気にしすぎ? 彼の微妙な“束縛”発言
束縛は愛ではない。だが何をもって“束縛”とするかは人それぞれ。自分が不快であれば、彼に直接問いただすのがいちばん早い。それはわかってはいるけれど……。
唐突に「どこにいるの?」
同い年の彼とつきあって2年たつというマチコさん(33歳)。結婚を考えないわけではないが、このコロナ禍では結婚式も挙げられないし、そもそも「それほど結婚にメリットを感じてもいない」そう。
「それ以上に、このまま彼とつきあっていていいのかなと思うことが増えているんですよ。ここ数カ月、彼は唐突に電話をかけてきて『今、どこにいるの?』と聞く。最初はコロナ禍だし夜遊びするのを心配しているのかなと思っていました。でも私、今年に入ってから飲み会にも行ってない。かなり厳しく自粛しているんです。だからたいてい『家にいる』と答える。すると『本当? テレビ電話していい?』って。もちろんいいけど、家ではスウェット着ているし、部屋も片付けてないからちょっとと言うと、『本当はどこかのホテルにでもいるんじゃないの?』って。だったら電話には出ませんよ(笑)」
そうやって疑うのは、むしろ自分が後ろめたい行動をしているからではないかとマチコさんは感じたという。ただ、彼女は疑うのも束縛するのも「めんどう」と思ってしまうタイプ。だから彼に必要以上に踏み込むようなことはしなかった。
「私は週の半分くらいリモート、半分くらい出社なんですが、彼が先日『今週の出社はいつ?』とLINEで尋ねてきたんです。思わず『どうしてそんなこと聞くの?』と返したら、『どうして教えてくれないの?』って。別に教えたくないわけじゃないけど、なんだか日常を監視されているようでイヤなんです」
友人に話したら、「恋人のことが気になるだけでしょ。私なら質問で返さずに素直に教えるけど。どうってことじゃないもん」と言われた。
「私が気にしすぎなんですかねえ」
マチコさんは、お互いにスケジュールを把握しあうのならまだいいが、彼は自分のことは教えないのに彼女のことを知りたがってばかり。そこに違和感を覚えると話す。
体型にまで口を挟む彼
「私も、少しでも束縛したりモラハラっぽい発言が彼からあると気にしてしまうタイプなんです」
ミドリさん(34歳)はそう言う。コロナ禍で知り合った4歳年上の彼とつきあって1年近くたつが、彼の何気ない一言に「モヤモヤしたものを感じることがある」という。
「夜になるとよくテレビ電話で話しているんですが、急に『今日のランチ、何食べた?』と聞かれたことがあって、会社近くの店でテイクアウトしたカレーだと答えたら、『カロリー高いな』って。ん?と思ったら『痩せたいって言ってなかった?』と。そういえば言ったかもしれないけど、実は私、ぽっちゃりだけどそんなに気にしてないんですよ。すると彼、『痩せたいならカロリーと栄養のことを本気で考えないと』と説教モード。このストレス過多のご時世で、そこまで真剣に痩せたいと思ってないからと言ったら、『いや、もう少し痩せたほうがいい』って。なんか体型のことを言われるのはイヤだなと思いましたね」
それだけでなく、ミドリさんのヘアスタイルやメイクについても細かな注文をしてくる。
「ショートだったんですが、彼がどうしてもロングにしてほしいというからこの1年、がんばって伸ばしてきました。それなのに先日会ったら、『なんか清潔感に欠ける』と言い出して。メイクも、夏はどうしても日焼け止めを塗るから濃くなりがちなんだけど、『濃く見えないスキルを身につけたら』って。いちいちうっせえよって感じ(笑)」
とはいえ、ミドリさんは彼に文句を言えずにいる。この彼を手放したら、もう二度と恋ができないのではないかと不安を感じるからだ。
「4年ぶりにできた彼氏なんです。細かくてうるさいと思うこともあるけど、一緒にいると楽しいこともある。友だちはモラハラだよというけど、別れたいと思うほどイヤなわけでもないし……。ヘアスタイルも、少し切ってもいいと言ってくれたので」
少し切ってもいいと言ってくれた……。そこに問題があると、またしても友人に指摘されたのだという。髪を切るのになぜ彼の許可がいるのか、と。
「許可というほど大げさなものではないんですが、友だちは『そういう小さいことを見逃していると、知らないうちに彼に支配されちゃうんだよ』って。そう言われればそうかもしれないとまた気持ちが揺れて。でももう二度と恋ができないかもしれないし。自分に自信がないのがいけないんですけど」
恋すれば心は揺れる。好きだから言うことを聞いてしまう。そういうことはある。ただ、自分にとって心地いいのかよくないのか、自分の心に素直に判断してもいいのではないだろうか。