生命保険

保険を考える際のキーワードは「わかる・見える・助かる」

家計を見直すポイントは、固定費の適正化。中でも保険の見直しがおすすめです。その理由と保険の賢い選び方を解説します。保障内容がわかりにくい保険、お金の流れが不透明な保険、高額な保険は、選択肢から外すと、都道府県民共済は一考の価値ありです。

執筆者:後田 亨

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「貯蓄がない」世帯は意外と多い

資産形成に取り組めていない人は意外と多い

資産形成に取り組めていない人は意外と多い

「日々の生活に追われている人が多いようだ」。「家計の金融行動に関する世論調査(令和元年)(※1)」を見て感じました。

[単身世帯調査]によると、金融資産を保有していない世帯が39%、次に多いのは100万円未満の17%で、400万円未満が72%を占めています。  

[二人以上世帯調査]はどうかというと、非保有世帯が26%、400万円未満が48%を占めます。(ともに無回答を除いた回答数を分母にして算出)

長寿化が進むなか、たとえば資産形成に取り組みたくてもできない人が、相当数いると考えられるのです。

 

家計を見直すポイントは

家計の見直しには、固定費の適正化が有効です。「保険の見直し」も、頻繁にやる必要はなく、効果は持続するのでおすすめです。
 
民間の保険の加入状況を考える際、各種メディアでよく引用されるのは「生命保険に関する全国実態調査(※2)」の世帯年間払込保険料です。平成30年度の平均値は38.2万円となっています。
 
しかし、参考にするのは疑問です。保険に明るい保険会社の人たちが払っている保険料は、年間で数万円くらいだからです。
 
一般の人も保険料の出費をその程度にとどめることは可能です。キーワードは「わかる・見える・助かる」です。「わかる」「見える」にこだわると「(家計が)助かる」ことになるのです。以下、要点をまとめます。

 

「わかる・見える・助かる」で保険を考える

固定費の適正化には保険料見直しがポイント

固定費の適正化には保険料見直しがポイント

まず「わかる」は「自分で説明できる」ことです。保険に限らず、わかりづらい金融商品の大半は、担当者による対面での説明を要します。ということは、担当者の採用・育成にかかる費用や報酬まで、多額の費用を加入者が負担する仕組みになっているわけです。

したがって、「担当者不在でも困らないくらい、わかりやすい商品やサービスを利用する」と決めるほうがいいのです。「本当に顧客のことを考えると、わかりやすい仕組みにするのではないか」と想像してみてもいいでしょう。

次に「見える」は、「お金の流れが見える」ことを重視します。保険は「お金(保険料)をお金(入院給付金や年金など)に換える」仕組みだからです。

たとえば、貯蓄商品では代理店手数料の割合などが、貯蓄性に決定的な影響を与えます。代理店などの口座に入るお金が多いほど、積立・運用に回るお金が減るからです。

現状、手数料等に関する情報はほとんど開示されていません。販売側には都合が悪い情報だからでしょう。複数の保険数理の専門家によると、「医療保険」のような保障目的の保険で、保険料の30%前後が保険会社の経費に使われる見込みだそうです。

さらに「医療保険」などの取り扱いが多い会社の決算資料を見ると、給付金の支払いを高めに見込んでおくことで発生する差益が、保険料収入の20%前後に達しています。経費と合わせると、1万円の保険料から4,000~5,000円の手数料が引かれるイメージです。
 
「自分で説明できる」「お金の流れが見える」保険を優先

「自分で説明できる」「お金の流れが見える」保険を優先


日用品などと違い、保険は「試しに使ってみる」ことができません。「試食」や「試着」をして商品を選ぶこともできません。したがって、手数料等がわからない時点で「不親切だから関わらない」と決めてもいいはずなのです。

現実的な対応としては、安価であることを優先したらいいでしょう。料金を抑えれば、自ずと手数料等も抑えられるからです。
このように、わかること・見えることを優先すると、選択肢は限られています。なかでも、保険会社で働く人たちが愛用する「団体保険」は良い見本です。

別の機会に詳述しますが、シンプルな保障内容で、担当者による対面販売はされておらず(誰にでもわかる)、毎年、決算で余ったお金は払い戻しされ(誰にでも見える)、諸費用も抑えられているため、保険料は年間で数万円に収まります。結果、家計が「助かる」のです。

 

「都道府県民共済」も選択肢の一つ

勤務先に「団体保険」がない人は、「都道府県民共済」を検討する手があるかもしれません。

保障内容は、パンフレットなどを見るだけで理解できるくらいわかりやすく、掛け金もたとえば「入院保障2型」では、月々2,000円で、18~60歳までなら入院日額は1万円です。
また、年度ごとの決算で剰余金が払い戻しされる点も団体保険に似ています。たとえば「入院保障2型」の場合、都道府県により異なりますが、実質的な掛け金は概ね月々1,500円未満(※3)と見られます。

保険の商品設計に関わる専門家の中にも「都道府県民共済は、安い掛け金でよくやっていると思います」と語る人がいるほどです。

私はフリーランスの著述業者であり、特定の組織や商品を無批判に称賛するのは、何より自分のためにやらないほうがいい、と考えています。それでも「わかる」「見える」「助かる」の3点から、「都道府県民共済」は一考に値すると評価しています。

読者の皆様も、3つのキーワードから、ご自身の保険との関わり方などを再考なさってはいかがでしょうか。


<参考>
※1 金融広報中央会委員会「家計の金融行動に関する世論調査」|知るぽると
※2 公益財団法人生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年12月発行)
※3 入院保障2型の割戻率実績(2019年度)/払込掛金の32.72%(全国平均)より算出

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
 
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