All About編集部は「歯磨きに関する意識調査アンケート」を実施。今回はその結果を発表するとともに、歯科医である筆者が正しい歯磨きができているかのチェックリストを紹介します。
※アンケートは、下記条件で実施
・男女比:男性 152名/女性343名/回答しない 4名
・年齢比:20代 126名/30代 192名/40代 113名/50代 57名/60代 11名
・アンケート実施期間:2022年1月14日~15日
大人になってから虫歯を経験した人は8割
グラフは、20~60代男女499名を対象に成人後の虫歯経験の有無を聞いたものを割合で示したものです。大人になってから虫歯を経験したことはありますか?
あなたは大丈夫? 歯磨きチェックリスト
□食後すぐ(30分以内)に歯磨きをする□歯ブラシは濡らして使う
□硬めの歯ブラシでしっかり磨く
□歯間はつまようじでケアする
□歯磨き粉は念入りにすすぐ
□歯ブラシを1カ月以上使用する
□濡れたままの歯ブラシをそのまま使う(※持ち運びの歯ブラシの場合)
上のチェックリストに、あなたはいくつ当てはまりましたか?
実はこれらは全て歯磨きのNG習慣。良かれと思って続けている歯磨き習慣が、逆に虫歯や歯周病などのリスクを高めてしまっているかもしれません。以下、チェックリストの解説をします。
■食後すぐに(30分以内)歯磨きをするはNG
食事中は、口の中が酸性の状態に傾きやすくなるため、歯の表面が溶けて柔らかい状態になります。すぐに唾液による中和が始まりますが、回復するまでに数時間かかるといわれています。したがって歯ブラシによる機械的な摩耗をできるだけ減らすためには少し時間を空けて磨く方が有利だといえます。時間が許されるのであれば食後に30分程度時間を空けて磨く方が歯に与えるダメージは少なくて済みますが、歯に与えるダメージよりも磨かないリスクの方が遥かに高いため、時間がなければすぐに磨いても問題はありません。
■歯ブラシは濡らして使うはNG
これは使用前の歯ブラシがしっかり乾燥していることが条件です。水で濡らすと泡立ちが良くなるため、口の中が泡でいっぱいになってしまいブラッシング時間が短くなってしまったり、爽快感がすぐに現れて磨き残しとなる可能性があるのです。
■硬めの歯ブラシでしっかり磨くはNG
毎日きちんとブラッシングを繰り返していれば、硬い歯ブラシでないと落とせないプラークは存在しません。硬い歯ブラシはあくまで磨き心地の好みの問題です。むしろ硬い歯ブラシで大きく動かす方が歯に与えるダメージが大きいと考えられます。歯ブラシは、まず奥歯や歯の裏側まで毛先が届きやすいヘッドの大きさのものを選びましょう。ヘッドの縁ぎりぎりから毛の根元が生えているものがおすすめです。出血を繰り返すようであれば、まずはソフトな硬さを選び、その後普通の硬さにします。
■歯間はつまようじでケアするはNG
汚れをためるぐらいなら、ようじでとった方がまだいいですが、歯間ブラシを使用しましょう。歯科医院でも虫歯のできやすい場所として、かならず虫歯をチェックしている場所というのが歯と歯の接触部分です。直接この場所のプラークを除去することは効率的な虫歯予防になります。さらに歯周病の最も進行しやすい場所のひとつが歯と歯の間の歯肉です。歯間ブラシはピンポイントで歯と歯の間のプラークを取り除けます。これらの補助清掃器具は、リスクの高い場所のプラークを直接落とすことができるので非常に効率的なのです。
■歯磨き粉は念入りにすすぐはNG
フッ素の薬効成分はできるだけ流さないようにしたいのですが、口の中に食べかすが残るほどすすぐ量を少なくする必要はありません。普段から物が挟まりやすい人は、まずはそれをしっかり洗い流すことを考えてください。その上で薬効成分の付着量を残せるように心がけてみましょう。ちなみに歯磨き粉のフッ素濃度の上限は現在1450ppmとなっており、2017年3月以前の950ppmに比べて約1.5倍となっています。これは国際的な基準の濃度です。
■歯ブラシを1カ月以上使用するはNG
歯ブラシは使用しているうちに徐々に弾力がなくなり柔らかくなってきます。さらに毛先が摩耗するため先端形態も僅かに変化します。このため、ブラシを振動させた時に毛先の動きがバラバラになって磨く部分にムラができやすくなるのです。歯ブラシを縦方向に噛む癖がある人はすぐに拡がってしまうので注意してください。使い込んだ歯ブラシを交換した時に実感できる毛先のまとまり感や硬さなどを参考に、1カ月程度で交換しましょう。電動歯ブラシに関しては、余分な力がかかりにくいことや、ブラシ自体のコストも高くなる傾向があるため、2~3カ月程度での交換をオススメします。
■濡れたままの歯ブラシをそのまま使うのはNG(※持ち運びの歯ブラシの場合)
歯ブラシは使用後にしっかり洗うことと、保管中に乾燥させることは雑菌を増加させないためにも大切なことです。学校や会社などでケースにしまって保管しているような場合には、雑菌の繁殖の恐れもあるため、使用前にしっかりと水で歯ブラシを洗い流してから使用するようにしましょう。