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格安SIMは損をすることも!? 月1000円以下のスマホ料金プランが向いている人、向いていない人

ここ最近、月額1000円を切るような非常に低価格の携帯電話料金プランが増えています。ですがそうした安いプランにはデメリットも多いだけに、使いこなせなければかえって損をしたり、不満を高めてしまう可能性があります。契約後に後悔しないためにも、こうした格安なプランがどんな人に適したものなのかを確認しておきましょう。

佐野 正弘

執筆者:佐野 正弘

携帯電話・スマートフォンガイド

政府の携帯電話料金引き下げ要請により、2021年には従来以上に安い料金プランが相次いで登場し、話題となりました。中には月額1000円前後、あるいは1000円を切るような料金プランも登場しています。

ですがそうした安いプランにはデメリットも多いだけに、使いこなせなければかえって損をしたり、不満を高めてしまったりする可能性も。契約後に後悔しないためにも、こうした格安なプランがどんな人に適したものなのかを確認しておきましょう。
格安の料金プラン、安いだけで選ぶと後悔をするかも?

格安のスマホ料金プラン、安いだけで選ぶと後悔をするかも?

 

月額0円から利用できる料金プランも

「格安スマホ」などの名前で知られる、携帯大手から回線を借りてサービスを提供しているMVNO(仮想移動体通信事業者)の多くは、ここ最近1000円を切る料金プランを相次いで打ち出しています。最近の事例でいえば、2022年1月27日に提供を開始した日本通信の「合理的シンプル290」が挙げられるでしょう。

これは通信量が1GBであれば月額290円で利用できるプラン。それでいて音声通話は通常の半額となる30秒11円で利用できますし、通信量が不足したら1GB当たり220円で追加も可能で、5GBでも月額1170円での利用が可能。毎月携帯電話代に数千円から1万円という額を支払っている人からすれば驚きの料金といえます。
日本通信の「合理的シンプル290」のWebサイトより。最も安価な通信量上限1GBの場合月額290円での利用が可能で、通話料も通常の半額だ

日本通信の「合理的シンプル290」のWebサイトより。最も安価な通信量上限1GBの場合月額290円での利用が可能で、通話料も通常の半額だ


・大手キャリアも格安プランを提供中
携帯電話会社が提供するプランの中にも、ソフトバンクの「LINEMO」の「ミニプラン」のように、通信量3GBで月額990円というものが出てきています。またKDDIの「povo」や楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」など、月額0円から利用でき、工夫をすれば月額1000円を切る使い方が可能なものもあります。
「LINEMO」の「ミニプラン」は月額990円で3GBの通信量が利用でき、なおかつLINE利用時の通信量は基本的に消費しないメリットがある

「LINEMO」の「ミニプラン」は月額990円で3GBの通信量が利用でき、なおかつLINE利用時の通信量は基本的に消費しないメリットがある

ですが低価格のプランには、低価格を実現するため何らかの制約があることが多く、単に安いからといって飛びついてしまうと後悔する可能性があることを忘れてはいけません。
 

格安プランの制約とは

・データ通信量が少ない
最大のデメリットは、やはり高速データ通信ができる容量が少ないことです。安価なプランの多くは通信できる量を減らすことで安くしており、月当たり1~3GB程度しか高速通信が利用できないものがほとんどです。

これは動画を頻繁に視聴しているとあっという間に消費してしまう量。LINEなどでのコミュニケーションや、Webサイトの閲覧など、軽めのコンテンツやサービスを主体に利用する人でなければ容量不足に悩まされる可能性が高いでしょう。

中には月額1100円でデータ通信が使い放題というフリービット系の「トーンモバイル」のようなサービスもありますが、こちらは動画視聴に制限がかけられており、動画を見るには1GB当たり370円のチケットを購入する必要があります。また楽天モバイルやpovoも低価格で利用し続けるには運用にかなりの工夫が必要。何らかの諦めと努力が必要なことは覚えておくべきでしょう。
楽天モバイルの料金は段階制なので、通信量が1GBまでなら月額0円、3GBまでなら1078円だが、それを超えると1000円台では利用できなくなる

