お金への不安や恐れにどう対応する?
いまや不安と恐怖をあおる「ノイズ」にやられる人が増加中!
いまの世の中、雑音と騒音に満ちています。それらが自分の中に侵食してくることで、どうしてもイライラしたり、落ち着きを失いがちです。大量に流される情報にさらされ、不安や恐怖をかきたてられます。とくに新型コロナウイルスの影響で先が見えない時代、不安と恐怖が蔓延する時代はなおさらでしょう。ストレスを抱え、爆発寸前になっている人が増えています。さまざまな規制の中で自分を抑えている分、つい他人にも厳しくなってしまう。SNSでもやたら炎上騒ぎがあるし、メディアでも何か不祥事を起こした人物に対する過剰なバッシングが横行しています。
「沸点(ふってん)が低い」というのがいまの社会と人の特徴でしょう。怒りを覚え、感情が爆発するラインが、かなり低くなっていると感じます。
危機に強い経営者はマインドが安定している
私が見る限り、持続的に業績を上げている経営者は、社会の状況によって精神的に影響を受けるということが少ないように感じます。情報に流されず、自分の軸をしっかりと保っている。精神的にバランスが取れていて、目の前のことに一喜一憂し、動揺することがほとんどありません。新型コロナの影響で売り上げが減ると、それまでとは一変して攻撃的になり、他人を責めることで何とか自分だけは助かろうともがく経営者がいる一方、冷静に状況を分析し、ピンチをチャンスに変えるべく工夫や努力をすることで、前向きに乗り越えようとする経営者がいます。
この違いはどこから来るのでしょうか? どんな時代にも冷静に前向きに生きているクライアント、経営者の人たちを見てある共通点があることに気がつきました。それは彼らが、それぞれ自分なりの「心を鎮める」方法を持っていることです。
ある人は山登りの趣味があり、山に登っている時が一番落ち着き、心が解放されると話していました。ある人は体を動かすことが好きで、ジム通いはもちろんですが、自宅でもトレーニングを欠かしません。ある人は絵を描くことが好きで、没頭する時間が楽しいといいます。
仕事とは何か別のことに集中する。ビジネスや仕事の現場とは異なった環境に身を置くことで、心を鎮めることができているのです。
マインドフルネスのおかげでストレスフリーに
私自身は、瞑想=マインドフルネスを毎日実践しています。最近IT企業などでも取り入れているところが増えているようですね。瞑想して心を落ち着かせ、集中する。それによって心を鎮め、ストレスや疲れを癒やすのです。何も堅苦しく考える必要はありません。職場の椅子に座って好きな時に1分でも3分でも、目を閉じて静かに意識を集中するだけでもいいと考えます。
私も1日数回、時間がある時に実践しています。おそらく、それをしていなければ、この2、3年のストレス過剰な環境の中で、冷静に仕事を続けることなどできなかったのではないかと考えています。
どんな時代や環境でも、心を鎮めて冷静に、前向きに仕事や人と向き合うことができる。目まぐるしく移り変わる状況の中で、いったん立ち止まってみる、それが成功に近づくための秘訣なのです。
★第6回『ピンチをチャンスに!お金持ち体質は、リスクの多い時代だからこそ「新しいこと」に挑戦する』に続きます
【亀田さんのインタビューはコチラ】
亀田潤一郎さんが語るお金持ちと貧乏な人の財布の違い
教えてくれたのは……
亀田潤一郎さん
亀田潤一郎税理士事務所。税理士。学生時代、中小企業の経営者だった父親の会社が倒産。その悲劇を目のあたりにする。一時はホームレス状態でうつ病になるが「中小企業の経営者をお金の苦労から守りたい」という使命感から、苦節10年を経て税理士になる。数字に苦手な経営者に向けて預金通帳を活用した資金繰りをよくするためのコントロール術などを指導する。ほとんどの顧問先から高評価を得る。数々の経営者と付き合う中で、持続的に成長している企業の経営者の財布の使い方に共通点があることを発見。それを実践したところ年収が飛躍的に伸びた。その経験をまとめた『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』(サンマーク出版)がベストセラーに。そのほか『通帳は4つに分けなさい』(経済界)、などがある。
取材・文/本間大樹