反対されるほど燃え上がる恋愛感情……「ロミオとジュリエット効果」
家族や友達に祝福されないとしても結ばれたい……情熱的な恋愛感情を生む心理とは
心理学用語で「ロミオとジュリエット効果」というものがあります。シェークスピア悲劇の『ロミオとジュリエット』のように、障壁が大きいほど2人の恋愛感情はドラマチックに燃え上がり、「何があっても結婚したい!」という意欲が高まっていくことを意味します。
お互いの実家の確執、立場の違い、道義的に認められない状況。こうした条件すべてが「ロミオとジュリエット効果」を引き起こし、2人の恋愛感情を熱く高めていくのです。
酷評される相手ほど魅力的に見える「ゲイン・ロス効果」
障壁の多い恋ほど燃え上がる理由には、もう一つの重要な要因があります。それは、印象のギャップによるものです。周りの反対や相手の悪い噂を聞くと、評判に流されて相手の印象はいったん悪くなります。「みんなが言うようにひどい人なの?」「あの愛の言葉は嘘なのかしら?」というように、相手のことを信じられなくなるのです。ところがこうして印象が悪化したあとに、相手がシャワーのように愛情を向けてくれたり優しさを見せてくれたりすると、逆に相手の印象がぐんと向上していきます。これを心理学では「ゲイン・ロス効果」と呼びます。下がった印象(ロス)が上がること(ゲイン)で、以前より何倍も相手を魅力的に感じられるのです。
つまり周りに「そいつだけはやめておけ」と酷評されるような恋人こそ、真摯な愛情を貫けば「白馬の王子さま」や「魅惑的な黒鳥」になれるチャンスがあると言えます。どんなひどいことを言われても腐らず、恋人に一貫して愛情とやさしさを注いでいけば、「ゲイン・ロス効果」で2人の絆は何倍にも強くなれるかもしれません。この心理効果をもとに、障壁を乗り越えてゴールインしているカップルはたくさんいます。
結婚がうまくいくか否かは2人次第。話し合い、育てていくのが夫婦の愛
とはいえ、「周りの大反対を押し切って結ばれた夫婦が本当に幸せになれるの?」と疑問を抱く人も多いでしょう。恋愛時代は楽しくても、結婚は地道な毎日の連続。周りから応援も得られないなかで、2人だけの力で結婚生活を続けていくのはつらいものです。大恋愛の末に結婚しても、そうした日々に心が折れ、「早々に破局してしまうのでは?」と心配に思う方も多いと思います。ですが、結婚生活がうまくいくかどうかは、はっきり言って2人次第。不安がつきまとい、気持ちの行き違いが生じるのは夫婦の常で、これは祝福されて結婚した夫婦でも、反対されて結婚した夫婦でも同じことです。小さな不安はその都度2人で話し合って解決し、互いの気持ちを確かめ合いながら愛を育てていけば、きっと困難を乗り越えていけるでしょう。
結婚はスタート地点! 愛を貫けば周りの評価が変わる「革新」も
そして、2人の評価はゴールインした後こそが重要です。何を言われても変わらずに互いを愛しあい、2人で幸せに生きる姿を周りに見せ続けていけば、周りの評価はいずれガラリと変わります。これは、心理学で少数派による「革新」(イノベーション)と呼ばれる現象です。少数派は多数派の意見に流されてしまうのが世の常ですが、どんな困難な状況にあっても自分たちが信じる正しいことを続けていけば、「革新」の効果でいずれは多数派の心が動きます。障壁を乗り越えて結ばれた2人が互いを労わり、愛する姿を貫いていく。多数派がその姿を目の当たりにすると「真実の愛、ここにあり!」と感動し、温かいエールを送ってくれることでしょう。
成人の2人が愛し合い、「互いを信じて結ばれたい」という思いは尊いものです。多くの障壁があっても、互いを信じて誠実な愛を貫いていけば、きっと周りにも分かってもらえるときがくるのではないでしょうか。そんなカップルには、ぜひ頑張っていただきたいと思います。