楽天モバイルの料金は段階制なので、通信量が1GBまでなら月額0円、3GBまでなら1078円だが、それを超えると1000円台では利用できなくなる


・契約やサポートはオンラインが基本
もうひとつの大きなデメリットは、サポートです。低価格サービスの大半はオンラインでの契約・サポートが基本で、携帯大手のようにショップで手厚いサポートを受けることはできません。

これも低価格を実現するため、サポートにかかるコストをカットしているのが要因です。携帯電話会社が提供するサービスでも、LINEMOやpovoはオンライン専用で店頭サポートがありませんし、楽天モバイルのサービスは店頭での契約こそ可能ですが、その後のサポートはオンラインが基本になることからショップが駆け込み寺にならない点に注意が必要です。

数少ない例外がトーンモバイルと、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」の2つ。これら2つのサービスはNTTドコモと連携する「エコノミーMVNO」となっていることから、ドコモショップでの契約やサポートが可能です。
NTTドコモの「エコノミーMVNO」となっているフリービット系の「トーンモバイル」は、MVNOながらドコモショップでの契約やサポートが可能だ

NTTドコモの「エコノミーMVNO」となっているフリービット系の「トーンモバイル」は、MVNOながらドコモショップでの契約やサポートが可能だ


・データ通信品質が落ちる場合がある
MVNOのサービスに共通していえることなのですが、基本的に昼休みなどスマートフォンが多く利用される時間帯にデータ通信の速度が大きく落ちることがあります。理由は携帯電話会社からネットワークの一部を借りてサービスを提供している都合上、使えるネットワークの幅が狭く、利用する人が増えるとその幅が埋まりやすいためです。

そうしたことから低価格でも常に快適に通信できるサービスを選ぶならば、携帯電話会社が提供するものを選んだ方がいいでしょう。ただ最近では、MVNOの通信速度も以前よりは低下しづらくなってきているようですので、興味がある人は現在の回線を維持したまま、一度“お試し”でそれらのサービスを契約し、実際に体感してみるといいかもしれません。

・通話品質が落ちる場合がある
こちらも特に通話料が半額になるというMVNOのサービスに多いのですが、携帯電話同士で通話する際の品質が、携帯電話会社のサービスよりも落ちてしまうことがあります。

理由は、料金を安くするために「中継電話」を使っているからです。中継電話とは、加入している携帯電話会社から別の回線を経由して通話する仕組みで、料金を安く抑えられる一方、通話品質は従来の固定電話と同等の水準となります。
ソニーネットワークコミュニケーションズの「NUROモバイル」は、中継電話を活用して通話料を通常の半額にする仕組みを採用しているが、通話品質は固定電話相当となる

ソニーネットワークコミュニケーションズの「NUROモバイル」は、中継電話を活用して通話料を通常の半額にする仕組みを採用しているが、通話品質は固定電話相当となる

一方現在の携帯電話は、4Gのデータ通信を活用して固定電話より高音質な通話ができる「VoLTE(ボルテ)」という仕組みを用いており、VoLTEに対応した携帯電話同士であれば音質の高い通話が可能です。しかしながらVoLTE対応携帯電話でも、中継電話サービスを使えば中継する回線の品質に合わせて固定電話と同等の品質に落ちてしまうのです。

MVNOの中には日本通信など、中継電話を使わずに料金を安くしていることからVoLTEに対応するサービスも一部に存在しています。通話料と通話品質を重視するならば、VoLTEを利用できるかどうかを確認しておくのがいいでしょう。
 

安価なサービスに向いているのは?

以上のことから格安な料金プランに向いているのは、基本的に

 ・スマートフォンを使いこなしており、オンラインでの契約やサポートに慣れている
 ・自宅や職場などにブロードバンド回線があり、それ以外の場所では動画を見ない
 ・通話や通信の品質は最高水準でなくていいので、それよりも料金を安くしたい


といった人になるかと思います。安価な料金を実現するには通常のサービスから削られている要素が多く存在するだけに、自分の使い方やスキルを考慮した上で利用することをおすすめします。


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