カウンセリングで最も多いのが「人間関係の悩み」
人付き合いに悩みはつきもの。カウンセリングの場でも最も多く相談を受けるのが「人間関係」についてです
そもそも人間関係に悩むのは、「相手の気持ちは自分のものではない」からです。「こうしてほしいのに」といくら自分が思っていても、そのすべてが相手に届くとは限りません。たとえ届いたとしても、相手がすべてを受け入れてくれるとも限りません。よって、人間関係はジレンマの連続なのです。
また、人と良好な関係を保つためには、相手の気を害さないように気をつけたり、共感できる話題を探すなどして気を遣う必要もあります。相手に好感をもってもらうために、さりげなく演出したり、身なりに気を遣うなどの努力もするものです。こうしたさまざまな気遣いに、私たちは知らず知らずのうちに多くのエネルギーを使っています。
人間関係の3つの悩み……「苦手な人の対応」「劣等感」「よい関係づくり」
人間関係では、上で述べたような気苦労に加えて、関係性そのものからも多くの悩みが生じます。悩みの内容は人それぞれですが、大きく次の3パターンに当てはまるものが多いと感じます。よくある三大相談と、それぞれに対するアドバイスをご紹介しましょう。1. 苦手な人との付き合い方に関する悩み
よくある相談:「苦手な人がいます。その人のことを考えるとイライラしてしまいます。どうたらいいでしょうか?」
回答:人の考え方や行動のスタイルは十人十色です。気の合う人もいれば、合わない人もいるのが現実です。そもそも、人は一人ひとり個性や価値観が異なるからこそ、“学びあう”こと、“活かし合う”ことができるのではないでしょうか。だからこそ、まずは個々の特性の違いをプラスに受け止めていきましょう。
とはいえ、苦手な人と無理をしてつきあっていると、ストレスがたまってしまうのも現実です。だからこそ、かかわりが必要な場面以外は上手に距離をとり、相手のことを考えすぎて、神経をすり減らさないようにしていきましょう。具体的には、時間や責任の「境界線」を意識して、相手とかかわる時間の線引きをするのがお勧めです。(「境界線」についてはこちらの記事もご参照ください。「助けすぎて依存されてしまう…相談への正しい対応法」)
2. 人と比較して劣等感を抱えてしまうという悩み
よくある相談:「つい、人と比べてしまいます。自分より優れた人と比べると、とたんに自信を失ってしまいます」
回答:他人は自分の「鏡」です。人は他人を見ることで自分自身を振り返ることができ、足りないと感じたところを伸ばしていくことで、成長することができます。他人と比べて落ち込むのは自然なことですが、大切なのは、比べた後に“落ち込み続けない”ことです。落ち込んだ後には他人という鏡を通して、自分が何を高めたいのかを探してみましょう。
たとえば、優秀な相手に劣等感を覚えたなら、自分にも何か“自信をもてるもの”がほしいのかもしれません。「これだけは任せて!」と人に言える得意分野を何か一つ、努力して開拓していきましょう。こうすることで、他人との比較をきっかけに成長することができます。
3. 人間関係をうまく築けないという悩み
よくある相談:「他人となかなか仲良くなれません。どうしたらよい関係を築くことができますか?」
回答:人との建設的な関係を築きたいなら、自分の方から声をかけることです。そして、日常的に会話をする機会をつくっていきましょう。天気の話や社交辞令などの、たわいない話題でもいいのです。まずは、相手とこまめに会話をする習慣をもつようにしてみましょう。
それができたら、次は「いいな!」と感じることを相手に伝えてみましょう。身の回りで起きたことや相手に対して感じたことのなかに、「いいな!」と感じるものは何かしらあるはずです。たとえば、「先日の会合では、色々話せて楽しかったですね」「今日の服、似合ってますね」というように、ちょっとした「いいな!」を一言で伝えるだけでいいのです。続けていくと、相手からも同じような「いいな!」という気持ちが、言葉に乗って返ってくるようになります。これが良好な人間関係の始まりです。
人の個性や考えは多様だから、学び合える!
人間関係はかたく難しく考えると、わずらわしいものになってしまいます。上のアドバイスでお伝えしたとおり、人の個性や考え方は多様であり、自分の思い通りにならないことが多いのが現実です。だからこそ、私たちは人間関係から多くのことを学んでいるのだと、プラスに受け止める視点が必要です。上記でお伝えしたことを、人間関係から学ぶためのコツ、人とラクにつきあっていくためのコツとして、ぜひ役立ててみてください。