「皇族の結婚」で飛び交う「今どき、これあり?」の言葉
眞子内親王と小室圭氏の結婚でテレビが賑わっている。サムライヘアの是非、(小室氏の)印象が変わったのは眉毛が違ったからだ……などなど、これはある種のハラスメントではないかと思われることが平然と取り沙汰されている。
「入籍」という言葉をやめないメディア
中でもメディアがこぞって「入籍」と言ったり書いたりしているのが気になってたまらない。
入籍というと、どうしても明治時代の民法のように、「男性の戸籍に女性が入る」イメージが強いからだ。現行民法ではすでにある戸籍に入る「入籍」ではない。男女それぞれが親の戸籍から離れて、新たな戸籍を作るのが今の婚姻制度である。だが、メディアは「入籍」という言葉をやめない。「結婚」もしくは「婚姻届提出」でいいと思うのだが、なぜあえて「入籍」を使いたがるのだろうか。これは今回のみならず、芸能人の結婚などにも使われているし、一般的にも婚姻届を提出することを「入籍」と言う人が多いので、いつもモヤモヤしてしまう。
今でも「娘さんをください」は一般的か?
親である秋篠宮皇嗣殿下のもとへ、小室氏が挨拶に行くの行かないので世間ではいろいろ言われているが、テレビで「一般人の結婚だって、相手の親のところに行って『娘さんをください』と言うじゃないですか」とコメンテーターが話すのを聞いて、少し背筋が寒くなった。
今も「ください」というのが一般的なのだろうか。娘は物ではない。ください、あげますが成立するのか。「結婚させてください」もおかしい。「婚姻は両性の合意にのみもとづく」のであり、成人していれば誰の許可も必要はない。
父親のもとへ男性が行き、「娘さんをください」「結婚させてください」というのは、明らかに家父長制度の名残。父という男のもとから、夫という名の男のもとへ女性の身柄が移されて庇護だか束縛だかされるだけという印象がある。
「男は女を守る」がつとめ?
今回、「眞子さまを守るのが小室さんのつとめ」という表現をよく聞く。内親王という立場だから、一般人である小室氏が“世俗にまみれないように守れ”ということなのか、“経済的に苦労させるな”ということなのか、よくわからない。
一般的にも「男は女を守るもの」と耳にすることがあるが、わかったようでわからない。守る、とは“何から”なのか。暴漢から守るのか。だったら四六時中一緒にいなければならない。「世間の荒波」から? しかしイマドキの女性なら、自分で自分を守ることくらいできるだろう。
「かつて婚約者が『僕がきみを守るから』と言ったことがあるんですよ。思わず『何から?』と聞いてしまいました。彼はなんとなく雰囲気で言いたくなっただけみたい。だけどそうやって自分に酔っているような言い方をされても、心に響かなかった。
結局、その彼は結婚したらどちらの姓にするかという話を私が持ちかけたとき、『男が姓を変えられるわけじゃないじゃん』と言ったんです。私を守りたいと言いながら、譲る気はないのねと(笑)。それをきっかけに、まったく価値観が違うとわかって婚約は破棄しました。それ以来、女を守るなんて言う男は信用しないことにしました」(33歳・マリコさん ※仮名)
確かに、「守る」はあやふやな言葉だ。男はそうするべき、そうすれば女性は喜ぶと決めつけられているようで不快感を覚える女性も少なからずいる。
女性にも多い「責任者は常に男」という考え方
男女関係は平等である。一般論として、たとえば夫婦に何か疑惑がかかり、説明責任が必要であるならば、夫婦で共同して対処するのが普通だろう。「うちの小学校2年生の息子が友だちとけんかして、ふたりとも軽い怪我をしたんです。かすり傷程度ですよ。だけど知らん顔もできないから、たまたまその子のお母さんと会ったとき『先日はごめんなさいね』と声をかけたんです。当然、あちらも『いえいえ、うちのが悪いのよ』と言ってくれると思っていた。
そうしたら『悪いと思うなら、ご主人がうちに来て説明と謝罪をするべきじゃないですか』と切り口上で言われてしまって……。びっくりしました。子どものことだからお互い様じゃないですかと言ったら、ますます憤って。結局、男親同士が話して『まあまあ、よくあることだから』で済んだんだけど、本来なら子ども同士で解決できているのだからそれでよかったはず。しかも私じゃダメで、夫に出て来いというのは失礼ですよね。女性自身がそうやって女性の価値を貶めるのはどうなんだろうと思いましたよ」(ユウコさん・40歳 ※仮名)
日常生活の中でも、「責任者は常に男」と思っている女性が多いのは確かにモヤモヤする案件である。「最後は男が出てきて話せということになるのが、とても嫌ですね」ユウコさんは、怒りを露わにそう言った。
今回の眞子内親王の結婚も、最後は一般人の小室氏が「男として」どう責任をとるのかが問われているようだ。愛しあうふたりを等分に見ることはできないのだろうか。