亀山早苗の恋愛コラム

「ウチの夫、なんかヘンかも?」と思った日。私に隠れてゴミ箱をチェックしていた夫の目的は…

夫とうまくいかないのは自分が悪いから。そう思ってしまう女性も多いようだが、実際には「夫が悪い」ケースのほうが目立つ。これはモラルハラスメントだと早く気づけば、早く対処もできるはずだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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夫とうまくいかないのは自分が悪いから。そう思ってしまう女性も多いようだが、実際には「夫が悪い」ケースのほうが目立つ。これはモラルハラスメントだと早く気づけば、早く対処もできるはずだ。
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8年たってようやくわかった

結婚して8年。8歳と4歳、1歳の子がいるカナコさん(38歳)は、「私自身、父親不在の家庭で育ったので、父親がどういうものなのかイメージできなかった」と言う。

高校時代に片思いしていた同級生と再会し、誘われるままにホテルに行って妊娠。それを告げたら、彼はすぐに「結婚しよう」と言ってくれた。

「うれしかった。私は短大を出て仕事をしていたけど、給料は母と弟のためにほとんど家に入れていた。弟は大学を出るとすぐ遠方に行ってしまい、私は病弱な母と暮らしていました。そんな私が結婚すると知って母も喜んでくれたんです」

ただ、母親はカナコさんが結婚するとすぐ、病気のために亡くなった。帰るところもなくなったカナコさんは、夫と子どもたちのために尽くそうと決心を新たにした。

夫は大学を出て有名企業に勤めていたが、カナコさんには毎月4万円しか渡してこなかった。それで食費から雑費までまかなえということだった。

「家賃や光熱費はオレが全部やっておくから。カナちゃんはそういう煩わしいことは考えなくていい。しっかり自分と子どものことだけ考えるんだよと言われて、優しい人だなと思っていました。ただ、実際には4万円の生活費って意外ときつかった。夫はお弁当ももっていくし、朝も夜もしっかり家で食べる。おかずはメインに副菜、小鉢もつけるのが当然というタイプ。つわりがひどかったときは、つい近くのスーパーで買い物をすませていたんですが、夫はチラシに赤丸をつけて、『あっちのスーパーへ行けば安いのに』と。妊娠は病気じゃないとうちのおふくろが言ってたよとも言われました」

当時のカナコさんはその言葉を素直に受けた。気分が悪くても安いスーパーまで買い出しに行き、自分は食べられなくても夫のためにきちんと料理をした。匂いを受けつけず、二重にマスクをして料理したこともあるという。
 

何かヘンかもと思った日

第一子は女の子。それがわかっていたため、義母はあまり喜んでおらず、産後は手伝ってもくれなかった。

「夫も『すぐに次の子を作ろう。男の子じゃないとダメなんだ』と。義実家、別に跡継ぎがいなければいけないような立場の家ではありません。義父も普通のサラリーマン。どうしてそんなに男の子にこだわるのかわからなかった」

ふたりめも女の子だった。そして子どもが増えても生活費は変わらず4万円。何度も増やしてほしいと頼んだが、「やりくりするのがカナちゃんの仕事だよ」と夫はとりつく島もなかった。

「しかたなく、独身時代の貯金を少しずつ崩していきました。もともとそんなに貯金があるわけでもないから、不安でたまらなかった。次女が1歳になったとき、娘ふたりを保育園に預けて働きたいと言ったんですが、『オレ、家族を養えるくらいの給料はもらっているから』って。あなたがもらっていても、生活費は増やしてくれないから、これ以上やりくりできないと初めて反論しました。そうしたら夫は私の首をヘッドロックみたいに絞めながら『みんな努力してるんだよ。カナちゃんは努力が足りないの』と言われたんです。苦しくてドタバタ暴れたら離してくれたけど、夫の優しげな口調の裏が見えて本当に怖かった」

そのころには公園で近所のママたちと話すこともあり、どうやら「うちの夫はおかしい」と思うようにもなっていた。それでも離婚したら食べてはいけない。安い素材を探し回り、調理して冷凍、八百屋の軒先で捨ててある大根の葉をもらってきたこともある。子どものミルクを優先させれば必然的にそうなるだろう。

「たまには子どもにアイスのひとつも買ってやりたい。そう思うのも当然ですよね」

ところが子どもたちにアイスを食べさせた翌日、夫に朝早く叩き起こされた。アイスは無駄使いじゃないかな、と言うのだ。彼はゴミ箱をチェックしていたのだ。そういうときでも怒鳴ったりはしない。

1年前、ようやく長男が誕生。義母は大喜びで病院にやってきた。退院後は毎日のように顔を見にくる。

「お昼に前の晩の残りのごはんを雑炊にして出したことがあるんです。そうしたら義母が、翌日から『私の分はいいから』と勝手に出前をとるようになった。もちろん自分の分だけ。呆れましたね。この母親にしてあの息子ありか、とやっとわかった気がしました」

昨年の年末から年始にかけて、夫と息子は夫の実家へ。長女と次女とカナコさんは呼ばれもしなかった。

「その時期を利用して、連絡がきていた弟に会いました。事情を話すと弟は激昂。『ねえさんにはずっと悪いことをしたと思ってた』と言ってくれました。ただ、弟もすでに子どもがふたりいる身、住んでいるところも遠いし迷惑はかけられない。とりあえず見つからないようにともらった50万だけが今は頼りです。相談するところも弟が見つけてくれたので、今はそこと連絡をとりあっています。立派なモラハラだと言われました」

ケガするような暴力を振るわれたこともないが、経済制裁という形をとっているのはひどいことだし、男の子だけかわいがる義母と夫の態度も問題だと指摘された。

「近いうち、なんとか逃げ出すつもりです。もちろん長男も連れて。夫がどういう行動に出てくるかわからないけど、逃げるんだと決めたら急に元気がわいてきました」

いざとなったら弟が「助けるから」とも言ってくれている。希望が見えてきたことが、カナコさんに力を与えているようだ。
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