亀山早苗の恋愛コラム

義実家同居、8人家族の食事を“手作り”しろと?スーパーの総菜じゃ「母親失格」なの?

共働きが増えるなかで、主婦がひとりで食事づくりを担うのは大変なことだ。「品数が少ない」「手作りがいい」という無責任な要求の多くは、作る人の苦労が置き去りになっている。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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家庭の「食」をめぐる問題が頻出している。「メシマズの妻とは離婚したい」だの「家でポテサラくらい作れ」だのと、多くは作る人の苦労をわかっていない話ばかりだ。夫の家族と同居している妻の中には、さらに多くの要求にさらされている人もいる。
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8人家族の食事は作るだけで大変

「うちは夫の両親と弟、私たちの子ども3人の8人家族。私たち5人と、義両親と義弟3人の2つに分けて、私が8人分の食事を作っています。というか、作らされています」

げんなりした様子でそう言うのは、マイさん(39歳)だ。26歳のとき、中学校時代の同級生と結婚、現在は11歳、10歳、7歳と3人の男の子がいる。義父はすでに定年になっており、義母との食費を月に5万円くれる。義弟はコロナ禍で失業、今はアルバイトをしているが食費は1万円くれるだけだ。

「私たちは共働きですが、私は非正規で介護の仕事をしていて、収入は多くはありません。夫は会社員。唯一、人並みに収入があるのは夫だけ。子どもたちも食べ盛りだし、お金がかかる。貯金もしたい。毎日、とにかく食事には苦労しています」

1週間ごとにアバウトな献立は考えるが、子どもたちのリクエストもあり、予定通りにはいかない。しかも義父母と義弟の要求がかなり強いのだ。

「子どもたちも好きだし、肉も野菜もとれるので週に1度はカレーにするんですが、義父母と義弟からは『カレーだけじゃ足りない』と文句を言われます。サラダや味噌汁をつけても足りない、と。夫まで『なんか気の利いた副菜はできないの?』と。さっぱりとしたおひたしとか、野菜の煮物、春雨のサラダなどを要望されましたが、そもそもカレーにするのは私の仕事が忙しいときなので、とてもそこまではできない」

ただ、毎度、嫌味を言われるのにうんざりして、先日は春雨のサラダと焼き鳥をスーパーの惣菜売り場で購入した。夕方だったのでいずれも3割引だったが、それでも8人分となると家計に響く。

「夫はテーブルを見るなり、『こういうものは買ってきたら高くつくだろ、作ればいいのに』と一言。義母は『おかずを買ってくるようじゃ、母親失格だね』と。うち、同居してまだ3年なんです。借りていた家が手狭になったところへ、義父母が同居すれば家賃が浮くでしょと誘ってきた。私が知らないうちに、夫が勝手に同居を決めてしまったんです」

すべて決まってから知らされたマイさんは、「同居だけは勘弁して」と夫に頼み込んだ。だが夫は「だったらおまえがオレと同じくらい稼いで」と言うだけ。それでも最初は、食事を別にすることを提案した。すると義母が「水くさいわね」と涙ぐんで見せたのだ。それ以上、押し切ることはできなかった。
 

義母は遊んでばかり

義母は仕事もしていないし、まだ60代半ばと若い。健康も問題ないので、もっと家事をしてもらえないかと夫に言ってみたことがある。

「そうしたら夫は『かあさんは苦労してきたんだ。老後はゆっくり過ごしてもらいたい。親孝行するのが嫌なの?』と言い出して。親孝行するのが嫌だとは言ってない。ただ、私ひとりがどうしてこんなに大変な思いをしなくてはいけないのかわからないと言ったんです。だったらあなたがもっと手伝ってよ、と。オレは忙しいと逃げていましたね。実際、夫はまん延防止等重点措置が出ている最中も、友だちの家で飲んだくれたりして帰宅は遅かった。全然、協力的ではない夫の親に私がそこまで尽くさないといけないんでしょうか」

義母は昼間は近所の友だちと遊びに行ったり、自身の妹と会ったりしているようだ。帰りに食事の足しになるようなものを買ってくるといった気遣いは一切してくれない。

夫の実家はもともと皿数が多い家らしい。だがよく聞けば、義母も惣菜などはたびたび買っていたし冷凍食品も利用していた。夫はそれが不満だったようで、自分が結婚したら食事はすべて手作りでと思っていたという。

「それを全部妻にやらせるというのがひどいですよね。しかも子どもが3人もいるんですよ。同居するまでは私もけっこう冷凍食品などを使っていました。夫は特に文句は言わなかった。同居して親を目の前にすると、『オレは、食事を全部手作りするような妻と結婚したんだ』と見栄を張りたいんじゃないかと思うんです。夫の感情もこじれていますよね。親孝行と言うわりには、夫は親に優しくないし」

こんな一家に関わっていること自体が「無意味」なのではないかと、マイさんは最近、思うようになってきた。

「近いうち別居したい。ずっとそう思っていますが、先立つものを考えるとなかなか動き出せません。家賃を払わないですむ今の状況は確かにありがたいので」

とはいえ、このまま頑張り続けたところで、自分が心身ともに壊れていくだけなのではないか。そんな恐怖感さえあるという。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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