紙製なのにお風呂でも問題なく使える
刃物メーカーとしては当然なのかもしれませんが、貝印は常に新しいカミソリを考えているのだそうです。その中で出てきたアイデアの一つが、紙製のカミソリ。当初は、エコロジーと衛生管理の観点から使い切りのカミソリを作ろうとしていて、その中で素材としてのインパクトもある「紙」が選ばれたのだそうです。それも、単に紙でできているというだけでなく、折り紙のように紙を折って作るカミソリができたら面白いのではないかという考えから生まれたのが「紙カミソリ」です。 刃の部分以外は全て紙でできていますが、カミソリは風呂場や洗面所などで使うことが多いし、濡れた手で扱います。シェービングクリームなどとも一緒に使うので、ただの紙では、すぐにフニャフニャになってしまいます。牛乳パックの紙をヒントに、多くのコーティング加工された紙を試して選ばれた紙は、実際に使ってみたところ、濡れた手で持っても全然平気です。しかも質感は紙そのものですから、プラスチックよりも手に馴染むような気さえします。使い切りの製品ですが、多分、2、3回は使い続けられるのではないかというくらいの強度がありました。使い勝手はプラスチックのカミソリと比べても、遜色なく十分に実用的。
平面から組み立てる楽しさと設計の見事さ
何より面白いのは、自分で平面から組み立ててカミソリにするという構造です。そのため、パッケージもとても薄く、これなら旅行など、どこにでも持っていけそうです。その携帯性だけでも画期的な製品だと思うのです。しかも使い切りですから衛生的なのはもちろん、帰りの荷物を減らすこともできますし、ホテルなどでカミソリの置場を考える必要もありません。 組立も、しっかりと本体に組み立てる順序と折り方が印刷されているので、難しいことはありませんでした。当初はアイスクリーム用の紙スプーンのような、ごくシンプルなものも考えていたそうですが、強度や使い勝手を考えると、このくらい、きちんと組み立てる感じの方が、使う側としても安心。最後に、刃の保護のために貼られているシールを剥がして、それを把手の首の部分に巻き付けることで強度と安定性を持たせる設計など、実際に組み立てながら、「おおっ」と声を出してしまうほど、良くできていました。
カミソリとしての本格的な仕様とデザイン性の高さ
刃も三枚刃の本格的な仕様。サイズ的にも、男女ともに使いやすいサイズになっています。パッケージや組み立てる前の形なども含め、しっかりとデザインされているのもポイントで、お土産やギフトにも使えそうです。首振り機能は無いので、剃る時の肌に当てる角度は、従来製品に比べてシビアになりますが、慌てずにゆっくり剃れば、特に問題はないと感じました。また潤滑剤も入っていないので、石鹸やシェービングクリームは必須です。といっても、私は石鹸無しでカミソリでヒゲを剃るのは元々苦手なので、当然のように石鹸を使って剃りました。 発表以来、日本だけでなく海外からも大反響で貝印さんも驚いたのだそうですが、前例が無い製品です。いきなり大量生産は難しく、まずは小ロットからの発売になっています。しかし、限定製品ではなく、今後量産態勢を整えたり、販路を拡張する計画もあるということなので、それこそ、駅や空港で買える日も来るかもしれません。
製品として面白くて、しかも十分に使えるのですから、5個1100円(税込)という価格も、あまり高くは感じません。この「使ってみたいと思わせる」製品になっているところが、「紙カミソリ」の最大の魅力なのだと思うのです。
【参考】
※1:KAI オンラインストア(https://www.kai-group.com/store/products/detail/13152)
「紙カミソリ」公式HP
(https://www.kai-group.com/products/kamisori/product/kamikamisori.html)
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