亀山早苗の恋愛コラム

夫が仕込んだ「不倫妻」というレッテルが一人歩きしていく…。好奇心に満ちた周囲の視線に負けた私

先月8日に離婚が成立した福原愛さん(32歳)がオリンピック・卓球混合ダブルスの解説者として、久しぶりに姿を見せた。夫婦のことは夫婦にしかわからない。ただ「不倫妻」という言葉だけが一人歩きしていく。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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ついて回る「不倫妻」というレッテル

不倫妻

先月8日に離婚が成立した福原愛さん(32歳)が東京五輪・卓球混合ダブルスの解説者として、久しぶりに姿を見せた。だがいまだに「不倫妻のイメージを払拭するのに躍起になっている」などとも言われている。夫婦のことは夫婦にしかわからない。夫のモラハラがあったとか、福原さんが日本に帰国した際、既婚者とデートしていたとか、巷間さまざまなことが言われているが、何が真実かは第三者には不明だ。ただ「不倫妻」という言葉だけが一人歩きしていく。

 

仕事復帰してから夫がダダをこねるように

「私も似たようなことがあって苦しみました」

そう言うのは都内在住のヤヨイさん(40歳)だ。27歳のときに10歳年上の男性と結婚、28歳でひとり娘をもうけたが33歳で離婚した。

「娘が生まれてからしばらくは夫婦仲もうまくいっていました。なんだか夫の様子がおかしいと思い始めたのは娘が2歳になり、私が職場復帰してからですね。夫は私が仕事に復帰することには反対だったんですが、正直言って、夫の給料だけでは生活するのにやっと。家もほしかったし、将来の娘の学費などを考えると私も働かざるを得なかった。夫もそれについては納得したはずなのに、いざ私が仕事を始めると、まったく協力してくれない。しかも外泊することもあったりして、いったいどうなってるのと言ったこともあります」

夫は仕事が多忙で接待も多いと言い訳していたが、外泊するのはどう考えてもおかしい。浮気しているのではないかとも思ったものの、ヤヨイさんはそこまで夫を追い込むようなことはしたくなかった。

「浮気しているとわかったところで、どうにもならない。とりあえず日常生活がうまく回っていけばいいから、追い詰めないでおこうと思ったんです。正直言って、ケンカするのも面倒くさかった。そんなことに時間を費やしたくないという気持ちが大きかったんです」

今思えば、夫はもっと「かまってほしかった」のではないかと彼女は言う。娘のことと家事、仕事で手一杯になっている妻をいたわることもなく、ただ自分にかまってくれない妻にいらだっていたように思えるのだそうだ。

「朝になって、オレの靴下がないと騒いだり、シャツにアイロンがかかっていないと文句を言ったりしていましたね。靴下はいつものところにあるし、アイロンがかかっているシャツもあるのにまだかけていないシャツを着ていきたがる。子どもがダダをこねているみたいでした。ただ、それをハイハイと受け止めるには私は忙しすぎたんです」

 

幼なじみに相談していただけなのに

娘が4歳になった夏休み、実家の両親がしばらく娘を預かってくれることになった。

「3日ほどですが、娘自身が『おばあちゃんと一緒にいる』と言い出して。『ママ、帰っちゃうよ、本当に大丈夫?』と聞いたら大丈夫、と。ぐずったらすぐ来るからと言って置いてきました。新幹線を使っても2時間ほどかかりますから心配でしたが、私は仕事を休めなかった」

ひとりで自宅に戻るとその晩、彼女は久しぶりに幼なじみの男性と食事に行った。同じ都内に住んでいることがわかり、前から会いたいねと言っていたのだが、お互いになかなか時間がとれなかったのだ。夫には食事をして帰るとメッセージだけは送っておいた。

「どうせ夫は帰宅が遅いんですが、一応、伝えておきました。夕方、都心のレストランで待ち合わせて幼なじみと会って。楽しかったですね。男性とふたりきりという意識はありませんでした。彼は2軒先に住んでいて、幼稚園から中学まで一緒だったので、男として意識したこともなかったし、再会しても幼なじみというスタンスは変わらなかった」

ふたりで飲んで食べて、2軒目にはバーに行った。体を寄せ合って話したりハイタッチをしたりもしたが、きょうだいのような関係なので「アヤシい雰囲気にはなりようがなかった」という。

深夜に帰宅すると、夫が不機嫌な顔をしてリビングに座っていた。どうしたのと言うと、スマホの写真を見せられた。

「夫は私が実家から戻って、また家を出て行ったときからつけていたようです。どうやらその日は休みをとっていたみたい。『娘を置いてひとりで帰ってくるということは浮気しているに違いないと思った』って。2軒目のバーに行くとき、近道だからと実はラブホテル街を通ったんですよ。それで尾行していた夫はすっかり勘違いした。釈明しましたが聞く耳を持ちませんでしたね」

それがきっかけで夫婦の関係はどんどん悪化し、1年後には離婚に至った。途中から、ヤヨイさんは「もうどうでもいいわ」という気持ちになっていったという。それ以前に、夫婦関係は亀裂が入っていたからだ。

「だけどその後がさらにひどかった。夫は私の友人や親にまで、『ヤヨイの浮気で別れることになった』と連絡を入れまくったんですよ。名誉毀損で訴えればと友人に言われましたが、もうそれさえ面倒だった。夫と関わりたくなかったから」

夫はろくにつきあいもなかった近所の人にまで触れ回っていたようだ。ヤヨイさんは一時期、近所の人たちの目を避けるように生活するしかなかった。夫は近くのアパートを借りてひとりで住み始めたのだが、結局、ヤヨイさんも娘を連れて引っ越しせざるを得なくなった。

「近所の人たちの好奇心いっぱいの雰囲気に負けました。娘の保育園の関係で、そのまま自宅にいたかったけど、夫が仕込んだ“不倫妻”のレッテルが思った以上に厳しくて。本当のことなど知りもしないのに人を好奇な目で見る人たちって多いんですよ」

そんな目ははねのけるつもりでいても、噂やレッテルは怖いものだと彼女は実感したという。今は12歳になった娘と、父が亡くなってひとりになった母と3人で「快適な暮らし」をしていると笑顔を見せた。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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