実家に戻ってみたら、母が4度目の結婚をしていた!

母親の再婚

コロナ禍における自粛生活で、人の意識や価値観は変わったのだろうか。人を恋する気持ち、パートナーとともに歩むことへの迷いなどは人それぞれのようだ。

 

私は彼と別れたけれど

1年つきあっていた彼と、この4月に別れたのは、シオリさん(42歳)だ。独身の彼女だが、1度や2度は結婚しようと思ったことがあるという。

「結局、結婚という選択をしなかったのは母の存在かもしれません。私は母が25歳のときの子。でも私が2歳になるころに離婚したので、父のことは覚えていないんです。その後、母は私が8歳のときに再婚。でも数年しかもたずに離婚。また数年後に3回目の結婚をしました。2度目、3度目の母のパートナーはどちらも悪い人じゃなかった。結局、母が結婚生活に飽きちゃうんでしょうね、たぶん。私は3度目のパートナーが学費を出してくれたから大学にまで行けました」

いい人と再婚するのに、なぜか別れてしまう母の気持ちが理解できなかったし反発もした。だから大学に入ってからはずっとひとり暮らしを続けてきた。

「その後、さすがに母も結婚という形をとる必要がないと思ったのか、独身生活を謳歌していたようです。つきあっている人はいつもいたんじゃないかなあ。私にも『恋愛しなさいよ、楽しいわよ』って。大人になってからはせいぜい年に数回しか会いませんでしたけどね。恋人と一緒に会いにきたこともあったけど、私は一緒に会うのを拒否しました」

母のような生き方はしたくない。彼女はずっとそう思っていた。とはいえ、母は経済的に男性に頼るタイプではない。それなりにきちんと自分が生活できるだけの収入は得ていた。だが、どこか男にだらしない。少なくともシオリさんにはそう思えた。

彼女の恋愛経験は少ない。20代、30代でそれぞれ1度ずつ。2度ともプロポーズされたが、どたんばで断った。やはり結婚が怖かったのだと思うと彼女は言う。

「40歳になってからつきあった今回の人は、バツイチだったんです。子どももいないし、気さくな人だから会っていて楽しかったんですが、コロナの一件で別れることになりました」

在宅ワークとなった彼と、毎日出勤せざるを得なかった彼女との間に、さまざまなすれ違いがあったのだという。

 

しばらくぶりに母に会うと

この間、母にもまったく会っていなかったのだが、自粛が解けて久しぶりに実家に帰ってみようと思い立った。

「私自身も少し寂しい思いをしていたからでしょうね。母に『今日はどうしてるの』とメッセージを送ったら、家にいるということだったので行ってみたんです。行くとは言いませんでした。驚かせようと思って」

実家までは1時間半ほど。家に着いてチャイムを鳴らすと母が出てきた。シオリさんの顔を見て、気まずそうな表情になった。

「来るなら来るって言ってよ、となんか照れくさそうなんですよ。どうしたのと言って家に入ると、知らない男性がいて(笑)。まあ、母のことだからまた恋人ができたんだと思うしかなかった。すると母が、『私、結婚したのよ』って。いや、もう、そりゃあ驚きましたよ。さすがにもう結婚はしないと思っていたから」

ひとり娘に相談もなく結婚していたのだ。相手の男性は、娘も賛成だと聞いていたと驚いていたそう。母67歳、彼は53歳。14歳差だ。シオリさんと彼は11歳差である。

「母は、『別に娘の許可が必要なわけじゃないでしょ』と言っていました。そりゃそうだけど事前にひと言あってもいいですよね。ま、こういう人なのでよろしくって彼に言って、私はすぐ家を去りました。やはり私の来るところではなかったな、と」

シオリさんの母への思いはますます複雑になった。虐待されて育ったとは思っていないから、決して憎んでいるわけではない。ただ、「母」というイメージから遠すぎるのだ。母というより「女」であることを全面的に望んでいたし、そういう姿を見せつけられてきた。

「でも母が家に男性を引っ張り込んでどうこうっていうのは記憶にないんですよね。離婚すると夜の店で働いた時期もあるんですが、酔っていてもいつもひとりで帰ってきていた。私が母の生き方を肯定できなかっただけかもしれません」

コロナのせいで彼と別れ、つらい思いをしているときに、いきなり母の再婚を目の当たりにしてしまったことで、彼女はショックを受けたのかもしれない。

「母とはとにかく気持ちを共有できない。その苛立ちはいつもありましたね。今回もそう。私が別れたころに、さっさと勝手に結婚して。母娘であっても別人格だし、別の人生だから、勝手にすればいいんだけど、なんとなく釈然としない、モヤモヤするんです」

母娘だからわかりあえるとは限らない。むしろわかりあえないことも多い。シオリさんは「何とも言えない脱力感」と苦笑したが、その裏にあって彼女を苦しめているのは子どものころからの根深く、拭い去れない孤独感なのかもしれない。
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