夫の愚痴がうっとうしい
「男は強くあるべき」は、今は昔の話。実際、「とにかく夫が愚痴っぽい」「いつも具合悪いアピールをしてくる」といった妻の嘆きが止まらない。
夫の愚痴が止まらない
「うちの夫、本当に愚痴ばかり言っているんです。結婚前や新婚時代は言ってなかったから、子どもができてからかなあ。かまってちゃんなんですかね」
困ったように笑いながらそう言うのは、アカリさん(40歳)。3歳年上の夫、9歳と6歳の子との4人暮らしだ。
「私にとっていちばん重要なのは、子どもたちが元気でいること。だから家事はどれだけ手を抜くかがポイントですね。共働きですが、私は会社に徒歩で行けるし定時で帰れるので、家事はほぼ全部担っています。家電と冷凍食品に頼っていますけど(笑)」
アカリさんはとにかく明るい。暗いことを考えると、沼にはまるので「どんなときでも希望を見いだしてがんばる」のが信条だとか。中学から大学までずっとバスケットボール選手として闘ってきたから、「負けるのがイヤ」「勝つと信じて明るく前向きに」と生きてきた。
「夫はそんな私が好きだと言ってくれたのに、結婚したら本性が出てきたみたい。ネガティブなんですよね。子どもが生まれたら、心配性も重なって、ちょっと子どもが熱を出しただけで『大丈夫なのか、心臓止まっちゃうんじゃないか』って。不安を煽らないでよとずいぶんケンカもしました」
そして最近は、子どもたちの健康の心配が減少した分、自分の仕事上での愚痴が止まらなくなっている。
「今日は上司がどうしたとか、同僚が休んでその分の仕事が回ってきて困ったとか、もう、会社員ならそのくらいのことはあるでしょということばかり。いちいち愚痴っていたら仕事なんかできないよと言ったら、『どうせオレは仕事ができないよ』といじけるし。食卓は子どもたちがわいわいしゃべっているから賑やかなんですが、子どもたちが寝てしまうと夫の“愚痴タイム”が始まるんです。つきあってられないから、私はSNSをしたり仕事のスキルアップのための勉強をしながら聞き流しています。そうすると、『どうせオレのことなんか気にしてないんだろ』と言い出すし。あなたも何か勉強したら?と言うと黙っちゃいますけどね」
内にこもるタイプの人に、もっと外交的になれと言ってもむずかしい。だが、大人なら「自分の気持ちの整理くらいしっかりして」とアカリさんは考えている。
「そもそも解決法がないことを愚痴っても意味ないですよね。夫にそう言うと、『アカリは現実的すぎる』とすがるような目で見るんです。やってられません(笑)」
オレだって3日前から体調が悪いんだ……
同じように夫のネガティブ発言、愚痴にいらだっているのは、アキコさん(44歳)。50代に突入した夫が、妙に後ろ向きなことばかり言うようになったという。「私がちょっと『風邪気味かなあ、喉痛い』とでも言おうものなら、『オレなんか3日前から風邪気味で具合が悪くてしょうがないんだ』と言い出す。だったら3日前に言えよという話なんですが(笑)。いつでも自分のほうが大変だ、自分のほうが体調悪いと言いたいみたい。あらあら大変ねと言って、風邪薬でも差し出すとすごくうれしそうなんです。子どもにならそうするけど、夫は大人。風邪薬くらい自分で飲めと思いますよね」
夫は妻から大事にされていないと思っているのだろう。そう考えたアキコさんは、昨年の結婚記念日に、結婚してよかったと思っていること、これからも頼りにしているからということを伝えた。
「本当は頼りにはしていませんが、そういうことを言ったほうが彼の気持ちが上がるかなと思って。そうしたら『オレはたぶん長生きしないから、きみは楽しい未亡人生活を送ればいいよ』と。もう、笑っちゃいました。夫はもともと生真面目で悲観的なタイプ。男性の更年期かもしれないので、病院に行くよう勧めています」
夫の愚痴を真正面から受け止めている時間も気力もない、元気な妻たち。だが確かに男性にも更年期があるので、様子がおかしかったら医療機関での受診も考えてみたほうがいいのかもしれない。