アプリやネットバンキングの利用が大幅に増加
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて珍しくなくなったのが、仕事は基本的にテレワーク、買い物はほとんどECサイトという暮らし方。同じように銀行サービスも、アプリやネットバンキングを活用する人が大幅に増加しています。これまでは店頭へ出向くことが当たり前だった各種の手続きを、スマホやパソコンで行うようになりました。
「例年、春は新規口座開設の多い時期ですが、今年は口座開設アプリを活用する方が増加しました。口座を保有している方がネットバンキングの手続きをしたというケースも含め、とても目立った動きでした。ただ、これらは従来から提供していたサービスで、新しいものではありません」と、横浜銀行・広報室の神山哲さん。
これらのサービスがあることをもっと顧客に周知するために、ホームページのトップに『おうちで横浜銀行』というページを作り、店頭へ行かなくてもできる手続きやサービスをまとめて紹介。仕組みが整っているにもかかわらず、あまり知られていなかったものを、この機会に目立つ形で広報することに努めたといいます。
30~50代を中心にネットバンクの利用者が急増
保険や投資信託などの選び方もコロナ禍の影響が
緊急事態宣言が出され、ステイホームをする人が増えた4~5月は、自宅の断捨離をした人が多かったと報じられましたが、お金について考える時間でもあったようです。「横浜銀行では保険相談を専門に行う『はまぎん保険パーラー』という店舗を運営しているのですが、保険見直しの相談にいらっしゃるお客様が多かったのもこの期間の傾向でした。自分が加入している保険で、いざというときに保障は足りているのだろうかと不安を感じられたようです。また、証券口座の開設や住宅ローンのご相談も前年より増えました」
好調な保険商品は、2019年7月に業務提携をした千葉銀行と共同で開発した『10年先へのプレゼント』。10年後の年金原資を増やすことを目的とする、一時払い定額年金保険です。投資信託は、ESGマネジメントスコアが高い200銘柄で算出され、株価指数に連動することを目指す『ジャパンESGクオリティ200インデックスファンド(ESGナビ)』が好調。
自身のことで心配なのは老後資金、投資をするなら環境や社会に配慮した会社を選びたい。まさに時代を反映した商品が選ばれているようです。
地域に密着したサービスで差別化を図る
地域の経済や暮らす人たちの状況をよく知るからこその、商品やサービスが充実しているのも地方銀行の特徴です。横浜銀行は、2018年に神奈川県とSDGs連携協定を締結。以来、さまざまな取り組みをしてきましたが、直近では新型コロナウイルス緊急対策制度のひとつとして、神奈川県在住者で大学生の子を持つ親を対象とした『教育資金応援ローン』を扱っています。
神奈川県から年1.7%を上限として利子補給が行われるため、50万円以内なら実質金利負担0%で融資を受けることができます。
『はまPay』も横浜銀行が提供する、地域密着型サービスのひとつです。地元の商店街や、神奈川エリアのイベントなどでの導入しやすさを考え、バーコードやQRコードを読み取るコード決済型のサービスとしてスタートしましたが、8月20日からタッチ決済(iD)にも対応。
タッチ決済とQRコード決済の両方が選べる
誰でも利用しやすい銀行であることを目指して
平日の9時から15時という限られた時間に店頭へ足を運ぶのが難しい人たちに向けては、スマホやパソコンでの手続き、キャッシュレス決済など、オンラインでのサービスを充実させる必要があります。その一方で相続や事業承継など、じっくりコミュニケーションを交わす必要がある相談や、高齢化が進み丁寧な対応が求められる窓口業務などもあります。
「これからは資産運用や融資といった金融面だけでなく、日常生活全般へのサポートを拡充していく必要があると考えています。たとえば高齢で判断力が不十分なお客さまにも、適切に対応できるよう“認知症サポーター”の養成講座を実施し、2400人以上を店舗に配置しています。ご本人はもちろん、ご家族の悩みもサポートできるような幅広いソリューションを持ち、どんな方にも使いやすい場所(銀行)であることが、求められるのではないでしょうか」。
コロナ禍で行動を制限されたことによって、オンラインのサービスは大きく進化しました。その反対に、対面サービスの重要性を改めて認識するきっかけにもなりました。これを機に銀行サービスが、さらに進化して使いやすく、利用しやすいものになることが期待できそうです。