老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、定年退職後、個人年金の受け取りがある場合についてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:個人年金保険の満期金の受け取りがあります。税金対策で年金は繰り下げ受給したほうがいい?
「65歳で定年退職後は個人年金保険の満期金の受け取りがある場合、年金収入があると税金が増えますよね? その場合、年金は繰り下げ受給して受け取らないほうがお得ですか?」(50代・会社員男性)
個人年金保険の受け取りがある場合は年金を繰り下げ受給するべき?
A:個人年金の受け取り方法によって税金の取り扱いが変わります。いくらの税金がかかるのか、計算して判断しましょう
公的年金の他に民間の個人年金保険に加入している人もいると思います。個人年金保険を受け取る際、保険料を支払った人と年金受取人が同じで、毎年年金を受け取る場合は「雑所得」、年金を一括で受け取る場合は「一時所得」として扱われます。次のような個人年金保険に加入している人がいると設定して、一括で年金保険金を受け取る場合として計算してみます。
個人年金の種類:10年確定型個人年金保険
基本年金受取額は84万円、年金受取累計額は840万円(84万円×10年)
契約時の年齢及び保険料は20歳から65歳までの45年間、月額1万5000円保険料の支払い。払込保険料の累計額は810万円(45年×1万5000円×12カ月)
一時所得の計算式は次のとおりです。
総収入金額-必要経費(収入を得るために支出した金額)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
総収入金額は年金受取累計額、必要経費は払込保険料累計額となります。
計算式にあてはめてみます。
840万円(年金受取累計額)-810万円(払込保険料累計額)- 50万円(特別控除額)=▲20万円
マイナス20万円となりました。よって、個人年金保険を一括で受け取る場合、所得税(一時所得)はかからないことになります。
もし計算の結果にて、一時所得が発生した時は、その所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。
なお公的年金は、所得税(雑所得)の対象ですが、公的年金の雑所得を計算する時は、年金収入から公的年金等控除額(65歳未満は60万円、65歳以上は110万円)を差し引いて計算します。基礎控除も差し引けますので、相談者が65歳の時に158万円(公的年金等控除額+基礎控除)を超えなければ所得税はかかりません。
公的年金の雑所得があった場合も、他の所得額と合わせて総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。
繰り下げ受給は、66歳から可能ですので、まず、どのような税金がかかるのかを、税務署などに確認してから、検討するといいと思います。
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監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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