木質空間の特性でテレワークの生産性が向上
増加するテレワーカー。生産性を高めるため、仕事のしにくいローテーブルなどではなく、快適な仕事環境をつくりたいもの
2020年2月25日にリリースされたリクルート住まいカンパニーの調査によると、会社員/公務員の17%がテレワークを実施しており、「テレワーク導入を考えている/興味がある」という回答を加えると、計45%のテレワーク実施者を見込んでいるとのことでした。その流れは現在、さらに加速していると考えられます。
こうした経緯を受け、現在、複数の住宅メーカーやマンションデベロッパーでは、自宅内で仕事環境を確保できる・しやすい間取りや動線などを提案しています。
「私たち住友林業も『木の家ワーキングスタイル』というご提案をしております。住友林業だからご提案できるポイントは『専属の建築士による住む人のニーズに即した家づくり』と『圧倒的な木質感』。これらによって、ご自身のワーキングスタイルに合った、快適で集中しやすいワークスペースの実現が可能になります。
特に木質空間が人間に及ぼす好影響は、弊社の検証実験で実証されています。例えば、壁紙の実験です。木目3色の壁紙と白色壁紙、2種類の空間で、小・中学生の子どもたち10名に単純な計算問題に挑戦してもらったところ、集中・休憩がしっかりできたのは、木の空間であるという結果となりました。 また、木質空間と白色空間、それぞれの場所で大学生48名に同じ不快な内容の画像を見てもらったところ、木質空間の方が、より感情を抑制できると分かったのです。 集中しやすく、ストレスを感じるような出来事があってもイライラを抑えやすい。このことから、木質空間はワークスペースにも適していることが分かります」(住宅・建築事業本部 営業推進部 マネージャー 中野邦彦さん)
ちなみにこうした木の特性を生かし、住友林業では、快適に働ける木化したオフィスや公的施設などもつくっています(※関連記事:都市に木化ビルを増やす! 前代未聞の超高層350m木造ビルも)。
これらのノウハウ、知見は住宅内のワークスペースづくりにも大いに活用されています。ではいよいよ「木の家ワーキングスタイル」の具体的な提案を見ていきましょう。
“夫婦そろってテレワーク”を想定したビジネスホテル型も
「木の家ワーキングスタイル」の間取り、設計の特徴、メリットなどについて、住宅・建築事業本部 技術商品開発部 チームマネージャーの遠藤英雄さんにお聞きしました。「住宅の延床面積は従来どおり30~40坪で設定し、そのなかで5つのワーキングスタイルをプランニングしました」
【Style 01】寝室と程よくつながるスタイル 「Style 01では、階段を上がり切ったところの2階の廊下スペースを、寝室の一角と掛け合わせるようにしてワークスペースを確保しました。このような空間は、従来『書斎』とされていて、北向きが一般的でした。日当たりは確かにあまり良くありませんが、半面、照明を継続して使うため明るさは一定しており、落ち着けるという側面もあったのです。
しかしこのStyle 01は南向きで、大きな窓付き。日中、明るく開放的な空間で快適に仕事をしていただくことができます」
【Style 02】夫婦独立タイプ 「次のStyle 02は、ご夫婦ともにテレワークを行う場合を想定し、夫婦それぞれの独立した個室に分けました。コンパクトなビジネスホテルのような感覚でお使いいただけます。お好みのインテリアを楽しんでいただきながら、夫婦で共有できるウォークインクローゼットでつながる設計もポイントです」
【Style 03】吹き抜けで家族とつながるスタイル
「Style 03は、籠り切るのではなく、家族との適度な距離感を保ちながら仕事ができる2階のワークスペース。1階リビングの吹き抜けに面していて、デスク上の小窓を開けると階下で過ごす家族の様子が伝わってきます。テレビ電話をするときなどは、小窓を閉めればほとんど階下の音はカットされ、打ち合わせに集中することができます。
また、ここもStyle 01、02と同じように寝室の一部ではあるのですが、床をステップアップして仕上げを変えているため、木の箱のような空間になっています。足を踏み入れた瞬間から仕事モードに切り替えやすいと思います」
【Style 04】寝室のコーナータイプ
