歯・口の病気

想像以上にヤバい!歯磨きをサボって寝るリスクを歯科医が解説

寝る前の歯磨きを忘れてしまった経験、誰しも1度はあるのではないでしょうか。この記事では編集部が実施した「歯磨きに関するアンケート」を発表するとともに、歯磨きを忘れて寝てしまうリスクを解説します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

仕事や家事に疲れてひと休みのつもりがうっかり……。寝る前の歯磨きを忘れてしまった経験、誰しも1度はあるのではないでしょうか。では実際のところ、歯磨きを忘れて寝てしまうとどんなリスクがあるのでしょうか。

そこでAll About編集部は「歯磨きに関する意識調査アンケート」を実施。今回はその結果を発表するとともに、歯科医の筆者がそのリスクを解説します。

※アンケートは、下記条件で実施
・男女比:男性 152名/女性343名/回答しない 4名
・年齢比:20代 126名/30代 192名/40代 113名/50代 57名/60代 11名 
・アンケート実施期間:2022年1月14日~15日
 

寝る前の歯磨きをサボった経験がある人は約7割

グラフは、20~60代男女499名を対象に「歯磨きを忘れて(できずに)寝てしまった経験はありますか?」に対する回答の割合を示したものです。
歯磨きを忘れた(できなかった)経験はあります??

歯磨きを忘れた(できなかった)経験はありますか?

結果は、約7割が「ある」と回答。なんらかの理由で夜磨かなかった経験がある人は少なくないようです。
1日に何回歯を磨きますか?

1日に何回歯を磨きますか?

また、「1日に何回歯を磨きますか?」という質問には、「2回」の回答が最も多く53%という結果になりました。1日1回以下は16%となっており、寝る前の歯磨きを忘れた場合でも、約8割の人は24時間に1回歯を磨いている計算になります。
 

就寝中に「トラブル」は進行する

就寝前の歯磨きを忘れたことがある人が7割と多い結果になりましたが、日中の歯磨きを忘れることよりも様々なリスクがあります。

口の中のトラブルのほぼ全て(口臭、虫歯、歯周病など)の進行が起こりやすい時間帯というのが、実は就寝中だといわれています。これは細菌に対して防御機能の役割を持つ「唾液」が減少してしまう時間帯だからです。

朝起きて口臭が気になる人も多いと思いますが、それは唾液の減少と口の中の細菌の増加が原因です。唾液は細菌の洗い流しの効果や歯の再石灰化による修復機能、口腔環境の酸性化による歯質の溶けだしを防ぎ「中和」を行なっています。

寝る前に歯を磨いて口腔内の細菌数をできるだけ減らすことは、唾液減少時のダメージを最小限にするため1日の中で最も重要なのです。
 

就寝前の歯ブラシは「究極ブラッシング」を目指して

1日で最も大切な就寝前のブラッシングの目標は「目指せ!究極ブラッシング」です。3~5分程度かけて、その日のプラークを完全に落とすつもりでしっかりと磨きましょう。

歯並びの悪い部分は色々な方向から当てて、歯に物が挟まりやすい部分の汚れも完全に落としてください。前歯の裏側、以前虫歯の治療が行われたことがある部分などは、ブラッシングのウイークポイントとなりやすいので時間をかけて徹底的に磨きます。

歯間ブラシは歯周病予防に役立ちます。歯と歯の間の歯ぐき周辺は、表面や裏面の歯ぐきの部分よりも歯周病が進行しやすい高リスクな場所です。歯間ブラシは歯ブラシでは届きにくいこの場所のプラークを集中して落とすことができるため、歯間ブラシが入るスペースがあれば使用しましょう。

デンタルフロスは虫歯予防に役立ちます。歯と歯の間の虫歯リスクは非常に高く、歯科医院でも真っ先にチェックしている場所です。この場所は虫歯リスクが高いのに、歯ブラシでは届きにくいのです。このため歯間ブラシやフロスを利用すると歯周病と虫歯のリスクの高い部分のプラークを効率的に落とすことができるのでメリットが大きいのです。

究極ブラッシングの仕上げに役立つのがマウスウォッシュです。ブラッシング後に使用することで薬効成分の効果をより期待できる状態になります。ブラッシングなしでのマウスウォッシュだけでは効果は限定的なので仕上げに使用するのがいいでしょう。

電動歯ブラシは人間の手の動き以上にしっかりと毛先が振動します。そのため歯ブラシを動かすという意識よりもどこに当てるかに集中できるので、ブラッシング操作の自信のない人でも安定したブラッシングが可能です。虫歯や歯周病の傾向が強い人は使用してみてはいかがでしょうか?
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