防災

【防災の新常識】今、正しておきたい防災に関する10の勘違い

防災の常識は時代によって耐震性の向上や、社会環境、学術的な理論の向上などによって変化します。昔の常識が今の非常識になっていることもあり得るので、2021年2月時点での防災について勘違いしやすいことを10個まとめました。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

防災の常識は時代によって耐震性の向上や、社会環境、学術的な理論の向上などによって変化します。マニュアルなども更新されるべきなのですが、昔の常識をそのままにしていると被災したり怪我をしたりすることもあります。

今回は10個の誤った常識をあげています。みなさんの防災の知識と照らし合わせてみてください。

 

1.大きな地震の後はエネルギーが抜けてしばらく安全

年齢の高い方ほどこのような根拠のない「迷信」にとらわれているように感じます。地震はその発生原因のある場所で起きるもの。特に大きな地震が発生した後は数十年の期間は同程度の揺れが発生しやすい状況が続きます。エネルギーが放出されることは確かですが、それで安全になったということではありません。

 

2.緊急地震速報が鳴ったら机の下やトイレへ

ほとんどの家屋が耐震性の低い木造住宅だった時代から言われていますが、現代の住宅事情では正解とは言えません。家具や落下物から頭部を守りつつ、移動できれば家具のない廊下や玄関付近に移動するのが正解です。わざわざ狭い机の下に入るというのは、小学校や幼稚園などでの集団の安全確保には意味があります。

トイレは入っていたなら飛び出すことはありませんが、わざわざ入る必要はありません。揺れを感じたらすぐドアを開放しないと枠の歪みなどで閉じ込めの危険があることも覚えておきましょう。

 

3.揺れたら、まずは火の始末。ガスを止めに行く

キッチンは割れ物や重量物、刃物などが狭い場所に存在する地震の際に危険な場所です。熱湯や高温の油をかぶる可能性もあり、揺れている最中に入るのはNG。

そもそも震度5以上だと都市ガスは自動的にシャットダウンする機能があります。眼の前にあれば消すべきですが、あえてキッチンに入る必要はなく、揺れが収まってから消しましょう。

 

4.地震や台風でもマンションは強いので心配ない

確かに木造家屋よりも、地震や強風による倒壊などの被害に遭う可能性は低いですが、生活のほとんどを電気に依存しているため、長期停電が発生すると戸建家屋よりも早い段階で生活が出来なくなります。

まず停電するとエレベーターが停止、水道も使えなくなります。高層階では特に非常用トイレや水の備蓄がより重要になることを覚えておきましょう。

 

5.断水に備えてお風呂に水を溜めておく

これも多くの防災自治会で推奨されていることですが、注意点があります。溜めた水をトイレで流すためには配管が壊れていないことが条件です。マンションでは地震直後にはトイレの水を流すことを禁止しているところも多く、自分の流したトイレの水が下層階の部屋で漏れ出すという事態も考えられます。

また、風呂場の水は大腸菌などが繁殖していますので免疫が落ちている被災時には、感染の可能性が高まるため取り扱いに注意が必要です。

 

6.非常用持ち出し袋は枕元に置いておく

地震は寝ている時に限らず、どのタイミングで発生するかは分かりません。非常用持ち出し袋は、必ず避難経路になる目のつきやすい場所、つまり、玄関付近に置くのが正解です。玄関は外出していても取り出しやすい場所でもありますね。

就寝時、枕元にはスマートフォンや貴重品をまとめられる巾着袋のようなものを用意しておき、避難するときに非常用持ち出し袋に投げ入れるようにすれば、効率よく避難行動に入れるでしょう。

 

7.災害への備えでまず大事なのは水と食料

備蓄の水や食料の備蓄は確かに大事なことではありますが、まずは命を守るための耐震改修や家具の固定などで寝室の安全を図ることが最優先です。備蓄の優先順位はかなり後の方です。

水や食料は数日内に配給は始まりますし、避難所に行くのならば大量の食品は必要ありません。一般的な家庭の冷蔵庫には食べ物や飲み物が数日分ほど用意されていると思いますので、電気が止まったら保存できないものから消費して、次に常温保存できるものに移るようにしましょう。

 

8.水は10年、非常食は5年以上の賞味期限を選ぶ

備蓄に関して、様々な美味しい保存食が発売されていますが、無理に長期保存が可能なものだけを選ぶ必要はありません。それが「ローリングストック」であり「日常備蓄」とも呼ばれるものです。

普段消費している水や食料を備蓄分プラスアルファ購入し、消費期限の短いものから消費して、一定量無くなったら追加購入すること。これならば常に備蓄量は保たれて、それほど保存期間にこだわる必要が無くなります。

【関連記事】
・数百種類の非常食を食べた防災のプロがおすすめする美味しい非常食TOP5

 

9.避難勧告が発令されたらすぐに避難所へ

避難勧告が出ると必ず避難所に行かなければならないと勘違いしてしまうケースも多いようです。ただし、避難勧告は「その地域の居住者等を拘束するものではないが、居住者等がそ の「勧告」を尊重することを期待して、避難のための立退きを勧 めまたは促す行為」となっており、強制力があるものではありません。

避難勧告よりも拘束力が強いのが避難指示で、「被害の危険が目前に切迫している場合等に発せられ、「勧告」よりも拘束力が強く、居住者等を避難のため立ち退かせるための行為」となっています。

また、本年は大雨シーズンより運用開始災害対策基本法の改正が予定されており、避難を求める文言が大幅に変わることが決まっています。具体的には、避難勧告は廃止され、避難指示に一本化され、避難準備情報は高齢者等避難に切り替わります。

 

10.避難は徒歩で。車で避難してはいけない

これも多くの防災マニュアルに記載されていますが、ケース・バイ・ケースです。徒歩での避難が効率的であるとされる理由は、一斉に車で避難することで道路が渋滞、避難が遅れたり、消防や救急車などの緊急自動車の妨げになるケースが考えられるためです。

ただし、小さなお子さんや高齢者など、徒歩での避難が困難な家族がいる時は車での避難の選択はあるべきでしょう。

以上、防災に関するよくある勘違い10個と知っておきたい常識を紹介しました。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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