不倫した夫からの離婚申し出、妻の対処は?
自らの不倫疑惑から、今年7月に妻でフリーアナウンサーの丸岡いずみさん(50歳)との離婚を発表した映画コメンテーターの有村昆さん(45歳)。その離婚が有村さんから切り出したことだとわかり、ちょっとした話題になっている。「有責配偶者からの離婚申し出は身勝手」「これをけじめとするのはおかしい」など、世間は違和感を覚えている。
「傷つけたのに一緒にはいられない」と夫
3年前、13年連れ添った夫と離婚したミカコさん(44歳)。同い年の夫との間には、現在15歳、13歳の子がいるがふたりはミカコさんと一緒に住んでいる。
「そもそも夫の様子がおかしいなと思ったのは離婚する1年くらい前でした。残業や出張がやたらと増えたし、冷たくなったわけではないけど心ここにあらずという状態。以前は子どもたちと話す時間が多かったのに、それも激減して。夫は仕事関係で知り合った15歳年下の女性に恋をしていたんです」
カマをかけたら、あっさりと口を割った。「どうしようもなく彼女のことが好きなんだ」と恋心まで口走った。
「うちは友だちも羨むラブラブ夫婦だったんですよ。それがいきなり裏切られたので、私は怒るより先にショックが大きすぎて寝込んでしまいました」
食べられない眠れないが重なって職場で倒れ、1週間の入院を余儀なくされた。駆けつけてくれた夫の母親に、ミカコさんはすべてを話した。
「お義母さんは号泣していました。ごめんなさいとひたすら謝られた。お義母さんが謝ることじゃないですって私も泣いて。とってもいい義母だったんです。だから彼女を悲しませたくなかった。やり直すから大丈夫と約束しました」
夫とも、夫婦の関係も再構築していこうと話し合った。夫が彼女と別れたのかどうか、ミカコさんはあえて聞かなかった。夫を追い詰めたくなかったから。
「でもその3カ月後、夫から『ミカコを苦しめた自分が許せない。これ以上、一緒にいてもきみは僕を許せないと思う。いや、僕自身が自分を許せないんだ』と言い出して。離婚届を差し出されました。『いや、それ、あなたが言う?』という感じでしたね。許す許さないは私が考える問題。『やり直すと決めたのだからがんばってみようよ』と励ましてしまいました。でも彼は『傷つけた自分を許せない』と一方的に言うばかり。最後は家を出て行ってしまったんです」
夫にやり直す気がなければ、自分も先には進めない。ミカコさんはそう考え、離婚届にサインした。いつかまた復縁も考えていた。ところがその半年後、夫はつきあっていた15歳下の女性と結婚。
「どうやら義母も一枚噛んでいたようです。夫には二重に騙され、義母にも裏切られた。不倫話よりそのほうが傷ついた。最初から『彼女に本気になってしまった。離婚してほしい』と潔く言ってくれたほうがよかった……」
純粋に見せかけた夫の心の裏には、とんでもない打算があったのだ。
落ち込んで鬱になってしまった夫
一方で、不倫した夫が露見後、本当に落ち込んで自らを責め、うつ状態になってしまったというケースもある。結婚して15年たつユリさん(42歳)だが、現在は夫と別居中。
「夫の不倫がわかったのは2年前です。会社の部下と1年ほどつきあっていたみたい。彼女に溺れていることは社内ですぐバレ、閑職に飛ばされた。不自然な異動だったので夫に尋ねたんですが何も言わない。しかたがないので夫の同僚に聞きました。私自身、社内結婚だったので、その夫の同僚のことも知っていたんです。彼は言っていいかどうかわからないけど、と夫の不倫が社内で問題になったと教えてくれました。彼女は会社を辞めたそう。私もショックだったけど、夫に黙っているのも癪だったから、『全部わかってるよ』と告げました。夫は目を見開き、絶望的な表情をしたのを覚えています」
当時、10歳になるひとり娘には、もちろん知らせていない。娘はパパが大好きだからだ。夫にもそのことを話した。もちろん他の女性と関係をもっていたことは「許せない」と思ったが、それによって娘から父親を奪う気はなかった。
「非常に情のある判決を下したつもりですよ、私。妻子に悪いと思うなら、これからはもっと尽くしてちょうだいと笑いに紛らわせて言ったんです。すると夫はまじめな顔をして、『オレ、おまえのそういう物わかりのいいところがイヤなんだよ』と。もっと怒りをぶつけたほうがよかったみたいです。でも起きてしまったことはしょうがないじゃないですか。これから先を見たほうがいいと私は思っただけなんですが……」
そうやって物わかりがいいところを見せられるとつらくなる、と夫は次第に会社にも行かなくなった。病院に連れていくと「うつ病」と診断された。
彼女はなるべく普通に接するように心がけた。共働きだからなんとか生活はできたが、娘も父親に気を遣うようになっていく。
「夫は1年ほどで出社できるようになりましたが、昨年夏に会社近くに部屋を借りた、と出ていきました。夫としては離婚したいようですが、私は離婚に応じるつもりはありません。今は夫の好きなようにさせるしかない。少し距離を置いて、お互いがどう思うのかを見つめる時期なのかなと思っています」
傷つけたほうがつらいのか、傷ついたほうがつらいのか。どちらがよりつらいと比較する問題でもないのだろう。この先、歩み寄れるかどうか、夫の出方を見たいとユリさんはつぶやいた。