義理の娘・息子の帰省……義父母が感じる「おもてなし」のストレス
息子夫婦の帰省に、義父母は何かと気を遣うもの。ストレスフリーな「おもてなし」を考えてみましょう
なかでも、「息子の嫁」には気を遣うという考える人は多いものかもしれません。「居心地の良い家と思ってくれているかしら」「嫌な姑だと思われないかしら」と気をまわしすぎてしまい、帰省を迎え入れるたびにストレスを溜めてしまう方もいるようです。
そもそも昨今では、子どもが巣立った後に一回り小さな住まいに住み替え、限られた生活費のなかでささやかな老後を楽しむ夫婦も多くなりました。なのに、こと子どものことになると昭和的な価値観が頭をもたげ、「昔ながらのお正月」にこだわろうとする方も少なくないように思います。
嫁にとっては義理の家……「実家気分を」と言われても無理がある
しかしいくら義母が頑張っても、嫁にとっては「義理の家」であることに変わりはありません。義父母の努力がかえって嫁には負担となり、義理の実家を「気の重い場所」だと思わせてしまうという悲劇もあります。
義理の家族づきあいは、何十年も続くもの。だからこそお互いストレスをためないように、「帰省のあり方」をもっと自由に考えていく必要があるように思います。では、具体的にどんなおもてなしをしていくといいのでしょう? 正解はありませんが、カウンセラーの立場として3つ提案したいと思います。
1)近距離帰省の場合……家ではアフタヌーンティーでおもてなし
息子夫婦が帰省してくると、家での食事は基本的に義父母が用意しなければなりません。「大歓迎」の気持ちを形で表そうすれば、何日も前からメニューの準備をし、テーブルいっぱいに大皿を並べて手の込んだ料理を味わってもらいたくもなるでしょう。嫁には「お手伝いなんていいのよ。ゆっくり休んでて」などと気の利いたことを言いたくもなりますし、かといって嫁がその言葉通りに休んでいると「気の利かない嫁だ」という思いも生じてしまうかもしれません。どちらにしても気遣いの連続です。
ならば、実家はほんの少し「立ち寄る場」と捉えてもらい、アフタヌーンティー程度のおもてなしをしてみてはいかがでしょう。おいしいケーキ、フルーツなどを買って用意しておけば、とても華やかな食卓になります。アルコールはシャンパンを用意すると、品のいいお茶会になると思います。お茶会なら多く見ても3時間程度で「お開き」にできます。
2)あえて盆暮れ・大型連休を避け、花見や紅葉狩りを楽しむ
人混みや交通の混雑を避け、あえて「大型連休には帰省をしない」と決めている人も多いものです。息子夫婦にとっても、やっと取れた連休なのに義理の付き合いに時間をとられて疲れをためたくないという思いもあるかもしれません。それならいっそのこと、親の方から「無理に帰省してもしなくてもいいよ」と提案してみるのも親切かもしれません。今の時代、オンラインでいくらでも帰省ができます。年始や盆のあいさつはオンラインで済ませ、移動しやすいさわやかな季節に再会を楽しむのも一案です。
たとえば、花見や紅葉のシーズンの普通の休日に、互いの中間地点の自然公園などでピクニックランチを楽しむという方法もあります。家での会食だと双方気を遣いますし、レストランの会食だと出費がかさみ、かしこまってしまうかもしれません。ですが、自然の中でなら互いの気持ちが軽やかになり、家族団らんの楽しさを感じられるのではないでしょうか。孫やペットがいるなら、さらに楽しい時間になると思います。
3)遠方からの帰省の場合……「ホテル宿泊プレゼント」のおもてなしも
遠方から帰省するならホテルを予約して、外泊してもらうという方法もあります。義理の家で寝泊まりして気を遣わせるより、ビジネスホテルであっても宿泊代をプレゼントされた方が嫁もリフレッシュできるでしょう。緊張感が解けてぐっすり眠れるかもしれません。昨今は大型風呂付のビジネスホテルも増えてきましたので、実家の狭い風呂を利用してもらうより、喜ばれるのではないでしょうか。義父母にとっては布団の上げ下ろし、風呂や朝ごはんの準備の手間が省けることも、大きなメリットです。客用布団をあらかじめ用意しなくてもいい、という利点もあります。家の隅々まで掃除して迎えなくてもいいため、掃除が苦手でも安心して帰省に対応できるでしょう。
とはいえ、息子夫婦と孫のホテル代に加えて食事もごちそうするとなれば、10万前後の出費を考えなければならないかもしれませんね。息子夫婦も交通費や手土産代にお金をかけて帰省してくれているのですし、そのくらいの出費は覚悟しておいたほうがいいかもしれません。
息子の帰省に嫁を巻き込む必要なし? 義務で縛られない自由な帰省を
以上の3つでご提案したように、今の時代は家族も「世間の常識」や「日本の伝統」などにとらわれず、ストレスにならない自由な付き合い方を選択していけばいいと思います。そして最後に一つ。息子が帰省して実家で癒しの時間を過ごしたいなら、「お嫁さんを無理に巻き込まないように」と伝えておくのも一つの方法です。「嫁のつとめ」という思いから我慢して帰省に付き合ってもらうより、一人でのんびり過ごしたり、自分の実家に帰省したり、友だちと旅行に出かけるなどして、自由に過ごしてもらうほうが、嫁にとってもうれしいことなのではないでしょうか?
「自分がのんびり帰省したいなら、お嫁さんの気持ちをよく聞きなさい。無理に付き合わせてはいけないよ」と息子に伝え、夫婦でよく話し合ってもらいましょう。帰省に関する自由な考え方、実家との楽な付き合い方をこちらから提案してあげるのが、「粋な親ごころ」といえるのかもれませんね。