ずるずると「ゲスな関係」にはまっていった私……

トイレ不倫

お笑いコンビ、アンジャッシュ渡部建氏の「多目的トイレ不倫」が話題になっている。女性をトイレに呼び出してコトにおよぶのは確かにひどい話で、女性を人として見ていないという非難があるのは当然のこと。一方で、どうしてそんな呼び出しに応えるのかと相手女性に疑問の声もあがっている。だが、「男女関係っていろいろあるので……」と重い口を開いてくれた女性がいる。

 

彼にとっての「都合のいい女」でいい

「好き」という感情は意外と強い。自分自身の理性や常識さえも見えなくなることがある。

「私、案外バリキャリなんです」

チャーミングな笑顔でそう言うのはユミカさん(35歳)だ。大学卒業後、とある有名企業に入社、同期の中でも出世が早いほうだという。結婚願望はあまりないが、恋愛も人並みにしてきた。情熱がほとばしるような一夜の関係も拒絶してはこなかった。

そんな彼女が2年ほど前に「はまって」しまったのが7歳年上の既婚男性との関係だった。

「有名人というわけではありませんが、社会的地位も経済力もある男性で、仕事がらみのパーティーで出会って惹かれたんです。そんな私の気持ちをすぐに見抜いたんでしょうね、プライベートな連絡先を交換しましょうと彼から言ってきました」

翌日すぐに食事の誘いがあった。予約がとれそうにないレストランで彼は常連のように店から扱われていた。それでも彼の態度は非常にフラットで、ユミカさんはそこにまた惚れ直してしまう。

「その後、ホテルのバーに行って、まるでドラマみたいに部屋のキーを渡されました。自分が彼に見合ういい女なんだと思えてきて、すんなり部屋に行ってしまいましたね」

一夜の恋であってもいい。ユミカさんはそんなふうに思っていたという。

「前日の会合のあと、少し彼の情報を仕入れていたんです。彼の奥さんは大学時代からの同級生らしいということ、社長令嬢であり美人で名高かったそうです。今は父親の会社を受け継いで彼女が社長業をしているとか。私からみれば夫婦揃ってセレブだなあとため息が出ました」

そんな彼に選ばれたのが自分。彼女はそう思った。彼とは初めて体を合わせたと思えないほど感じてしまったという。

 

車の中や雑居ビルなどで

たった1回ですっかり彼に心を持っていかれた彼女だが、その後、彼からの連絡は途絶えた。

「やっぱり一夜の夢だったのか、と思いました。すがりつくのもみっともないし、なんとか踏みとどまっていましたけど、どうしても彼に会いたい気持ちが抑えられなかった。もう限界だと思った10日後、彼から連絡が来たんです。夜遅くてもよければ会えるんだけどって。もちろん、こっちはもうよだれを垂らして待っていたので、OKしました」

彼が車で彼女の家の近くまで来ていると連絡してきたのは日付けが変わるころだった。

「私はひとり暮らしなので、うちに来る?と聞いたのですが、車を置くところがないから出てきてと言われて。ドライブでもするのかなと思って行ったら、彼は少し車を走らせてひとけのないところで止め、いきなりシートを倒してきたんです。え、急にこれなのと思いましたけど、そのまま最後までいっちゃって。あげく、『これから仕事に戻らないといけないんだ、タクシー拾って』とその場で降ろされました。まだきちんと身支度もしてなくて、最後に彼が車の中から私の靴を片方、放り投げてきたんです」

そんな状況なのに、ひどい目にあったと思うより、「こうまでして私に会いに来てくれた」という思いのほうが強かったという。惚れた弱みにつけ込まれているのだが、それがわからないのが惚れた弱みなのだ。

「別のときはやはり深夜に繁華街に呼び出されて、雑居ビルのトイレでということもありました。私との逢瀬に時間もお金も使いたくないんだということはぼんやりとわかったけど、最初のデートの思い出が強烈で、あのときはこの上なく大事にされたので、気を許しているからとか、私だと気取らなくていいんだとか、なんか自分に都合のいいように考えてしまうところはありましたね」

妻子が留守だからと彼の自宅マンションに呼ばれたこともある。だがチャイムを押すと、玄関のドアが開き、中に入ってその場で押し倒された。結局、家には上がらないままだったという。

「広い玄関でしたけどね(笑)。コトが終わると彼は、『これから家で仕事なんだ、じゃあね』って部屋に入ってしまって。私はそこで身支度を整えて帰りました。さすがにこのときは泣けてきて、近くの公園で元カレに電話しちゃいました。誰かに聞いてほしかったんです。でもその時点で、もうこの関係は続けられないと思った」

それなのに彼女は、また彼に呼び出されると会いに行っていた。扱いがよくなることはなかったにもかかわらずだ。

「ひどい男だとは思ったけど、そのひどさを受け止められるのは私だけなのかもしれないと考えてしまったんですよね。今思えば、そんな温情をかける必要はなかったんでしょうけど、そのときはそう思っていた。魔法をかけられていたのかもしれません」

その魔法がふと解けたのは、半年後、高校時代の同窓会に出席したときだ。久しぶりに会った高校時代の友人たちとしゃべったり笑ったりしながら、「私はこっちの世界に戻ろう」と思ったのだという。

その日、彼女は彼の連絡先をすべて削除した。彼はもちろん、追ってはこなかった。

「きっと他にも女性がいたでしょうし、彼にとっては通りすがりみたいなものだったんだろうなと思います」

思い返すとやるせなかったりせつなかったりするが、「自分は彼を好きだった」という一点で、みじめに思う必要はないと彼女は考えている。
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