とはいえ、高配当株がすべてお買い得か?と聞かれると、そうとも言えません。配当がたっぷりもらえる会社でも、株価がズルズル下落してしまうところがたくさんあります。仮に配当を受け取れても、株価が下がってしまえばお金は減ってしまいます。
そこで今回は、買うと危ない高配当株の特徴について解説します。
【動画でも解説!】
高配当株はすべてお買い得?
買うと危ない高配当株の特徴
今回紹介するのは、ニューヨーク州立大学による研究です(1)。同研究では、1974~1981年(7年分)の米国株データを集計しました。集計方法は3種類で、そのうち1つが高配当株を狙った投資法の有効性を調べています。この研究によると、「高配当株の中でも、借金が少ない会社は株価リターンが高かった」ことが確認できました。裏を返すと、「たとえ高配当でも、借金が多い会社は株価が伸び悩むリスクをはらんでいる」とも言えそうです。
借金が多い会社の問題点
借金をすれば大きく、素早く成長できそうなベンチャー企業へ投資する場合を別として、成熟企業に投資する場合、投資先の借金は足かせとなるケースが多いです。というのも、借金がコストだからです。借金が多い会社は、利益を出しても借金の返済にお金を充ててしまいます。その影響で、利益を出しても、株主に還元されない可能性が高まります。
また、借金が多い会社は、不景気に金利と返済という2つの重荷を背負うことになります。景気が良いときはハイピッチで成長できる一方、景気が悪くなると業績悪化のペースも早まる危険があるのです。
これらの点を踏まえると、熟達した投資家でもない限り、借金が多い会社への投資は控えた方が無難です。
危ない会社の見分け方
借金が多く、危ない会社を見分ける際は、「自己資本比率」という指標を確認するのがオススメです。自己資本比率とは、会社が持つ資産のうち「返済義務のない自己資本」の比率を表す指標です。この数字が高いほど、企業は借金が少なく、財務が健全であると言えます。
自己資本比率は企業が発表している決算短信で確認できます。たいていの企業であれば、決算短信の1ページ目に「自己資本比率」または「株主資本比率」といった指標が掲載されているはずです。目安としては、「自己資本比率が50%以上」の会社を選ぶとよいでしょう。
危ない高配当株に気をつけろ!
「配当金が欲しい」という動機で株式投資を始める方は多いはず。それもあり、個人投資家の間では高配当株が人気です。とはいえ、高配当株はピンキリで、危険なものも紛れていますので、注意しましょう。本記事でご紹介したテクニックを使うことで、高配当株の中でも危ないものを避けることが期待できます。安全な株式投資を目指す方は、ぜひご活用ください!
【参考文献】
- 論文:Henry R. Oppenheimer, 1984, "A Test of Ben Graham's Stock Selection Criteria", Financial Analysts Journal, 40(5), pp. 68-74
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