「Style 04は、スペースを新たに割かず寝室の一角を利用していますが、幅広のワークスペースを木質感のある門型で囲うことで、独立感を高めました。両サイドの門型を活用して本棚を多めに設ければ、デスクまわりは常にスッキリ使えるでしょう。大きめの窓を付けているので適度な明るさ、開放感も確保できます。
なお、Style 01~04は、寝室と隣り合わせ、あるいは一角にあるという点が共通しているご提案です。寝室は、家の中では日中基本的に使われない場所であり、同じ時間帯に家族が居ても集中しやすいことから、未使用の時間帯をテレワークの空間として活用しようというわけです」
【Style 05】家事コーナータイプ
「最後のStyle 05はキッチンのすぐ隣にあり、テレワークを行う奥様向けの提案です。北向きの想定ですが、大きめの窓がある明るい空間で、家事動線への配慮や、ダイニングで勉強するお子さんを見守りながら仕事ができる点も特徴です」 ▽テレワークの実例・スタイルをもっと見るには
実例ギャラリー(趣味・書斎・テレワーク)
木ノイエ WORKING STYLE│住友林業の家
専属建築士とつくる、その人独自のワーキングスタイル
Style 01~05、全5種類に共通の仕様として挙げられるのがデスクのゆとりです、と遠藤さん。「従来の当社の仕様では、書斎などのデスクは奥行き45センチとなっていましたが『木の家ワーキングスタイル』ではすべて奥行き60センチで統一。これは一般的なオフィスで使うデスクとほぼ同サイズであり、大きめのパソコンのモニタ、プリンターなどを置いても十分な広さです。
さらに、家づくりの過程で専属となる建築士にお伝えいただければ、自宅に持ち帰る資料などの量に応じた造り付けの収納棚、袖机などを設けることもできます。ほかにもテレワークの頻度が高ければより独立性の高いスペースにする、テレビ会議が多い方なら背景となる場所にも配慮するなどの対応も行います。テレワークに関する情報をできるだけ多く共有いただくことで、よりご自身の仕様に合った、生産性の高いワークスペースをつくることができます」
「ZEH」がテレワークの継続性を支援する
また、「木の家ワーキングスタイル」の打ち合わせの際には、通常の家づくり同様に家族構成、生活のスタイルなども重要な情報になります、と中野さん。「例えば小さなお子さんがいる家庭なら、テレワークの一方で親子の時間も大切なので、Style 02のように家族との距離感を大切にする、逆に、日中は同居する両親に面倒をみてもらえそうなので、独立性が高くオンオフが明確になるワークスペースをつくってほしい、さらには、小学生以上のお子さんがいる家庭なら、近い将来増加が予測されるオンライン学習などにも活用したい……など各家庭によって千差万別、さまざまなご要望があると思います。家族構成、生活スタイルなどの情報をお伝えいただくことで、より理想に近いワークスペースをご提案できると考えています。
そして、もうひとつ注目いただきたいのが『ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)』です。これもワークスペースのある家には有効に機能すると考えられます。というのは、今後、在宅でのテレワークが普及してくると、単純に家に人がいる時間が長くなることや、パソコンなどの電子機器などの使用で光熱費が嵩むのでは…と想定できるからです。
その点、ZEHならば高い断熱性能、省エネ設備機器で光熱費をセーブできますし、太陽光発電やエネファームで創出した電気を自宅で消費することも可能です。さらに、蓄電池の組み合わせによって電気を家に蓄えられますので、停電が起きた際も、ご家族の快適な日常生活を守るのはもちろん、テレワークによって仕事も継続することができます」
ZEHは自宅での快適なテレワーク環境創出も支援する
家づくりのメインテーマは、家族が快適で安全な時間を過ごせることに変わりはありませんが、これからは「快適なテレワーク環境が自宅で確保できること」も重要な要素になるかもしれません。テレワークを導入済みの企業にお勤めの方はもちろんですが、この先の働き方改革の進展を考えれば、すべての方々にとって「自宅での仕事環境をどう整えるか」は、一考すべき視点といえそうです。ぜひ以下のサイトをチェックしてみてください。
<関連サイト>
木ノイエ WORKING STYLE│住友林業の家
住友林業のNEW ZEH STYLE
実例ギャラリー(趣味・書斎・テレワーク)