マイバッグやマイボトル、紙製ストローの普及など、脱プラスチックの意識は日常に定着しつつありますが、「海のごみ」の深刻すぎる実態をご存じでしょうか。

そこでAll About編集部は「海洋ごみ」に関する意識調査を実施。今回は、その結果を発表するとともに、海洋環境のエバンジェリストであり、スキューバダイビングインストラクターでもある筆者が「今知っておくべき海洋ごみの実態」を解説します。

※アンケートは、下記条件で実施
・男女比:男性 150名/女性 342名/回答しない 8名
・年齢比:10代 4名/20代 100名/30代 164名/40代 128名/50代 76名/60代 26名/70代 2名
・アンケート実施期間:2021年10月15日~21日
 

2050年、海のごみは魚よりも多くなる

世界で最も深い海として知られるマリアナ海溝でもプラスチック袋が発見されるなど、今や世界中の海のいたるところに散らばっているプラスチックごみ。その量は年々増加していますが、ダボス会議で知られる世界経済フォーラムによる2016年の報告書では「世界の海に漂うプラスチックごみの量が今後も増え続ければ、2050年までに重量換算で魚の量を上回る計算になる」という衝撃的な発表がなされました。

2010年に海に流出したプラスチックごみは800万トンと推定されており、生産されたプラスチックの総重量との割合、および世界のプラスチック生産量が年5%の割合で増えていることなどを考慮して計算すると、海洋における魚類の全生物量とされる8億トンを2050年にはプラスチックごみの重量が超えることに。海の中で魚の量よりもプラスチックごみの量のほうが多くなるなんて、普段海の中を見ているダイバーの立場からするとゾッとします。

海の中のプラスチックごみの量が増えれば、エサとして間違って食べてしまったり、体に絡まってしまうことにより、海の生き物が今まで以上にダメージを受ける可能性があるだけでなく、漁業にも深刻な影響が出ることが懸念されます。また、プラスチックが小さなマイクロプラスチックになると、それを取り込んだ海洋生物や食塩などからも私たちが摂取する可能性があり、まだ詳しいことは明らかにされていないものの、人体への影響も心配されます。
 

8割以上が知らない「28年後の海」

以下に示したのは「海洋ごみがこのペースで増加すると、2050年に魚よりもゴミの量が多くなる予想があることを知っていましたか?」のアンケート結果を集計したものです。
2050年には海洋ごみの量が魚より 多くなる予想があると知っていますか? 

2050年には海洋ごみの量が魚より多くなる予想があると知っていますか? 

8割以上が「知らない」という結果になりました。アンケートに寄せられた意見は以下の通り。

・2050年というとまだ自分が生きている年だと思うので決して他人事ではない。(30代 女性)
・かなり緊迫感のある事実に驚いた。今からでも自分なりにできる限りの行動をして地球の環境保全に努めたい。(40代 女性)
・かつて「未来人が生魚を食べに現代に来た」という内容の2ちゃんねるのスレッドがありました。その時は半信半疑でしたが、本当に魚を食べられなくなってきている。(40代 女性)

そう遠くない未来の海に危機感を覚える声が上がる一方、

・私個人が頑張ったとしても、それが全体的な結果に繋がってくるとはあまり思わない。(30代 女性)

といった諦めの声、何から行動していいか分からないという声も少なくありませんでした。
 

海のために今からできること

海のごみの7~8割は陸から来ているといわれており、私たちが陸上で出すごみの量を減らすことが、海をきれいにすることにつながります。

中でも注目したいのが「使い捨て」のプラスチックごみについて。2018年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)と国連環境計画(UNEP)がまとめた論文によれば、水深2000メートルより深い海底で見つかったプラスチックごみの89%が、日常で使用するスーパーのレジ袋などの「使い捨て」プラスチックで、水深6000メートル以深になるとその割合は92%に増加しているとのこと。いかに使い捨てのプラスチックごみが世界の海の隅々にまで侵食しているかがわかります。

2050年に魚よりもごみが多い海にしないためにも、私たちひとりひとりが、日常で出すごみをひとつでもいいので減らすことを心がけたいもの。マイボトルやマイバッグ(エコバッグ)を使ったり、使い捨てのスプーンやフォークを使わずにマイカトラリーを使うなど、使い捨てのプラスチックごみを減らすためにできることはたくさんあります。美しい海の環境を次の世代に残すためにも、ぜひみんなで取り組みたいですね。
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