亀山早苗の恋愛コラム

結婚16年、隙あらば「ため息」の妻が近所で噂のクレーマーと知って

それなりに「恋愛」して結婚も、時間が経つとすべてが日常に埋没していく。ある意味では日常の幸せなのかもしれない。だが、妻がやたらとため息をつき、他の男性と比べるような発言ばかりしていては、夫の気分も腐っていくだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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妻が近所で有名なクレーマーだった……

クレーマー妻

それなりに「恋愛」して結婚したのに、10年もたてばあの頃の思いが薄れて、すべてが日常に埋没していく。それが家庭なのかもしれないし、ある意味では日常の幸せなのかもしれない。だが、妻がやたらとため息をつき、他の男性と比べるような発言ばかりしていては、夫の気分も腐っていくだろう。

 

いつから妻はため息をつくようになったのか

同い年の女性と2年つきあって30歳のときに結婚したダイキさん(46歳)。ふたりの子は中学2年生と小学校6年生。大きくなったなあと感慨深く思うことも多々あると彼は話す。一方で、妻の気持ちはさっぱりわからなくなってしまった、とも。

「いつ頃からかわからないんですが、妻がやたらとため息をつくようになったんです。僕が帰ると顔を背けて『お帰り』と言ってハア~とため息、給料明細を見せればため息、給料前にはまたため息。どうしていつもため息ばかりついているのかと聞けばいいのでしょうが、怖くて聞けないですよ(笑)」

言いたいことがあるなら言ってほしいと頼んだこともあるが、妻は冷たく彼を一瞥、「別に」と言い放った。女優か!とツッコみたくなったそうだ。

「妻は下の子が小学校に上がってからパートで働いています。家事も育児も妻任せになりがちだから、週末は僕が料理をするし、平日でも時間があれば風呂掃除などもやっているんですが、やったうちには入らないみたいですね」

平日は家ではお酒は飲まないが、週末になるとやはりビールの1杯も飲みたくなる。だから金曜の夜はビールを買って帰るのがダイキさんの楽しみとなっている。

「妻は冷蔵庫を開けて、『どうしてビールなの、発泡酒じゃダメなの』と呟くように言うんです。政治家か!とツッコみたくなるけどそれは言わず、だってビールのほうがおいしいんだもんと言うしかない。するとまた、妻はハア~と深い深いため息をつくわけです」

冗談交じりに話すダイキさんだが、本当はもっと妻と馬鹿話をして笑ったりとりとめもない会話を楽しんだりしたいのだという。だが、妻はまったく乗ってこない。ところが中学生の長男をつかまえて聞いてみると、子どもたち相手にはよくしゃべるのだという。

「ただ、長男はもう母親をうっとうしいと感じている。先回りしすぎなんですよね。長男は空手を習い始めたんですが、道場に行くときは毎回、『行ったらこうやって挨拶するのよ』『帰り道はあの道を通って』など指図が激しい。心配なのかもしれませんが、もう14歳だし、もうちょっと自主性に任せてもいいんじゃないかと僕は思っています」

うまくいっていないというほど関係が悪化しているわけではない。だが、夫は妻が少しうとましい。おそらく長男もそうだ。妻のきまじめさが家族を息苦しくさせている。ダイキさんはそう考えていた。

 

そもそもきまじめな女性だから結婚したのだけれど

ダイキさんが彼女と結婚した決め手は、そのきまじめさだった。妻に浮気などされたくない、軽率なことはしてほしくない。その気持ちが強く、きまじめな女性を選んだ。

「自分が選んだ女性だから悪くは言いたくないんですが、1ヶ月ほど前、妻が近所でクレーマー呼ばわりされていることを知ってしまったんです」

たまたま早めに帰れた平日の夕方、近くのスーパーへ行ったらちょうどレジで精算している妻を見つけた。近寄っていくと、妻が声を荒立てている。思わず立ち止まって聞くと、商品に文句をつけているようだ。あげく店員の態度が悪いとネチネチ文句を言い始めた。

「ちょっと怖くて近づけなかった。周りのお客さんが『またあの人よ』と言うのも聞こえて。恥ずかしくて立ち去りました。ちょうど僕と並ぶようにして出てきた女性が、入り口を出たところで知り合いに会ったらしく、『ねえねえ、またやってるわよ、あの人』と大声で言ってる。言われたほうも『欲求不満なんじゃない、あの人。家でもあんなにネチネチ文句言うのかしら』と。たまらない気持ちになりました」

ダイキさんはその晩、妻に「何か心配ごとでもある?」と尋ねた。何か不満があるなら言いやすくしたほうがいいと思ったからだ。すると妻は淡々と言った。

「すべてが心配。あなたの給料が下がってる、子どもの成績が上がらない。子どもは努力すればなんとかなるけど、あなたは努力してもどうにもならないでしょ」

はあ?とダイキさんは声を上げた。確かにコロナの影響で残業代がほぼなかったので給料は目減りした。だが今は普通に働いている。決して給料が高いとはいえないから子どもたちには公立高校に行ってもらうしかないのだが、だからといって自分が妻や子どもを抑圧しているわけでもない。そう言いたかったが、言うと倍返しされそうで言えなかった。

「これからは前と同じくらいもらえると思う……と力なく言うしかなかった。妻は『それならいいけど。でも上がることもないのよね』と。僕の存在って何だろうと思いましたね。妻にとっては僕はただのATMなのか」

つい最近、ダイキさんは会社の健康診断でひっかかってしまい、胃の精密検査が必要となった。妻に言おうかと思ったが、言ったら精密検査なんか受ける必要はないと言われるか、知らん顔されるかどちらかだと悟って告げるのはやめた。

「病気で休職でもしたら何を言われるかわからない。病気がわかったときにはもう末期状態くらいのほうがいいと思っちゃいますね。子どもに罪はないし、彼らが成人年齢になるまではがんばらないといけないけど、その後、あの妻とふたりきりでうまくやっていけるとは思えない」

ダイキさんは少し寂しそうな表情になる。

「どうしてこんな生活になっちゃったのかなあ、16年の間に妻の中で何が変わったんだろう。ま、よくある話なんでしょうけど」

最後は自分を励ますようにそう言った。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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