「密です!」と夫を避ける妻たち。今はそれで乗り越えよう
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として緊急事態宣言が発令されて以降、日に日に存在感を増す小池百合子都知事。最近でも「密です!」と知事を取り囲もうとする報道陣を制止したり、「ソーシャルディスタンス」と記者の立ち位置を調整する姿が話題になりましたね。すでにネット上ではこれにインスパイアされた「密ですゲーム」や「密です3D」が生まれ、SNSを通じて拡散中。
外出規制が続き、自粛“疲れ”が見える妻の方々の間でも、実はこの「ソーシャルディスタンス」と「密です!」が注目されています。
離れたのは心の距離?
「うちの夫婦の心の距離は、ソーシャルディスタンスをはるかに超えていますよ」というのは友理奈さん(31歳・仮名)。
「夫は大手IT企業のエンジニアなんで、仕事のほとんどがパソコン上で完結します。今回のコロナ騒動でも、2月上旬からいち早く週5日完全在宅勤務になりました」
在宅勤務が難しい業種・職種が多いといわれる中で恵まれた勤務体制と言える夫。
「でも、私の方は地元小売業勤務でなかなか在宅勤務ができません。通勤は時差出勤でも、職場ではほぼ毎日売り場に立っていますから、日々お客様と『濃厚接触』です。先日も、混みあう店内を見て『もっと離れて並ばせろ。客の安全をどう考えているんだ』と中年男性がレジ前で怒鳴り出し、本当に泣きたくなりました」
そんな友理奈さんがウイルス感染の恐怖と接客ストレスでくたくたになって帰宅すると、在宅勤務の夫はさっさと仕事を終えて、オンラインゲームに没頭中。友理奈さんを気遣う言葉をかけるどころか、「俺が感染しないように、ちゃんと手洗いとうがいをしろよ」と言い放つという俺様態度。
「はっきり言って、夫と過ごす空間からしてストレスです。向こうが私を危険扱いするので、こっちも相手を徹底的に避けています。一緒に食事をしない、おしゃべりもしない、寝室も別にしました。お互いに手も触れないし、同じ空間にいる時は2~3m離れて座ります。もちろん家の中でも私は常にマスクをしています。夫への嫌みのつもりですが、わかってないかもしれませんね。とりあえずこの事態が収まったら、別居に向けて準備を始める予定です」
友理奈さん夫婦の心の距離は、ソーシャルディスタンスをはるかに超えて、「二度と戻れない距離」にまで離れてしまったようでした。
「密です!」で濃厚接触回避を笑いにかえて
「『密です!』で夫を上手に拒否しています」というのは桃子さん(45歳・仮名)。日本の40代夫婦の半数以上が「レス」と言われる中、桃子さん夫妻は少数派の「フル」なカップル。
「大体、週末は必ず夫が求めてきます。それも、子供たちが部活や授業で居ない土曜の日中が多いんです。『夜よりも明るい時の方が気持ちいい』とか言って、洗濯物を干してる私を後ろからハグして……」
しかしそんな夫婦円満だった毎日に、変化をもたらしたのが自粛要請。
「夫の会社は3月から在宅勤務実施で、感染リスクが低いのはありがたいと思っています。往復の通勤が無くなり、満員電車で消耗することもないでしょ。だから以前より体力が有り余ってるみたいで、前よりも頻繁に求めてくるんです。でも、子供たちの学校はゴールデンウィーク明けまで臨時休校で部活も禁止、図書館や塾も閉鎖、映画館や繁華街への外出も自粛だから、ずっと家にいるんです。日中できない分、週末の夜になると子供が寝ついた後に毎晩求めてくるんです。こっちだって平日はパートに追われて週末はくたくた、何より睡眠時間が欲しいのが正直なところ。そこで『密です!』を使わせてもらってます」
と笑う桃子さん。
夫が「ねえ」とハグしようとしてくると「密です!」と相手をに向かって手のひらをかざす「STOP!」のポーズで制止。「今日は眠いので三密は明日ね」と冗談っぽく断ることで険悪な雰囲気になるのを避けているのだそう。確かに「イヤ」とか「やめてよ」などと断られると気持ちが折れる男性も、「密です!」と言われたら、苦笑で終わりそうです。
上手に“誘い”を断ることも夫婦円満の秘訣。パートナーのお誘いを上手に断るのが難しい、とお悩みの方は「密です!」を試してみてはいかがかと思う今日このごろです。