夫が緊急入院、つきあっている女性がいることがバレて
今、新型コロナウイルスの影響で、入院患者を見舞うことが多くの病院でできなくなっている。そんななか、夫の緊急入院をきっかけに、夫が不倫していることを知ってしまったという女性がいる。
夫を信じてきたのに
昨年の12月初めのことだった。夫が深夜、急に腹痛を訴えて苦しみ出したのは。見ていられなかったとマキさん(38歳)は言う。
「救急車を呼んで、3歳の息子を抱えて私も乗って……。何が起こったのかわかりませんでした」
夫は腸閉塞と診断された。とにかく緊急手術だという。だが、コロナを理由にマキさんは付き添うこともできなかった。
「手術が終わるまでは一応、病院にいました。手術はうまくいったけど、かなりひどかったので2週間くらい入院することになって」
見舞いには来られない、着替えなどは受付に預けるシステムだと説明を受けた。
「2歳年下の夫とは結婚して5年、健康が取り柄みたいな人だったんですよ。風邪もひいたことがないくらい。それが緊急入院に手術だなんて、私、冷静ではいられませんでした」
とはいえ仕事を休むわけにはいかなかった。朝保育園に息子を連れていき、仕事をこなしながら、夫の着替えを運んだり医師から説明を受けたりした。
「夫とは毎日、SNSでメッセージのやりとりをしていました。日に日によくはなっているみたいだけど、途中で薬の副作用なのか全身にじんましんが出たり、急に調子が悪くなったりすることもあったみたいで心配続きでした」
そんなある日、夫とメッセージのやりとりをしている途中で、夫から『オレはリサコのことがいちばん好きだってずっと言ってきたじゃないか』という文言が送られてきた。
「あれ、と思ったら、どうやら夫も気づいたみたいで。誤送信だったんですよね。思わず、リサコって誰と送ったんですが、それきり夫からは何も言ってこなくなった。電話はできないし、悶々としました。翌日も夫からは何も言ってこないので、『昨日のメッセージ、どういうこと?』と送ったら、『何の話?』って。しらばっくれるにもほどがあると思ったけど、とにかく文字だけでは意志の疎通がはかれなくて」
イライラしながらも、夫の退院を待つしかなかったという。
退院時に女の影が……
夫の退院が決まったものの、その日、マキさんには仕事上の重要なアポイントがあった。退院くらいひとりで大丈夫だと夫が言うので、マキさんは「ごめんね」とメッセージを送って職場へいった。「ところが仕事の相手先から、体調不良なのでアポを延期してほしい、と。私にしたらラッキーです。あわてて病院に駆けつけました。するとちょうど夫の姿が1階ロビーに見えたんです。近寄っていくと、なんと夫の脇には女性が」
なぜかマキさんは柱の陰に隠れてしまったという。そのまま見ていると、夫は薬を処方される場所へといき、ソファに座った。女性が支えるように一緒に歩いていく。
「20代後半くらいでしょうか。若い女性でした。ふたりで話しているのが見えたけど、夫は私には向けたことのないような笑顔を彼女に向けていました。それを見たとたん、私、柱の陰から飛び出してふたりの前に立ちはだかったんです」
あんたがリサコねと言うなり、マキさんは彼女に殴りかかったという。マキさん自身、そのときのことはほとんど覚えていないらしい。
「頭の後ろがブチッてキレたような音がして。そのとたん、何がなんだかわからなくなってしまいました。気づいたら、夫とふたりで家にいたんです」
あの女は誰なの、リサコって誰なのと彼女はつぶやき続けた。だが夫は、「彼女は会社の後輩で、今日は助けに来てくれただけ。リサコなんていう女は知らない」の一点張り。夫の携帯を奪うようにして見ると、マキさんとのメッセージはおろか、アプリ自体が消えていた。
「操作を間違ったのか、全部消えちゃったんだと夫が言いました。私の携帯にはあるはずと思って見たら、私のほうもアプリ自体がなくなってる。夫が消したんでしょう。悔しくて悔しくて……」
夫はそのまま年末年始の休暇に入った。子どももいるので、あのときのことを蒸し返すわけにもいかなかった。
「新年になったら、夫は私に、今年もよろしくねって。『オレも気をつけるけど、ママも体に気をつけるんだよ』とまで言いました。息子がその口調を真似したら夫はヘラヘラうれしそうに笑って。病み上がりですから、あまり冷たくするわけにもいかない。そういう状況につけこんで、夫にバカにされているような気がしました」
休暇も終わって、ふたりとも日常が戻ってきた。それでも「リサコ」の名前がマキさんの頭から消えることはない。
「私の信頼を裏切った代償は大きいです。近いうち、絶対にわからせてやる。そう思っています。それでもつい、夫の体を心配してしまう自分もいるんですよね。はっきりさせたいのかさせたくないのか、正直言って私自身、わからないんですが……」
夫の体調も鑑みて、しばらくなりゆきを見ることにしたとマキさんは言う。愛情と憎悪、マキさんの気持ちがどちらに転ぶのかは、まだ彼女自身もわからない。