亀山早苗の恋愛コラム

不機嫌ハラスメント…家の中で“だけ”むっつり「不機嫌な夫」が怖い

最近、「フキハラ」なる言葉があるという。不機嫌ハラスメントのことだ。多くの社会人は意識的に機嫌よくあろうとしている。その反動か、家庭では不機嫌になってしまうのかもしれないが……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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意味なく不機嫌になる夫が怖い

フキハラ

最近、「フキハラ」なる言葉があるという。不機嫌ハラスメントのことだ。人間にとっていちばんむずかしく、なおかついちばん重要なのは「いつも機嫌よくいること」かもしれない。だが、社会生活を営むなら、誰もが気をつけなければいけないはず。なぜなら人間関係は重要だから。多くの社会人は意識的に機嫌よくあろうとしている。その反動か、家庭では不機嫌になってしまうのかもしれないが……。

 

突然、黙り込む夫

結婚して10年、8歳と5歳の子がいるハルコさん(40歳)。3歳年上の夫は、下の子が産まれたあたりから、ときどき口をきかなくなるようになった。

「何が原因かわからないんです。以前はよくケンカもしましたが、すぐに仲直りしていた。でも今は夫が黙り込むと、私はそれ以上、何も言わないようにしています。家の中は険悪な雰囲気だけが漂って……。ひどいときは3ヶ月くらい、ひと言もしゃべらないこともあります」

いつからどうしてそうなったのか、ハルコさんにはまったく記憶がない。最初は「どうして何も言わないの? 返事くらいしてよ」と言ったこともあるが、何度かそういうことがあると「またか」と思うようになった。

「私もパートで仕事をしていますし、下の子はまだ保育園。毎日が忙しくて、夫がいつから不機嫌になったのか、かまっていられない。でも帰って来て、子どもたちが『お帰りなさい』と言っても何も言わない、『今週末は運動会なんだけど』と話しかけても返事もしない。それが続くと、もう夫には何も言わないでおこうとなりますね」

そしてある日突然、また夫は話すようになる。それもきっかけがわからない。先日も1ヶ月ほど夫の声を聞かないなと思ったら、ある日「ただいま」とケーキの箱をぶら下げてきた。

「子どもたちも戸惑いますよね。私も子どもたちも夫の機嫌をうかがいながら生活しているところがあります。ただ先日、珍しく夫が後輩を連れてきたんですが、彼が言うには『先輩は会社では宴会部長ですから。ノリがよくて女性たちからも愛されてますよ』って。ただのリップサービスには思えなかった。会社ではどうやらおちゃらけキャラみたいなので、心底、びっくりしました」

恋人時代も、彼は決して軽いノリの人ではなかったのだという。

 

外と内が違い過ぎる

おそらく夫は社内での立ち位置をはっきりさせるため、あえておちゃらけキャラを演じているのだろうとハルコさんは推察した。だからといって家で不機嫌でいていいわけではない。

「朝起きてきたときに、むっつりして機嫌の悪い顔をしているだけで家族としては不愉快なんですよね。家のことも子どものこともまったくやってくれないし、声をかけるこちらが不快になるから関わりたくないと思ってしまう。このままでいいとは思えないんですが、どうやって話をもっていけばいいのかもわからない」

もともと寡黙な人ではあったが、ハルコさんは「会社にいるときのように」してほしいわけではない。話しかけたら、せめて返事をしてほしい、自分の意見を言ってほしいと思っているだけだ。

「だんまり期間でも、夫の実家や親戚から電話があると話はしているんです。電話を切ったあと、『何かあったの?』と聞いても何も言わない。それでいて、翌日、夫が出かけたあと寝室を見るとメモが置いてあるんです。『どこそこの誰が亡くなったから、香典だけ送っておいてほしい』と。そんなこと言えばいいじゃないですか。LINEでもいい。でも夫は頑なにLINEをやらないんですよ、私とは」

1年のうち3分の1ほどを不機嫌満開で過ごす夫。いっそ離婚したいとハルコさんは何度も思った。離婚しないのは、やはり子どもたちが大きくなるまではという思いがあるからだ。

「夫の不機嫌期間は、私が子どもを甘やかす期間でもあります。休日は遊園地や動物園に連れていったりして、夫と接触しないようにしています」

第三者がいると、夫の不機嫌期間が短縮されることに気づいたハルコさん、最近、ときどきバツイチになって寂しがっている夫の妹を自宅に呼ぶ。

「義妹が、帰宅した夫の顔を見て、『しけた顔してるわね、にいさんは』と言ったんです。10歳年が離れているから夫は妹を怒れない。思わず吹き出して機嫌が直り、そのまま妹が帰っても機嫌が維持されました」

本当は夫の心の底を知りたいとハルコさんは思っている。その術がわからないのだ。離婚を覚悟でぶつかっていくにはリスクが大きすぎる。機嫌が悪いだけなら知らんふりして生活できるが、夫が激昂したらどうしようとも思う。さらに不愉快な日々が続くのも耐えられない。

「それでもいつか私がキレて、夫にぶつかっていく日は遠くないと思います。そのとき夫がどう対応するか、それで私たち家族の将来が決まるでしょうね」

ここまで妻を追いつめている夫の不機嫌。夫自らが気づく日は来ないのだろうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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