亀山早苗の恋愛コラム

女性が結婚で得るもの、失うもの。50歳目前、子どもが自立したら私に何が残る?

大恋愛をして結婚したはずなのに、15年もたつと「夫にまるで無関心になってしまった」と嘆く女性が少なからずいる。女性たちは結婚生活で何を得て何を失うのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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女性が結婚で得るもの、失うもの

夫に無関心

大恋愛をして結婚したはずなのに、15年もたつと「夫にまるで無関心になってしまった」と嘆く女性が少なからずいる。女性たちは結婚生活で何を得て何を失うのだろうか。

 

夫への恋心を失った

「子どもがいることは、結婚でいちばんよかったこと。ふたりの子は宝物。だけど、必ずふたりとも私の元を離れていくわけですよね。そう思うと、何のための結婚なのかなとも思います。子どもが小さいころのことをよく思い出すんです。一生懸命育てているうちがいちばん大変なのに、あとからいちばん懐かしい」

そう言うのはタエコさん(46歳)。結婚して16年、15歳と12歳の子がいる。大人ぶってもまだ子どもなのだが、それでも対等に話せるようになったのがうれしい。その半面、自立していく片鱗を見つけては、寂しさも募っていくという。

「うちは共働きなので、夫とは協力体制を整えていました。夫が家事をやらないなんて許さなかった(笑)。そうこうしているうちに、お互いに恋心は失いましたね。もはや男女というより共同生活者。あんなに大恋愛だったのに」

タエコさんが夫となった男性と知り合ったのは26歳のとき。お互いに恋人がいたのに、ふたりは惹かれ合った。何度もあきらめようとしたが、「友だちとして」と自分に言い訳をしながら会っていた。そして彼から「お互いに恋人と別れてつきあおう」と言われ、彼女自身もそれを望んでいたことに気づいたのだという。

「彼は婚約していたし、私は学生時代から長くつきあっていたので、別れるのは大変でした。それでもとにかく彼と一緒になりたい一心だった」

そしてようやく結婚したのは知り合って4年後だった。この人しかいないとふたりとも誓い合い、結婚式の間中、ふたりとも泣き通しだったという。そんな思いで一緒になったのに、今や単なる共同生活者なのが、悲しいような虚しいような。あの熱意はどこへ行ってしまったのかと思うこともあるそうだ。

「結婚は日常生活だからしかたがないんでしょうけど。ただ、子どもたちはあと10年もしないうちに独立していく。そうなったらまた、夫婦は男女に戻れるのかしら。今はそれが不安ですね」

恋心もときめきもなくした今、彼女は将来への不安を覚えている。

 

夫への無関心が強くなって

ユカリさん(49歳)のひとり娘は、つい最近21歳になった。もう大人である。専門学校を卒業して社会人となった娘を束縛することはできない。娘は職場の寮に入って、仲間と楽しそうに働いている。

「娘の成長とともに、家族は形を変えました。私も今までより仕事に夢中になっています。夜勤も積極的に引き受けて……。夫とふたりきりでいたくないせいもあるんですけど」

ユカリさんが結婚したのは27歳のとき。夫は一回り年上だった。当時は頼れる男性だと思っていたが、結婚してみたら「頼られてばかりだった」という。

「何度か浮気を疑ったこともあります。嫉妬にかられて夫にナイフを突きつけたことも。けっこうモテたのを知っていたから。だけどいつのまにか、私は夫より娘との時間を大事にするようになり、夫への関心が薄れていきました」

決定的だったのは、8年ほど前、夫が「女性につきまとわれて困っている」と言い出したころだ。それは浮気を白状したことでもあった。一度限りのつもりが、相手の女性が本気になってしまったらしい。

「誘ったのは夫のほうらしいんですけど。相手は30代前半の独身女性。夫は困り果てて、私になんとかしてほしいと頼んできた。ふざけるなという話ですが、当時は子どもも小学生だったし、通学路で彼女に何かされたらどうしようという気持ちが強くて、私が出て行って話をつけました。どうしても夫がほしいならくれてやる、だけど養育費と慰謝料を思い切り請求するからそのつもりでって啖呵を切ったんです」

それを機に女性から連絡は来なくなったが、ユカリさんの夫への信頼感も失われた。

「下半身のゆるい夫に愛想が尽きたというか。急に関心がなくなってしまったんです。夫は後ろめたさもあってか、『オレにはきみしかいないんだ』と言い出したけど、私はどうでもいいと思っていました。今もそう思っています。夫がどこで何をしようと帰ってこなかろうと、生活費さえ入れてくれればいい」

夫は今も、気まぐれに花束を買ってきたりする。一応、ありがとうとユカリさんは受け取るが、心はまったく動かない。

「あと4年で夫は定年。そのあたりで一度、きちんと夫婦関係を考え直したほうがいいのかもしれないと最近、思うようになりました」

もう一度独身に戻る助走が始まっているような気がする。そう言うユカリさんの顔は妙に晴れやかだった。
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