亀山早苗の恋愛コラム

不倫した夫を「体」が拒んでしまった妻の選択

芸能人の不倫話がかまびすしいが、夫の不倫を乗りこえたものの、どうにも怒りの矛先が見つからず、その後はすべて「夫からお金をとることで少しだけ気分が晴れている」という女性がいる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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夫の不倫を乗りこえたつもりだったが……

夫の不倫

芸能人の不倫話がかまびすしいが、夫の不倫を乗りこえたものの、どうにも怒りの矛先が見つからず、その後はすべて「夫からお金をとることで少しだけ気分が晴れている」という女性がいる。

 

あまりのショックに離婚も考えたけれど

3年前、夫の不倫が発覚したというのはアヤカさん(39歳)だ。現在、結婚して10年、9歳の長女と7歳の長男がいる。


「当時は娘が小学校に入る前。小さい子どもをふたり抱えて、私のパートとしての収入だけではとても食べていけない。5歳年上の夫の給料は決して悪くはないから、子どもたちに不自由をさせないためにも離婚は考えられなかったんです」

とはいえ、夫の不倫相手は仕事で知り合った他社の27歳になる女性。当時の夫より14歳下、アヤカさんより9歳年下だった。

「若い女性に惹かれた夫にちょっと幻滅しました。やっぱり若い女が魅力的だと思うような男だったのか、と……。私は家事に子育てに仕事にと必死でがんばっているのに、夫は若い女といちゃいちゃしていたのかと思うと腹立たしくて」

夫はもちろん認めていない。誤解だ、きみの嫉妬だと言い張っていた。だがアヤカさんは、しっかり夫の携帯を見て真実を知っている。いつの日か離婚するようなことがあれば、それもひとつの証拠となるだろうと、男と女の匂い漂うメッセージのやりとりもきちんと保管してある。

「それでもさすがに夫はマズイと思ったのか、どうやら彼女とはあまり頻繁には会わなくなったようです。別れたかどうかまではわかりませんが、平日は週に1回くらいしか家で食事をとらなかったのが、それ以来、週に3回くらい早めに帰ってくるようになりました」

子どもたちは父親が大好きだから、その後は平穏な日々が続いているという。

アヤカさんも、当初の怒りは少しずつおさまってきた。ところが3カ月ほどたったとき、もう許されたと思った夫に夜、ベッドで抱き寄せられて彼女は吐き気を覚えた。そのまま飛び起きてトイレへ。生理的に夫を受けつけなくなっていたのだ。いくら理性で「平穏にやっていこう」と思っても、体は正直なのだ。

 

自分の気持ちを見つめ直す

そのときは夫に「最近、胃の具合が悪い」とごまかしたものの、どう考えても自分が夫のことを受け入れられなくなっているとわかった彼女は、もう一度、自分の気持ちを見つめ直すことにした。

「どう考えても、私は夫を許してないんですよ。どんな女とどんな関係だったのか、若い女とのセックスがよかったのか、私は女としてどうなのか。いろいろ聞きたいことがあった。それに私、疑惑は夫に問いただしたけれど、心の底からの怒りをぶつけてはいない。怒りも悲しみもすべて飲み込んで、やり直そうと思ったんです。子どもたちのために」

それは自分自身にウソをついていたということでもある。結果、夫に抱き寄せられて吐き気を催すという事態になったのだ。

「それでも離婚する気はないし、夫は浮気を認めない。私の気持ちの持って行き場がないんだとわかったんです」

そこで、アヤカさんは驚くような方法をとった。

「夫からセックスの要求があったときに、『いくらくれる?』と言ってみたんです。すると夫の目が妖しく光って……。その代わり、生活くささをなくすよう、おしゃれなガウンなどを着てみましたけどね。私も、これは妻としての義務だと思うことにしたけど、ひとりで我慢するのはどうしても癪。だから夫からお金をもらう」

夫は刺激を感じたのか、ひとりで妙に燃えた。そして朝起きると、ベッドサイドのテーブルの引き出しに1万円札が入っていた。

「これで割り切れる。そんな気がしました。本当は夫の物を洗濯をしたときもお金をとりたいくらいですが、まあ、そこまですると家計にも響くので……。夫は小遣いの他にもどうやら別収入があるようで、だいたい週に1回はお呼びがかかる。そうすると月に4万円。これ、けっこう大きいです」

アヤカさんも「1万円分の仕事はしよう」と思えるようになった。仕事だと思えばサービスもできる。

「夫への信頼感が崩壊したままだし、夫は私が信頼していないとは思ってない。夫にとってあのことは『なかったこと』なんですよね。でも私はなかったことにはできないと気づいてしまった。だからこういう方法でなら、夫の要求に応えられる。申し訳ないけど、ほとんど気持ちは入ってないです」

ちょっとせつない、哀しい夫婦の物語に聞こえてくる。彼女自身、どこか虚しさも覚えているが、腹が立って夫を受け入れられないよりはマシだという選択だ。これが夫婦として問題解決だとは思っていない。問題を表面化させないための方法なのである。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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