「略奪婚」と言われても。
女優の高橋由美子さん(47歳)が4月1日に結婚したことを発表した。相手は3年前に不倫が報じられた男性で、その後、離婚していた。だが、元夫が結婚したことを聞いた元妻は、今年から小学校に上がった娘の養育費が支払われていないと訴えている。
悲しいことだが他に好きな人ができて離婚することはあり得る。だが、どんな状況であれ、子どもに罪はない。養育費が支払われていないとなると、高橋さんの再婚も「めでたい」ではすまなくなる。
いわゆる「略奪婚」をした女性たちに、そのあたりを聞いてみた。
慰謝料と養育費で彼はお金がなくなったけれど
3年前に離婚し、つきあっていた彼と結婚したルミさん(38歳)。ルミさんに子どもはいなかったが、相手は当時、44歳で10歳と6歳の子がいた。
「慰謝料や養育費を考えると離婚はできないと彼は言っていましたが、私は一文無しになってもいいから一緒になりたいと答えました。彼も覚悟を決め、すべての財産を妻と子どもに渡す、その代わり子どもには会わせてほしいということだけを条件に離婚を切り出したんです。私たちはそれまで2年ほどつきあっていて、双方の配偶者にも知られるところとなっていました。別れなければいけないと思っていても、やはり会わずにいられなかった。うちの夫は『そこまで好きなら、もういいよ』と離婚届にサインしてくれましたが、相手は子どもがいたからそう簡単にはいかなかったんです」
ただ、彼は「最後に聞きたいことがある」と妻に切り出されたそうだ。「どうしても彼女と一緒になりたいの?」と。彼は「なりたい。申し訳ない」と頭を下げた。
「奥さんもいい人なんですよね。私たちが苦しめてしまったけど、最後には『わかった。だけど一生、お父さんではいてね』と言ってくれた、と。私は奥さんのもとへ行って土下座しました。奥さんも泣き笑いしながら、『もういいわ。人の心が変わるのは止められないもの』と。彼は自分の身の回りのものだけもって家を出ました。家のローンは彼が払い続けること、養育費は月10万、妻への慰謝料は今までの貯金でという具合。彼の手取りが40万弱なので、彼が家に入れてくれるのは15万円くらいです」
彼も小遣いは必要なので、3万円は彼に。残りは12万。家賃と光熱費をまかなうには足りない金額だ。
「だから生活費はほぼ私の給料でまかなっています。私もいくらか貯金はあるけど、万が一、何かあったらもうすっからかんになるのは目に見えている」
それでも彼と一緒になって、毎日が幸せだという。彼にはすでに子どもがいるため、彼女は自分の子はあきらめかけている。
「自分勝手なことをしたのだから、私も犠牲を払わないといけないと思って。本当は子どもがほしいですよ。だけど彼といられればそれでいいと割り切ることにしています」
結婚はしたけれど……
10歳年上の職場の上司と不倫関係に陥り、相手の離婚を待って結婚したマユミさん(35歳)。不倫の恋愛は8年にも及んだ。「彼の子が大きくなるまで待ってほしいと言われ、ずっと耐えてきました。私から離婚してと言ったことはありませんが、彼ががんばってくれたんだと思います」
不倫が始まったとき、彼女は24歳、彼は34歳だった。当時、彼には5歳の息子がいた。息子が中学に入ったばかりのころ、彼は離婚を切り出した。
「息子さんは、奥さんががんばって中高一貫の私立校に入れたそうです。私との関係が始まったとき、彼はすでに結婚は破綻していると言っていました」
離婚にこぎつけるのは大変だったようだ。夫婦での話し合いはうまくいかず、調停を経て双方、弁護士がついた。
「彼の友人の弁護士が買って出てくれたそうです。友人から見ても家庭は早くから破綻していたらしくて」
1年半、揉めに揉めてようやく離婚が成立した。結婚生活が破綻していることは認められたが、彼は息子の学費は全額だすと言った。
「奥さんも働いていますから、生活に困ることはない。ただ、そんな経緯なので私は早めに一身上の都合で転職しました。これからは彼とふたりで楽しく暮らせると思っていたんですが」
新居を構えるとすぐ、元妻からの嫌がらせが始まった。夫の弁護士から警告してもらったが、今度は夫の会社に連絡がきた。
「ただ、すでに離婚していますし、私も退職していたから問題にはならずにすみました。それでもときどき、私たちのマンションの周りを奥さんがうろついたりすることがあって。警察にも相談しました」
ストーカーとして警告がいったので、それからしばらくはおとなしかった。だが最近、またマユミさん宛てに脅しのような手紙が来た。
「なんだかね、私が言うのは傲慢ですが、元奥さんが気の毒になってしまって。こんなに精神的に追い詰められてしまうものか、と。彼に言わせれば『結婚したときから彼女は変わった。ずっとオレを支配しようとしてきたんだ』って。離婚が彼女のプライドを傷つけたんでしょう。気持ちはわかるんです。それでも離婚届けにサインをしたのだから、そこは潔く自分の人生を歩んでほしい。それが私の本音です」
私が言うべきことではないけれど、とマユミさんはつらそうな表情で何度もつぶやいていた。