亀山早苗の恋愛コラム

夫が突然「経済制裁」をかけてきた! その裏に女性の影がチラついて

家庭の家計は誰がどのように管理するべきなのだろうか。最近、少しずつ夫が生活費を妻に渡す家庭も増えつつあるようだ。夫が経済を握っている場合、どうしても妻が不自由を感じるケースが多い。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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夫が突然、経済制裁をかけてきた⁉ 裏に女性の影が……

経済的DV

家庭の家計は誰がどのように管理するべきなのだろうか。共働きが増えた現在でも、夫が妻に給料全額を渡してそこから小遣いをもらい、家計は妻が管理する方法をとっている家庭がいちばん多い。

だが、最近、少しずつ夫が生活費を妻に渡す家庭も増えつつあるようだ。妻も正社員で賃金格差がない共働き、もしくは夫がたっぷり生活費をくれるならそれでもいい。だが、夫が経済を握っている場合、どうしても妻が不自由を感じるケースが多い。

 

ある日突然、生活費を渡すパターンに

知人の紹介で出会った男性と結婚を前提につきあい、「悪い人じゃなさそうだったので」、32歳のときに結婚したユミコさん(39歳)。夫となった男性は当時、38歳だった。

「すぐに子どもができて33歳で長女、年子で長男が生まれました。年子の子育ては本当に大変だったのと、長男出産後、体調を崩してしまって離職したんです」

夫も彼女が大変なのはわかっていたが、育休をとることはできなかった。仕事をやりくりして早く帰ってきてくれたり、義母が手伝ってくれたりした。

「ただこの義母が、とにかく口うるさい。うちに来ては部屋を見渡して、『あなた、こんないらないもの買ってどうするの』と言うんですよね。最初は紙おむつにも大反対で、布でやれというから私を殺す気ですかと言ったこともあります。そうしたら『わあ、怖い。そんなこと言う人初めて会ったわ』って。義母だって子育て経験があるのだから、私がどんなに大変かわかってくれてもいいのに」

体調を崩した上での年子育ての大変さは想像にあまりある。

ところが義母が息子にいろいろ話したのだろう。下の子が1歳になったころ、夫が「これからのことも考えて、家計をきちんと管理しようと思うんだ」と言い出した。

「そのころは大変という思いばかりが先に立っていたので、夫が家計管理してくれるならありがたいと思ったんです。私は食費と子どもにかかる費用だけもらって、その中でやりくりすればいいのだから」

夫は最初、10万円を寄越した。食費と子どものミルク代、おむつ代くらいだからじゅうぶんやりくりできた。余ったお金は子どものための貯金に回した。

 

ところが急に事情が変わった

ところが1年もたたないうちに、夫は突然、生活費を半額にしてきた。

「ちょっと事情があって、うちの会社も大変でさって。とはいえ、いきなり半額って。私がショックを受けていると『だいたい、おまえはお金の使い方が下手なんだよ』と言い出した。義母の入れ知恵かもしれません。私、母乳がほとんど出なかったんですよ。だからミルク代がかかる。それについても夫は『それでも母親か』って……。その言葉に傷ついて、私がどれだけ泣いたか……」

このあたりで夫婦の力関係が固定化していったようだ。お金を渡す立場、もらう立場。本当なら夫婦は平等なのに、ユミコさんはどこかで夫の顔色をうかがうようになった。

「私の実家はちょっと複雑な家庭なので、私は誰も頼れないんです。だから夫にすがるしかなかった。その後、夫はさらに減額してきました。それも『はい、給付金』って渡すんです。私個人のお小遣いにするわけでもないのに。上の子が幼稚園に入るときも、幼稚園ってどうしてそんなに金がかかるんだ、と言ったんです。この人は子どもにかかる費用まで出し惜しみするんだろうかと怖くなりました」

そんなときだ、夫が倒れたとユミコさんの携帯に公衆電話から女性の声で電話がかかってきたのは。病院名だけ聞いてあわてて駆けつけた。幸い、軽い脳梗塞で10日ほどの入院で後遺症もなく退院できたのだが、ユミコさんはあの電話は誰からだったのだろうと気になった。

「夫に尋ねたけど、道端で倒れたからわからないというんです。なんだか怪しい。そこで夫が入院している間に、預金通帳を見つけました。すると毎月、給料が出ると15万円が引き出されている。私には4万しかくれていなかったので10万円以上はどこにいくのか。他の通帳も見ましたがそちらに入っている様子もない。携帯も調べました。するとメッセージのやりとりが見つかった」

夫は女性とつきあっていた。しかもかなりの年月にわたる。すべて証拠として保存した。

退院したその日に、ユミコさんは夫に揺さぶりをかけた。病み上がりの今だからこそ、夫に真実を白状してほしかった。

「○○さんとはどういう関係なの、と言ったら夫が固まりました。そして頭を抱えて『具合が悪い』と黙り込んだ。それきりです。生活費は相変わらず4万円。先日、義母にもう無理ですと伝えました。すると義母は『あなたがいけないんでしょ』と。私が子どもにかまけているから、夫は浮気しているんだ、と。彼女も夫の不倫を知っていたんです」

離婚したいが、生活の見通しが立たない。まずは別居とも考えたが、幼い子どもをふたり連れてどこへ出て行けばいいのか。

「独身時代の貯金も、生活費のために崩してきたのであまり残ってない。体重が一気に減って、生きる気力もわかない。子どものためにがんばらなくてはと思うだけで体がついていかないんです」

学生時代の友人と久しぶりに連絡を取り合ったとき、つい愚痴ってしまったのだが、友人は「それもDVだよ」と教えてくれた。立派な兵糧攻めであると。

とはいえ、行動を起こすには彼女自身の気力体力が今はない。来年は上の子が就学だ。家族揃ってランドセルを買いに行きたいが、彼女からは言い出せずにいる。こんな生活は続けていられない。それがわかっているからこそ、なんとか気力が満ちるのを彼女は静かに待っているのだという。
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