えと妻には言われたけど、そもそも浮気なんだから、そんな深い思いがあってのことでもない。妻にこそ忘れる努力をしてほしかった。こんなこと言うと女性たちから批判されるでしょうけど」

それがジュンイチさんの本心だという。怒りと絶望の中にいる妻の立場になれば、盗っ人猛々しいと感じるのももっともだが、自分の瑕疵をいつまでも非難され続ける夫もまたつらいのだろう。お互いのつらさをわかろうとするところから、再構築の一歩が始まるのかもしれない。
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