セフレがいて当然? 今どき女子たちの新たな価値観
コロナ禍において最近、あまり聞かなくなった「セフレ」という言葉だが、ドラマ『#リモラブ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系、毎週水曜22時)のなかで、「恋人とセフレは別」とあっけらかんと言う女性がいる。川栄李奈演じる我孫子沙織、25歳。
彼女は社内に恋人がいたにもかかわらず、セフレがいた。そして彼の目の前でスマホに「セフレくん」という文字が表示されても、なんら臆することはなかった。「僕たち、付き合ってるんだよね」と我孫子に確認する彼、だが「もちろん」と言われても安堵できず、混迷は増すばかり。
結局ふたりは別れてしまうのだが、このやりとりが非常に興味深かった(このユニークな恋愛観をもつ我孫子沙織を主人公にした「恋愛進化論」は、Huluオリジナルストーリーとして配信されている)。
セフレと恋人とは別。セフレの存在が彼にバレても、「大丈夫、セフレくんとはあなたとつきあう前からのつきあいだから」としれっと言ってしまう女性の心理がおもしろい。
彼がいてもセフレとは会ってしまう
「私も、恋人とセフレは別だと思っています」
そう言うのは、アヤさん(仮名・28歳)だ。つきあって1年になる2歳年上の恋人がいるが、20代前半のころつきあったユウスケさんとは今もセフレ関係が続いているという。
「もう腐れ縁みたいな関係です。20歳のころから1年半くらいつきあったユウスケのことは大好きだった。大げんかして別れたんですが、それからも友だちとして会っていて。セフレ関係になったのは2年くらい前ですね。彼にもつきあっている人はいるんですが、ひょんなことから、やっぱり私たち、相性いいよねということになって……」
恋人に悪いという感情はほとんどないという。とはいえ、聞かされて楽しい話でもないだろうという常識はあるので、「特に彼氏に話してはいない」のだそう。
「彼とは、あんまり相性がよくないんですよね。淡泊だし。それでも話し合いが成立する人だから、結婚するなら彼ですね。ユウスケみたいないいかげんな男は家庭人として向いてない。ただ、結婚したとき、ユウスケと切れるかどうかはわかりません」
身勝手な言い分だと思われるのはわかっている、と彼女は笑った。恋人とは人生をシェアする関係だが、セフレはその場の楽しさを飾らずに共有できる関係。どちらもいたら、人生がより豊かになると断言する。
「コロナもそうだけど、何が起こるかわからない世の中だと思うんです。自分だっていつ死ぬかもわからない。それなら好きなように生きるしかない。刹那的かもしれないけど、後悔したくないし、できる限り楽しい時間をたくさん持ちたいんです」
したいからする。何が悪いのか。そう開きなおっては言わないが、彼女のストレートな言い分もいっそ潔いような気がしてくる。
お互いにセフレがいてもいい
さらにもっと自由な考え方をもっているのは、マサコさん(仮名・31歳)だ。「私はお互いにセフレがいていいと思う。実は今の彼とつきあうとき、私は彼にそう言ってあります」
浮気公認ということなのだろうか。ただ、マサコさんによれば、「恋愛はしてほしくないし、自分もするつもりはない」とのこと。つまり、他の異性と肉体だけの関係をもっても咎めないし咎められたくないというのだ。
「今の彼とはつきあって2年になります。お互いにすごく好きだと思っているし、ふたりとも結婚に対して懐疑的なのも似ていて。今は歩いて10分程度のところに住んでいますが、毎日会っているわけでもなく。友だちはみんな『変な関係』って言うんですが、私たちが居心地のいい関係を追求したらそうなっただけなんです」
そして今、彼女にはセフレがいる。相手は既婚者だ。恋人は、マサコさんにセフレがいることは知っているが、干渉はしてこない。
「私がセフレといつ会っているかも彼は知らない。彼には今、セフレはいませんが、もしいたとしたら私はもうちょっとどんな人か知りたいタイプ。何を知りたいかは個人差があるので、それでいいんじゃないかと思っています」
彼女はセフレの彼に対して、友情のような愛はあるが恋愛感情はないという。
「セフレと会う約束をしていて、そこへ恋人から会いたいと言われたら、私が今、会いたい人と会います。必ずしも先約を優先するわけではなく、かといって恋人を絶対視するわけでもなく……。だって結婚しているわけでもないし、人は自由じゃないですか。そのうちふたりとも失うよと親しい友だちに言われたことがあるんですが、それならそれでしかたがない。そう思っています」
自分の生き方は自分で責任をとる。マサコさんはそう言いきった。セフレへの考え方も人それぞれ。誰にも糾弾することはできない。