別れた彼と友だちになるって変ですか?
恋愛相手と別れたら、もう二度と会わない、連絡も取らない人もいれば、ある程度の時間がたてば友だちとしてつきあうのも楽しいと思う人、それぞれ考え方は異なるだろう。「別れた彼って、親戚みたいに気楽で友だちとして最高」と公言する女性もいる。
元恋人たちといい関係に
別れた男性と一度も険悪になったことがないというトモコさん(38歳)。いまだに学生時代、つきあっていた男性ともときどき飲みに行くそうだ。
「人間関係って“縁”だと思うんです。せっかく好きになった相手なのに、恋愛がうまくいかなくなったからといって縁まで切るのはもったいない。私はそう思っちゃうんですよね」
だから別れるときは、「恋人としてはもう無理だけど、友だちとしては続けたい」とはっきり言う。相手から別れを告げられたときも、「恋は終わりでいいけど、友情は続くよね」と聞いてみる。
「まあ、相手が嫌がればしかたがないですけど、友だちとして連絡を取り合ったりたまに飲みに行ったりしても、まったく問題がないと思うんです」
トモコさんがオープンな性格だからか、ずっと友だち関係が続いている人もいるが、中にはつきあっている女性に遠慮して会わなくなる男性もいる。
「私が新たに恋人ができたとき、元カレに紹介したりしますよ。私が人としてのつきあいを大事にしたいタイプだということは、つきあった当初から繰り返し伝えます。燃え上がる情熱的な恋もいいけど、この人とだったら人間関係を一生続けたいと思うような人とつきあいたいんです」
一度は離れていっても、何年かたってからまたつながる元カレもいる。恋人と別れると連絡してくる男性もいるが、それはそれでいいとトモコさんは考えている。
「話していてつまらない人とは友だちとしても続かない。自然淘汰されていきますよね、お互いに」
こういう考え方を実践していくと、人づきあいは豊かなものになっていく。
ときには誤解を招くことも
だが、2年ほど前、トモコさんは元カレの恋人からひどい嫌がらせを受けたことがある。「30代の初めころつきあっていた人なんですが、一緒にいるとケンカばかりするようになって、もうダメだなと別れたんです。でもしばらくしてから連絡があって、久々に飲もうかと。会って話をしている分には楽しいんですよ。男女の関係になるとワガママすぎてやっていけない。性格が似ているのかもしれないねと過去を振り返ったりして。それをきっかけにときどき会うようになりました。居酒屋で飲んだり食べたりしてしゃべるだけです。でもあるとき、その居酒屋に、彼がつきあっている彼女が乗り込んできちゃって」
彼女は店でトモコさんを罵倒し、泣いたりわめいたりしたあげく、彼に連れていかれた。あとから聞くところによると、彼女は彼がトモコさんと浮気をしていると誤解したのだという。
「彼は平謝りでした。また友だちとして飲みに行こうと言われたけど、それはさすがに私からやめておこうと言いました。今の恋人との関係を大事にしたほうがいいと思ったから。嫉妬するくらいなら一緒に飲めばいいのに。彼と私の関係が恋ではないとわかるはずだから。だけど嫉妬で凝り固まる人って、そういうことができないんですよね」
もったいないと思う、人生は一度きりなのだから人間関係を濃く楽しめばいいのに、と彼女はあっけらかんと話す。
彼女自身は現在、つきあっている人がいる。だが、もちろん元カレたちと会うこともある。
「鮭みたいに、最近、戻ってくる元カレが多いんです(笑)。恋愛相談もやたらとされますよ。私が誰かの役に立てるなら、それもありがたいことだと思う。女友だちでも私を非難する人もいますけど、いいじゃないですか、友だちなんだから」
終わった恋愛なのに、変な“壁”を作ってもう会わないなんてつまらない。一時は好きだった人なのだから、恋ではない分野で関係を維持すればいい。トモコさんの言うことはもっともかもしれない。
「世界を狭くするのも広くするのも自分次第だと思うんですよね」
元カレの中には病院関係者もいるし、ITの専門家もいる。困ったときには彼らに助けを求めることもある。彼女も自身の得意分野で彼らの役に立ったこともあるそうだ。
縁のあった人とはずっとつながっていたい。そう思っても実践するにはかなりタフな精神力が必要なのかもしれない。