もう一つ注目、家庭用据え置きWi-Fiルーター「home 5G」
今回の新製品発表会で、もう一つ注目なのが、NTTドコモとしては初の家庭用据え置きWi-Fiルーターとなる「home 5G」だ。 すでにソフトバンクが「Softbank Air」として販売しているものの、NTTドコモ版と言えば分かりやすいかもしれない。home 5Gは筒型のWi-Fiルーターで5Gと4G通信に対応。コンセントをさすだけで、すぐにWi-Fiの電波が飛び、スマホだけでなく、パソコンやタブレット、ゲーム機などをネットにつなぐことができる。引っ越しした際、インターネット回線に接続しようと工事を頼んだとしても、数カ月待たされることがある。home 5Gであれば、契約してコンセントをさせばすぐにネットが使えてしまう。
しかも、通信料金は毎月4950円で、データ容量は使い放題。NTTドコモの「ギガホ」などの料金プランであれば、セット割引も適用される。最高速度は4.2Gbpsとなるが、住宅地で使うとなると、そこまでの数値を出すのは難しいかもしれない。 NTTグループでは、これまで家庭向けインターネットサービスはNTT東日本と西日本が手がける光回線サービス「フレッツ光」であり、NTTドコモはフレッツ光の回線を「ドコモ光」として売っていた。NTTドコモはスマホなどのモバイル製品を中心に扱うという棲み分けがあった。
しかし、昨年、NTTからやってきた井伊基之氏がNTTドコモの社長に就任。井伊社長は「Softbank AirのようなサービスをNTTドコモでやりたい」と考えており、今回、製品化にこぎつけ、モバイル回線で固定回線市場に本格参入してきたというわけだ。
一度、自宅にひいた光回線を乗り換えてもらうには、かなり難しいと見られるが、このように手軽におけるWi-Fiルーターであれば他社からユーザーを奪うことも可能だろう。例えば、Softbank Airを使っているユーザーが「速度制限もあって遅くて使いづらい」と感じれば、気軽にNTTドコモのhome 5Gに乗り換えてもらうこともできてしまう。
また、昨年来、新型コロナウイルスの感染拡大で、テレワークをする人も増えてきた。しかし、「マンションのネット回線は遅すぎて、ビデオ会議もままならない」という不満を感じている人が結構、多い。そうした人に向けても、気軽に自宅にWi-Fi環境を新設できるhome 5Gはかなり魅力的な商材といえるだろう。
各キャリアは、政府の値下げ要請によって、ahamoやpovo、LINEMOといったオンライン専用プランを導入したことで、通信料金収入の落ち込みが予想される。KDDIとソフトバンクは年間700億円規模の減収を見込んでいる。 NTTドコモではすでにahamoが100万契約を突破。ahamo人気で契約者は増えているようだが、既存の料金プランから乗り換えられてしまっては、通信料金収入の減少につながりかねない。
NTTドコモとしてはガラケーユーザーにはスマホに乗り換えてもらい、さらに、これまで取りこぼしていた家庭向けのWi-Fiルーター市場に参入するなど、通信料金収入を回復させるために躍起になっているといえそうだ。
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