亀山早苗の恋愛コラム

コロナ禍で「夫の本性が見えた」という妻たち。子どもの感染が発覚したら夫が激怒、その理由は?

コロナ禍はまだおさまる気配を見せない。とはいえ、多くの人が仕事に出かけ、日常生活を送っている。そうせざるを得ないからだ。そんななかで、子どもがコロナに感染したことで「夫の本性が見えた」と感じている女性がいる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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コロナ禍はまだおさまる気配を見せない。とはいえ、多くの人が仕事に出かけ、日常生活を送っている。そうせざるを得ないからだ。そんななかで、子どもがコロナに感染したことで「夫の本性が見えた」と感じている女性がいる。
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子どもが感染したら、夫が激怒した

「栄養状態、衛生状態に気をつけていたんですが、それでも子どもがかかってしまいました」

今年1月、中学生の長女がコロナウイルス陽性となったというのは、ミチエさん(42歳)だ。ミチエさんは3歳年上の夫と、長女、小学生の長男の4人暮らし。娘の陽性が発覚するやいなや、夫は身の回りの荷物をもって出ていった。

「『だいたいおまえが子どもたちの健康のことを考えないから、こういうことになるんだ』と激怒していました。『オレは今、大事な仕事を抱えている。うつったらどうするんだ』と。いや、それよりまず娘の容態を心配するのが親なんじゃないのと言ったら、大丈夫だよ、子どもは軽症ですむんだからと言って、会社近くのビジネスホテルに泊まる、と」

小学生の長男は近所に住むミチエさんの母が預かると言ってくれたが、もし長男も陽性で母にうつしたらと思うと、その言葉に甘えるわけにはいかなかった。しかも長女は軽症とはいえ、発熱が続いて苦しそうだ。

「まずは娘を隔離。息子と私もそれぞれ接触しないようにしました。息子もなるべく部屋から出てくるな、と。食事は私が作って、それぞれの部屋の前に置いて……。1週間ほどは気が気ではない日々でした」

幸い、娘は陰性となり、その間、息子にも症状は出なかった。念のため検査したが陰性だったという。

「私も大丈夫でした。でも濃厚接触者なので、念のため数日休んで、再度検査をしてからようやく職場復帰。みんないたわってくれたけど、仕事は山積みでした。家でも仕事をしていましたが、あの期間はとにかく娘の心配と長男への感染の不安で気もそぞろ。仕事は予定の半分も進んでいなくて」

しかたがないので、数日、残業することにした。夫に連絡すると、「じゃあ、そろそろオレも帰るかな」と言う。残業があるので食事はすませてきてほしいというと、「じゃあ、帰っても意味がないじゃないか。何のために連絡してきたんだ」と冷たく言われた。

「そもそも娘の心配もしないでさっさと家を出ていくあなたに、何も言われたくないけどと私もキレかかりながら言いました。すると夫は電話を切ってしまった。あの人はいつもそうだった、何かあると逃げてばかり。一緒に立ち向かってくれない人だった」

結婚して15年たつが、今までも「ここで頼りたい」というときに逃げられた。たとえば子どもが病気になったとき、あるいはミチエさんの母が大けがをしたとき、ミチエさんが仕事で忙しくて子どもたちの面倒をみるのが大変だったとき、ミチエさん自身が体調を崩したとき。いつも夫は逃げていた。
 

「あなたががんばるからいけない」と母

しかたがないので、ミチエさんはいつも問題に最善の対応をしてきた。そんな彼女を見て、母は「あなたががんばっちゃうからいけないんじゃないの?」と言ったことがある。

「だけど私ががんばらなかったら、家庭はとっくに潰れていたわけです。それ以前に、たとえ小さいことでも家族に何かがあったら、まず心配するものじゃないんでしょうか。夫にはそういう感覚がどこか薄い。それでも今まではいろいろ取り繕ってごまかしながらやってきたし、私も忙しくていちいち怒ったりしなかった。ただ、今回はちょっと我慢ができませんでしたね」

ミチエさんの仕事も落ち着き、夫は家に戻ってくることになったが、帰宅前日にたまたま受けたPCR検査で陽性が確認された。

「夫からその連絡を受けて、家には帰ってこないでと夫に言いました。そのまま保健所の連絡を待て、と。夫は熱があるから帰ると言ったけど、絶対に帰ってこないでと拒否しました。『ひとりでどうすればいいんだよ』と情けない声を出していましたが、『あなたは娘を心配もせずにひとりで出て行った。そのあげく罹患したのだから、今度はひとりで治してください。今帰ってきてまた子どもたちにうつされたら困るから』と言ってやりました。夫は療養ホテルへ移ったそうです」

ひとりきりでホテルで療養するのも気が滅入るのだろう。夫からはしょっちゅう電話がかかってきたが、ミチエさんは仕事中は出なかった。

「2月半ばに、夫はようやく帰宅しました。陰性ではあるけれどまだ調子が悪いと言っていましたね。私は淡々と生活しています。お疲れさまとは言いましたよ。すると夫は『おまえは冷たいな』と。その言葉そっくりそのまま返すからと伝えました。なんかもう、ダメかもしれませんね、私たち夫婦」

とはいえ、中学生と小学生の子どもたちを抱えて、今すぐ離婚という決断はしづらい。夫はどう考えているのかわからないが、以前より子どもたちに話しかけるようにはなっている。多少なりとも後ろめたいところがあるのかもしれない。

「私とはほとんど話そうとしませんけどね。私も最小限の事務的会話だけ。でも前から会話がある関係でもなかったし……。コロナ禍で、夫の本性が見られたのはよかったのかもしれません。今すぐではないけど離婚という選択肢がよりリアルに感じられるようになったから」

ミチエさんによれば、似たようなことを言っている友人が数人いるという。どの夫婦も、コロナ禍で、夫婦としての真価を問われているのかもしれない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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