半数以上が「経験がない」って本当?
オトナの女同士で本音トークが始まると、意外にも絶頂に達した経験がないという声が多く聞こえてきます。Web上の複数のアンケート結果でも、50~60%の女性が達したことがないという記事を目にしました。イクを体験するにはどうすればいいのでしょうか。テクニックや体勢などの前に大切にしたい、精神面における女性の必要条件についてお話ししたいと思います。大切にしたい、女性の「必要条件」
女性と男性では、性欲の上昇が大きく異なることは周知の通り。男性がエレベーターのようにグンと性欲スイッチが入り、頭に血が上った状態に入りやすいのは、相手の懐に自ら飛び込むための必要条件でもあり、そのために強引になりかねない欠点も持ち合わせています。一方、女性はエスカレーターのようになだらかな上昇。経験が少ないほど、それはもう階段かスロープを歩くほど、ゆっくりとしか高まらないものなのです。これは、体内に異物を受け入れることへの抵抗感、その後、生命を抱えることになることへの責任感から、慎重にならざるを得ないためではないかと推察します。冷静に判断できるように神様が与えてくれた時間差ではないでしょうか。
point.1 なによりも必須の「安心」
その性欲の高まりと関係している必要条件が「安心」であると、筆者は考えます。すべての人間関係における絶対条件「安心」。敵か味方か。自分を受け入れてくれる相手か、攻撃してくる相手か。それを見極めるのがコミュニケーションだともいえます。生物医学工学、精神医学などあらゆる分野で論文を発表しているアメリカのステファン・W・ポージェス博士の「ポリヴェーガル理論」によれば、「安全である」と感じることが、人間の社会行動や生理学的状態に大きく影響するとされています。私たち人間は、表情や声などから、相手の生理学的な情報を読み取り、安心であると判断し信頼できるかどうかを見極めてから「愛着」を形成するものなのです。
女性にとってセックスは、命の危険を伴うともいわれる「出産」につながる行為。また、その行為そのものが互いに裸という「無防備な状態」でおこなわれること。日常生活では決して表に出すことのない身体の部位に触れ合うこと。決して聞くことのない声、見せることのない表情、そういったものを相手に見せるということは、つまり、「丸腰の自分」を見せ合うという行為なわけです。
それだけに「安心」は必須条件。「気持ちよくなるにはリラックスして」とのアドバイスを多く見かけるのも、このためだと思いますが、筆者は「リラックス」は少しニュアンスが違うような気がします。リラックスできる相手とは興奮できない場合もあるからです。
また、「シャワー浴びてないのに嫌われないかな」「口臭は大丈夫かな」という心配なども、ある意味、「安心」を邪魔しています。だからこそ「ひとりエッチ」のほうがイケる女性が多いのでしょうね。
経験が少ない間は「気持ちいいふりをしたほうがいいかな」「ちゃんと反応できているかな」と相手のことばかり考えてしまい、自分の体感覚に意識を向けることができません。これは男性にもいえることのようで、自分の体感覚に意識を向けず、相手に嫌われないかどうかを気にしすぎるとセックスがうまくいかないようです。安心して気持ちよさに目を向け、身体で感じることに意識を向けるようになると、気持ちよさがまったく違ってくるのです。
point.2 安心しつつも「興奮」できるかどうか
安心できることの対極に近い「興奮」も必須条件です。興奮しないと、あられもない姿で喘ぐなんてことは、やっぱりできません。最初の数分は、女性は完全に「現実的な感覚」のまま。五感が冷静によそを向いています。羞恥心は簡単に消えません。恋人とデートして、うっとりした気分になってからじゃないと、二人きりで密な時間を過ごすのは難しいですし、いざ行為が始まっても、優しくて豊かな前戯の時間を過ごさなければ、いきなり服を脱がされても気持ちがついていけないのです。
興奮のポイントも、性感帯と同じで人それぞれ。「熟練した中高年のおじさまのテクニックでメロメロ」というA子さんもいれば、「黒人の恋人が日本に会いに来てくれると、空港でその姿を見ただけで興奮して早く抱かれたくなる」というB美さんもいます。Cちゃんは「好みのイケメンに服を脱がされたら、『私、いま、憧れの○○さんに脱がされてる!』というだけで前戯と同じぐらいの興奮を味わえる」と言います。
男性自身の「魅力」も興奮に必要なポイントなのです。
興奮というスパイスで性欲をグンとアップさせることはできますが、それでも慣れてくると、この興奮を感じにくくなってくるもの。
継続してセックスを楽しむには、互いの努力と変化(成長)が必要だといえるかもしれません。その鍵となるのが、相手への「興味」であり、性的快感への「興味」だともいえます。知らない一面、これまでとは違う性感帯を互いに発掘し続けることで、マンネリは回避できます。
そのためには男性は「女性の快感」を真摯に学ぶ必要があります(こちらの記事もご覧ください)。乳首など男性の身体にも性感帯があることを知り、自分の体感覚に繊細になる必要もあるでしょう。
自分の性感帯を体感として知っている男性は、女性経験が少なくても女性へのタッチが絶妙なのです(複数の女性の証言による)。
女性の方の努力としては、男性任せにせずに、自分の身体や性癖について、興奮するポイントを能動的に研究する必要があります。
point.3 快感は「集中」できないと発展しない
男性は、ほかの感覚を遮断するほど興奮しているので快感に集中できるのでしょう。しかし、女性は何度も書いているように性欲の上昇がなだらかなので、心が解放され感度がよくなるまでに時間がかかります。たとえば、テレビがついていたり言葉責めにされたりすることで、快感に集中できなくなることも。そんなとき「わざと大げさに喘いで気分を高める」と話す女性も少なくありません。
安心と興奮とも大きく関係していますが、快感だけに「集中」できるように、環境や心を整える必要があります。たとえば、子どもが寝ている横で夫が誘ってくる、社内恋愛の恋人が会議室や資料室で誘ってくるというケースがありますが、よほど経験を重ねていないと、「見られる危険」は興奮材料にはならず、ただ「集中できない」状況になります。
また、女性の快感は、いくつかの波が何度か高まっては消え高まっては消えてから、ある波が続いてから絶頂に達するという時間のかかる経緯を知っていなければ、男性は、もう「喘いでいる」「濡れている」だけで挿入許可と捉え、愛撫を途中で止めてしまいがちです。
相手の女性に「これ気持ちいい?」と確認しながらパートナーの気持ちいい場所や触れ方を探していきましょう。可能なら勇気を出して自分との行為で「絶頂を体験したことがあるかどうか」を確認したほうがよいでしょう。女性は自分の心地よさを研究し、男性の手をそっと触れてほしい部位に導くなどして、心地いい場所を伝えることも必要です。
安心、興奮、集中という3つの条件を大切に。絶頂に達したことがないことは「男性が悪い」からではありません。恥ずかしがらずに、ひとつずつ確かめ合うことで、二人の関係はよりよいものへと変化していきます。
女性が演技ではなく本当に感じているのを見ると、男性はもっと興奮するはずです。そして、女性が絶頂に達すると膣の形が男性の局部にフィットする形に変化し、男性はさらに気持ちよくなれるといわれています。飽きることのない営みは、二人で探求して育んでいくものなのです。