水泳中のウイルス感染は稀? 塩素濃度など厳しく衛生管理されているプール
プールで新型コロナウイルスに感染するリスクは高いのでしょうか? 低いのでしょうか?
水を介してウイルス感染することがないのは、プール水には定められた量の塩素が含まれているからです。塩素濃度は文部科学省での水泳プールに係る学校環境衛生基準で、「プール水の遊離残留塩素濃度0.4mg/L以上であること。 また、1.0 mg/L以下であることが望ましい」と決められています。水道水の場合は、水道法で「蛇口での残留塩素濃度を0.1mg/L以上保持すること」とされていますので、比較してもかなりしっかりした濃度で衛生的に管理されているといえるでしょう。プールの水は屋外の空気と同じく、ウイルスがあっても希釈、不活化されると考えられるため、プールの水から感染する危険性は少なく、比較的安全であるといえます。
プール内の水は安全だが、飛沫感染リスクは他の場所と同様
日本スイミングクラブ協会より出されている『スイミングクラブにおける新型コロナウイルス感染拡大予防のためのガイドライン』(2021年10月18日)では、「プールにおいては、水を介した感染リスクは極めて低いと考えられているが、遊泳プールでの密な状態(いわゆる芋洗い状態)で大勢が戯れている場合は、会話や接触による感染リスクが高まる」とされています。プール内も他の場所と同じく、無症状の感染者からの感染リスクを減らすことが重要です。密室になってしまうことからプール施設内や送迎バス内ではマスク着用が推奨されています。指導員、スタッフについては、健康管理はもちろん、指導前後の洗顔・シャワーの徹底や、プール内以外の感染症対策が重要です。
スノーケルは、エアゾルが発生するので、できれば使用の制限をした方が望ましいでしょう。
スイミング中のマスク着用は難しいので、水泳をする人はマスクはつけません。通常通り体調管理に注意し、体調が少しでも悪いときは無理をせずに休みましょう。プールサイドでは、マスクをしていないので、距離を取り、会話を控えるのが望ましいと思われます。距離としては、理想は2mで、最低でも1mを離れておくことが望ましいです。プール後には、洗顔、シャワーをしておきたいものです。
プールでは、送迎バスや更衣室、観覧席などでの感染に注意を
スイミングを行う場合は、プール内にいるとき以上に、「プールの外」での行動を注意すべきでしょう。人との距離が近くなったり、マスクを外したり、会話をしたりすることで、感染リスクが生じますので、特に空間が狭く密室になりやすい送迎バスや更衣室、トイレ、観覧席などは、注意が必要です。更衣室や観覧席では、入室者数を制限することもあります。できれば、家で水着を着ておくと更衣室の利用が短くなり、感染リスクが減ります。そうした場所は換気をして、会話を避け、できるだけお互いにマスクをすることが大切です。タオルの共有などは避けたほうがよいでしょう。狭い観覧席では、飲食は控えたほうがよいでしょう。
もちろんプールの施設は消毒されていることが前提ですが、手すりなどをあまり触らないようにし、触った場合は顔などを触らないように気を付けることは、他の場所と同様です。
コロナ対策も続く中、より安心してプールを楽しむために
何よりも普段からの体調管理が重要です。新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着いているときでも、体調が少しでも悪いと感じたら、自分のためにも感染拡大させないためにも、プールは控えましょう。風邪症状や37.5℃以上の発熱がある場合はもちろん、新型コロナウイルスの症状といわれている味覚障害、嗅覚障害がある場合や、咳、痰のある人は、今年の夏は特に注意すべきでしょう。また、循環器疾患、糖尿病などの基礎疾患のある人、透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん薬を使用している人、家族に新型コロナウイルス感染症が疑われる人がいる場合は、プール施設への来館自体が制限される可能性もあります。プールに入っているときは感染リスクは少ないですが、プールの外の館内施設では注意が必要です。一般的な感染予防法としてのプール内以外のマスク、手洗い、消毒などの手指衛生で、より安心してプールを楽しむことができると思います。
安心・安全を重視すると、どうしても手間がかかることは増えてしまいます。新型コロナウイルス感染症の状況によっては、制限を減らしたり、増えたりすることになりますが、現時点では個々人もできるだけ注意して楽しむのがよいでしょう。