新型コロナ感染症の再拡大……移動自粛は世界標準の対応

PCR検査での陰性・陽性判定の正確さは?

PCR検査の陰性・陽性判定の正確さは? 新型コロナウイルス感染症かどうかは、どう考えて行動すべきでしょうか

11月21日、首相は新型コロナウイルスが拡大している地域での「Go Toキャンペーン」の運用を見直すことを表明しました。全国的にコロナ感染が拡大するなか、税金を投じて人の移動を促すことを続けていては、感染を拡大させるだけでなく、結果的に経済も悪化するのは明白です。キャンペーンの見直しは時すでに遅しかもしれませんが、必要な判断だったと思います。
 
米疾病対策センター(CDC)も、11月26日の感謝祭に合わせた旅行を控えるように促しました。いま、政府がやらなければならないのは、国民に移動を自粛するように呼びかけることであり、これが世界の標準的な対応です。

このコロナ拡大期において、新型コロナに罹患しているかどうかを調べる「PCR検査」を、私たちはどう考えるべきでしょうか?
 

PCR検査とは何か……検査の流れ・「感度」「特異度」の意味・費用の目安

PCR検査のPCRとは、「polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)」の略です。唾液や鼻腔粘膜から検体を取り出し、専用の液体につけ、新型コロナウイルスが持つ特有の遺伝子の一部分を見つけることで、その部分を切り取り、増幅させて、新型コロナに感染しているかどうかを判定する検査法です。

検査法ごとに感度・特異度に差が見られますが、概ね感度90%以上、特異度はほぼ100%と考えてよいと記載されています(詳しくは「COVID-19 検査法および結果の考え方」(PDF)もあわせてご確認ください)。
  • 「感度」とは、病気がある群での検査の陽性率(真陽性率)
  • 「特異度」とは、病気が無い群での検査の陰性率(真陰性率)
を指します。

つまり、感度が⾮常に⾼い検査の場合、疾患を⾒逃すことはまれです。このため感度が高い検査は、陰性結果で病気を否定するために優れた検査だといえます。特異度が⾮常に⾼い検査の場合、偽陽性がまれなので、結果が陽性であれば⽬的とする病気であると診断するのに適した検査といえます。

しかし、そもそも完全な検査というものはありません。現状ではこのPCR検査は、現在の感染状態を把握するための検査としては有用だと考えられています。
 
検査が受けられる場所は、自治体によって異なるかと思います。都内では検査が受けられるクリニックも増えていますが、全てのクリニックで受けられるわけではありません。
 
また、PCR検査を受けたいと希望して受ける場合は、全額自費となり、施設により値段は異なります。コロナ感染を疑う症状があり、医師が検査が必要と判断した場合(つまり感染者であると医師が考える場合)や、濃厚接触者の場合は、検査代自体は全額公費負担となります。診察料などは各自負担です。
 

PCR検査陰性でも安心はできない? 陰性結果なら外出や出社・登校は可能か

「PCR検査で陰性の結果が出れば、安心して普段通りの生活をしてよいのか」という質問をいただくことがありますが、先述の通り、検査は100%確実な結果を出せるものではありません。

また、感度・特異度がともに高い検査法で陰性判定が出て、実際に検査時には感染していなかったとしても、あくまでもそれは「検査をした、そのタイミング」での陽性か陰性か、を判断するものです。ですので、1回検査をして陰性だったからといって、その直後に感染してしまう可能性はもちろんあり、一度陰性結果が出たからといって、それ以降安心して過ごせるというわけではありません。
 
新型コロナウイルス感染症の場合は、誰もが同じ症状ではありません。また、PCR検査で陰性であっても、体調が優れず何かしらの自覚症状がある場合は、コロナ以外の様々な病気の可能性があります。他の病気なら無視してよいわけではないので、状況に応じて、適切に対応しなければなりません。「発熱しているがPCRは陰性だったから出社・登校は問題ないだろう」と考えるのではなく、外出や出社、登校の可否は、総合的に考えて対応していくべきことかと思います。
 

PCR検査の適切な活用法は? 定期的な検査で感染の抑え込みを

PCR検査の流れや正確さについては以上の通りですが、感染拡大が続く今においては、定期的に検査を行うことが、感染を抑え込み、集団感染を防ぐ上では必要なのではないでしょうか。
 
2020年11月11日、『NEJM』オンライン版にアメリカ海軍医学研究センターの臨床研究が紹介されました。この研究の対象者は、1848人の海兵隊員の新兵。彼らは、サウスカロライナ州のシタデル軍事大学に移動し、訓練を開始するにあたり、14日間の隔離下に置かれました。その際、到着後2日以内に1回、7日目、14日目に1回ずつ合計3回の検査を受けました。この結果、51人(3.4%)が検査陽性となったのです。意外なのは、51人すべてが定期検査で感染が確認され、46人は無症状だったことです。残る5人も症状は軽微で、あらかじめ定められた検査を必要とするレベルには達していませんでした。若年者は感染しても、無症状者が多く、有症状者を中心とした検査体制では、ほとんどの感染者を見落とす可能性が高いことを示唆しています。さらに、51人の検査陽性者のうち、35人は初回のPCR検査で陰性。多くは入所後に感染したのでしょう。この事実は無症状の感染者を介して、集団内で感染が拡大したことを意味します。これは、これまでに実施された無症状者スクリーニングの世界最大の研究です。
 
こうしたことを踏まえると、ある特定の時だけ検査を行う方法では、これだけ感染が広まっている状態では、あまり意味をなさないともいえそうです。特に大きな集団で過ごす場合には、症状の有無にかかわらず定期的に検査を行い、陽性が出た場合に該当者を隔離する方法で、集団感染を抑えていくことが大切かと思います。
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