小学校の入学時点で、発達に偏りがある子には「通常学級なのか、特別支援学級なのか」という選択肢があり、親はどのような環境で過ごすことが望ましいのかということで迷うことになります。また入学後も、「通常学級から特別支援学級」「特別支援学級から通常学級」など、クラスを移ることに悩み続けることとなります。

発達に偏りのある子どもの学びや育ちの選択肢である、「通級指導教室」や「特別支援学校」などについての仕組みを解説していきます。
 

発達の偏りで悩む子どもはたくさんいる

発達障害の子どもの学び場選び

発達に偏りがあり悩んでいる子どもは少なくない

文科省の発表によれば、通常学級に通っている子どものうち6.5%が発達障害であるとされています。1クラスの人数30人~40人の中に2人~3人の発達障害の子どもがいる計算です。またそれ以外に、基準に当てはまりにくいが偏りがある子どもも、一定数いることが想像できます。発達の偏りで悩む子どもおよび親は、決して少なくない数であるということがいえるでしょう。

私は22年間、小学校の教員として学級担任をしていましたが、大学を卒業して小学校の現場に出たばかりの頃は「発達障害」という言葉は一般的ではありませんでした。ただその当時も落ち着きのない子どもはいましたし、発達に偏りのある子もいました。

その後、「ADHD(注意欠陥・多動症)」や「LD(学習障害)」などが一般的になり、それに当てはまるという子どもが増えてきました。
 

特別支援教育の仕組み

発達障害の子どもの学び場選び

発達障害の子どもの学びの場はいくつかある

現在の日本の義務教育段階における通常学級や特別支援教育の仕組みについて説明します。大きく4つの選択肢がありますが、それぞれの学級や学校の名称は自治体によって少しずつ違う場合があります。

1. 通常学級
一般的に「学級」や「クラス」といわれるものです。現在、最大で40人が在籍していますが、1クラスの人数を減らすという政策が実施され、数年かけて1クラス35人となるように取り組んでいます。

2. 特別支援学級
特別な支援を要する子どものための学級です。「自閉症・情緒障害」「知的障害」「肢体不自由」「病弱・身体虚弱」「弱視」「難聴」「言語障害」の7つの障害種別に分かれています。ほとんどの場合、学級名にこういった障害種別名はついていないため、親など外部の人からはどういった学級があるのかが分かりにくくなっています。

3. 通級指導教室
通常学級に在籍していて軽度の障害がある子が、障害の状況に応じて個別の指導を受ける場です。通級指導教室に通うにあたっての基準は明確ではないのですが、「通常学級での学習に概ね参加ができ、一部特別な指導を必要とする程度」とされています。通学している学校にない場合は、通級指導教室を開設している近隣の学校までその時間だけ通うという場合もあります。

4. 特別支援学校
特別支援学級や通級指導教室とは違い、独立した学校です。「視覚障害者」「聴覚障害者」「知的障害者」「肢体不自由者」「病弱者」に対して、教育を施すことを目的としたものです。名称は「特別支援学校」と呼ぶところが多いですが、「支援学校(川崎市)」「養護学校(神奈川県)」などの呼び方もあります。また障害種によって「聾特別支援学校」「盲特別支援学校」などもあります。
 

その子に適した場を選ぶことが大切

発達障害の子どもの学び場選び

適した環境であれば力は伸びていく

発達に偏りがある場合であっても、適した場所であれば、子どもは着実に成長していきます。それが、何らかの理由で適切でない場所の場合、さらに発達に偏りが生じてしまうなどの問題が発生する可能性もあります。発達に大きな問題のない子ども以上に、生活する環境の影響を大きく受けることになるのです。

小学校入学のタイミングなどで、いくつかの選択肢からどの環境を選ぶのかは、親が自分の子どもをどういった環境で学ばせたいのかという「保護者の意向」が大きく影響を及ぼします。

発達に偏りがある子どもの学ぶ場所が決まるに当たっては、知能検査を受ける、学校の特別支援コーディネーターとのやり取り、自治体の特別支援連携会議などを経る必要があります。

子どもの発達に心配がある場合は、早いうちに自治体や各学校の相談担当に連絡をしていくと良いでしょう。特別支援教育の状況はそれぞれの自治体によって充実度に違いがあります。それぞれの自治体の状況などを踏まえ、その子どもにとって望ましい環境はどういったものなのか、ということを考えていくことが大切でしょう。

【文部科学省】発達障害について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm
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