業界は冬の時代
はじめに、携帯電話業界の現況を簡単に説明したいと思います。
携帯電話の台数が人口とほぼ同じになり、飽和状態になっていることはご存じの通りです。それまでは、市場を開拓するため、端末を極端に安くして販売するという手法がとられてきましたが、新規顧客が見込めなくなり「顧客を増やすこと=他社の顧客をいかに奪うか」となり、ナンバーポータビリティ制度の導入と共に「顧客の取り合い」が始まりました。他社の顧客を奪えば、当然他社に奪われる顧客もいるわけです。お互いに奪い合いになってしまえば体力勝負になってしまいます。そこで、「既存の顧客を囲い込む」ことが重要なミッションになってきました。高価な端末を金利なしの割賦販売をしたり、2年契約で基本使用料を安くするなどの囲い込み戦略は、ユーザーにとって乗り換えがしづらい状態を作りだし、結果として喉から手が出るほど欲しい新規顧客の獲得もままならなくなってきたのです。
今や「携帯電話は2年使う」というのが常識になりつつあり、乗り換え需要が大幅に減少しています。
ソフトバンクのように、ノベルティや優遇料金で新規顧客を獲得するキャンペーンを行い、新規顧客を獲得する手法はこれからも用いられるでしょうが、一方で、純粋な新規顧客でないとノベルティがもらえないなど「落とし穴」も増えているため、“一見”お得に見えても、すぐに飛びつく事が出来なくなってきました。
複雑な料金体系
以前からすると、だいぶ簡素化してきましたが、料金体系は、未だにわかりにくく複雑です。これは、携帯電話のみならず電話会社の「体質」であると言えます。他社と横並びの料金でありながら、それを消費者が認識しずらいように、他社と比較しづらい料金体系にするというのは、常套手段です。
家計に占める通信費の割合は高くなる一方で、家族全員の携帯電話料金となると月に2~5万円というケースも多いはずです。2年間で48~120万円という高価な買い物なのです。にもかかわらず、ユーザーは支払金額料金がいくらになるのか、各社の比較をすることが困難な状況です。これだけ高額なサービスなのですから、自動車保険のように、一括見積もりなどで各社の比較ができるような販売方法は必須だと筆者は感じます。