東京五輪による中断の影響とは?

2020年のJリーグは、いつもとは違う。

東京五輪の期間中は、リーグ戦が開催されない。このため、J1は2月下旬の開幕から7月5日までに、全34試合のうち21試合を消化する。その後はおよそ1カ月半の中断を経て、8月14日から再開される。かつて採用されていた2ステージ制のようなスケジュールになっているのだ。

中断から再開までの期間は、登録ウインドーと呼ばれる夏の移籍期間と重なる。五輪までの21節で思うような成績を収められなかったクラブは、この時期に補強に動くだろう。

一方で、移籍する選手が出てくることも想定される。登録ウインドーの期間はヨーロッパ各国リーグのプレシーズンに当たるため、海外クラブからのオファーを受ける選手は、五輪前までしかリーグ戦に出場できないことになる。

そういったことを考えると、まずは7月までの21節でどれだけ勝点を稼げるかが、優勝争いやJ1残留争いを左右することになるだろう。
 

優勝候補を悩ませるジンクス

 
2020年のJリーグ

2020年のJ1リーグ、優勝候補は?(写真:アフロスポーツ)


優勝候補の呼び声が高いのは、昨シーズン覇者の横浜F・マリノス、同2位のFC東京、3位の鹿島アントラーズ、4位の川崎フロンターレらだ。

ここでポイントとなるのが、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)である。

横浜F・マリノスとFC東京、それにヴィッセル神戸の出場3クラブは、2月21日のリーグ開幕前からACLを戦っている。グループステージではオーストラリア、韓国、中国などでのアウェイゲームも戦わなければならず(※)、グループステージを突破すれば5月にさらに試合が入ってくる。通常よりもリーグ戦のスケジュールが詰まっているだけに、出場3クラブにはタフさが求められる。

ACLにはジンクスがある。過去に出場したクラブは、J1リーグで優勝できていないのだ。アジアの頂点に立ったクラブでも、そのシーズンのリーグ制覇は逃している。

このジンクスが今回も生きるなら、鹿島と川崎Fに加えて昨シーズン5位のセレッソ大阪、同6位のサンフレッチェ広島あたりにも優勝のチャンスが出てくる。

鹿島は国内タイトルの獲得数がJリーグ最多だ。自他ともに認める常勝チームだが、J1リーグの優勝は2016年が最後となっている。元ブラジル代表のザーゴ新監督の就任でチームを作り直すシーズンとはいえ、リーグの覇権奪回に燃えている。日本人、外国籍選手の補強にも積極的で、戦力は充実している。

川崎は2017年と2018年にリーグ連覇を成し遂げた。今シーズンは何人かの主力を放出した一方で、東京五輪世代で即戦力の大学生を獲得した。就任4年目の鬼木達監督のもとで堅実な守備を身に着けており、2017年得点王の小林悠、元ブラジル代表で加入2年目のレアンドロ・ダミアンと、点が取れる選手も揃えている。彼ら2人が得点王を争うぐらいの数字を残せば、2年ぶり3度目の優勝が近づいてくる。
 

過密日程では守備力が強みに

セレッソは昨シーズンのリーグ最少失点クラブで、広島は同2位タイである。攻撃に比べて好不調の波が小さい守備は、どのクラブにとっても計算できる強みだ。

試合と試合の間隔が短いスケジュールでは、戦術的な修正をする時間が限られていく。守備が安定しているチームは、次の試合に向けた準備で攻撃により多くの時間を割くことができる。7月上旬までに全34試合の3分の2近くを消化することに照らしても、セレッソと広島は優勝する条件を備えているといえそうだ。

優勝争いのダークホースには、ガンバ大阪と浦和レッズをあげたい。

ガンバは2018年ロシアW杯日本代表の昌子源を獲得した。フランスのトゥールーズから国内復帰を果たしたセンターバックは、昨シーズン48失点を喫した守備の立て直しを進めていくだろう。2018年7月からチームを指揮するOBの宮本恒靖監督のもとで、ガンバはいよいよタイトル奪取に乗り出すと言えそうだ。

浦和レッズは昨シーズン14位からの巻き返しを期す。大槻毅監督はシステムを3バックから4バックに変え、得点力不足と失点の多さを同時に解消する狙いを持つ。

オフの補強はかなり控えめだったものの、そもそも保有戦力はリーグ屈指だ。そのなかでも、移籍1年目の昨シーズンは2得点に終わった元日本代表FW杉本健勇が、爆発の予感を漂わせている。
 
(※)ACLを主催するアジアサッカー連盟は、新型コロナウイルスが発生した中国での試合を延期すると発表。事態の推移によっては、さらなる変更の可能性もある。 

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