「自分たちは大丈夫」……甘い気持ちが仲間をリスクにさらす

居酒屋での乾杯シーン

「感染なんてしないよ」そんな楽観バイアスから安易な行動をしている仲間にどんな言葉を伝えますか?

コロナ禍が続くなか、「自分たちは大丈夫」といった甘い考えでマスクを外して会食したり三密の中で行動して、感染リスクを増やしてしまう例が相次いで報告されています。
 
根拠なく物事を楽観的に捉えすぎる考え方の癖を「楽観バイアス」と呼びます。過大なストレスから逃れるために、無意識のうちに楽観的な考え方が浮かび、その考え方に捉われてしまうのです。
 
楽観バイアスは心理的危機から自分の守るための作用ですが、それがゆえに自分や大切な仲間を感染リスクにさらし、後悔しないようにしたいもの。一人のときには気を付けていても、楽観バイアスが蔓延する環境にいると、気づかぬうちに巻き込まれてしまうことがあります。
 
「楽観バイアス」についてくわしく知りたい方は、「感染対策にも有効!「楽観バイアス」に流されない5つの習慣」記事もあわせてご覧ください。
 

楽観バイアスの同調圧力に抗えない……仲間外れになりたくない気持ちも

緊急事態下に楽観バイアスが生じてしまうのは、多くの人がストレスのはけ口を求めていることの証でもあります。「一人でいるのはつまらない」「人と会って思い切り話がしたい」……。こうした欲求不満に耐えかねて「コロナなんて大したことない」「ちょっとくらいなら大丈夫」という楽観バイアスが生じ、安易な行動が蔓延してしまうのです。
 
周囲の楽観バイアスに抗いにくいのは、「同調圧力」も影響もあるでしょう。たとえば、皆が会食に行くのに、自分だけは行かないという選択をした結果、距離ができてしまうかもしれない、仕事がしにくくなるかもしれない……。そのリスクを回避するために、本当は嫌だけど合わせるしかない。そんな消極的な気持ちで、楽観バイアスに従っている人も少なくないと思います。
 
楽観バイアスで「大丈夫だよ」と言っている人には、自分や他者を危険な目に遭わせたいなどという気持ちはありません。ストレスに耐えかねて楽観バイアスが生じ、客観的な視点を失っているだけです。だからこそ、周囲の人の楽観バイアスに巻き込まれないために必要なことをしましょう。ここでは3つの心得をお伝えします。
 

1. 「考え方が楽観的すぎるかな」と感じたら、返事を保留する

人から何かの誘いを受けたときに、感染対策などのリスク管理をどのように考えているのか、必ず質問しましょう。返答があいまいで「なんとかなる」「感染者は誰もいないはず」などの楽観的すぎる回答が返ってきたなら、すぐに参加の返事をしないこと。じっくり考える時間を持ちましょう。

そして、家族やパートナーなど、信頼できる人の意見を聞いたうえで自分の考えをまとめましょう。少しでも不安や疑問があるなら、その思いをメモに書いて考えるといいでしょう。なぜ不安に思うのか、疑問に思うのか、客観的に見つめられます。
 

2. 嫌われることを恐れて同調しない。正しいと思うことを主張し続ける

皆が楽観的な意見に流れているときに、否定することには勇気がいります。多数派が楽観バイアスに流れると、現実を捻じ曲げて解釈し、極端な行動に走ってしまうものです。だからこそ、たとえ一人でも正しいと思ったことを主張し続けることです。
 
少数派が多数派を動かす際には、一貫して同じ態度を示し、同じ主張をし続けること。続けていくと多数派の心が動かされ、少数派の声に耳を傾けるようになります。これを心理学者のモスコヴィッチは「革新」と呼びました。
 
楽観バイアスに流されている多数派のなかにも、「本当は心配」「もっとよく考えた方がいいと思う」と不安に思う人がいるはずです。だからこそ、自分は一人でも正しいと思ったことを主張し続けること。すると、多数派のなかにも少数派の意見に耳を傾ける人が出てきます。
 

3. 一時の楽しさより、真の信頼関係に必要なことをする

楽観バイアスで考えれば、世の中は楽しいことばかりです。鬱屈が晴れてワクワクした気分になるでしょう。しかし、それによって安易な行動をし危ない目に遭ってしまったら……。呼びかけた人は責任を追及され、皆にとっても嫌なつらい記憶になってしまいます。コロナ禍では、こうして友情を失い、仕事のつながりを失ってしまうこともあるのです。
 
大切な人間関係を失わないために、目先の調子を合わせるのではなく、真の信頼関係に必要なことをしましょう。いっとき険悪な関係になったとしても、安易な行動をきっかけに関係が壊れることのないように、信頼関係の維持に必要なことを伝えましょう。
 
以上の3つの心得を持っておくと、周囲が楽観バイアスに流れていても冷静な視点を持ち続けていられます。ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
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